「立場」4話

 日が沈みかけていた。今日のシンデレラ探しは中止して、後日に繰り延べるべきでは?と言う雰囲気になっていた。

 既に日常生活に、かなりの支障が出るまで事態が悪化していた。経済、行政にも支障は及んでいるだろう。

 王子を補佐する者達が、王子に具申し。王子も受け入れざる得なくなってきた。 


 そんな中、シンデレラに順番が巡って来た。待ちに待った自分の番が、そうコレまでの事が報われる、神様は公平な方だ。


 王子を見た。


 王子は憔悴していた。朝から彼女を捜し求めて、場を精力的に指揮した。直ぐに見つけ出せると思っていたのだろうが、事態は彼の予想をはるかに超えていた。

 仕方ない、こんな事は今まで無かったのだから、異例中の異例。だがこの経験は、王子を、国を更なる発展と平和に導くだろう。


 それを私が支えるのだ。


 シンデレラはそう思った。


 王子と目が合う。王子の顔色が、ハッキリとソレと解る雰囲気に変化した。


 シンデレラも再開の歓喜に震え、涙が出そうだった。


 お互いはには解っていた。後は証明するだけだ。


 目の前に「硝子の靴」がある。昨晩、慌てた為、城で脱げてしまったモノ。

 一夜限りだったはず、一度限りだったはず。これも魔法?それとも運命なの?


 シデレラの脳裏には、魔女が目の前に現れてから、今に至るまでの出来事そのものが魔法の様だった。


 彼女はスカートの膝辺りをつまんで裾を持ち上げ、足を上げた。


 王子もシンデレラも、微笑を交わした。

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