「立場」2話


 城下の広場。


 シンデレラは城下どころか近隣の年頃の女性、全てが集められているのではないかと思った。


 王子の物事に対する徹底ぶりに舌を巻いた。


 そう、これは戦いなんだ。


 愛を獲得するための試練、だけど勝つのは私。


 長い女性の列にシンデレラは並んだ。


 時間が掛かった、シンデレラは耐えた。


 疲れた、腰を下ろす事が出来れば良かったのだが。


 事態が急すぎたのだろう、広場に溢れかえる女性達を裁くには、広さも、資材も、人員も足りなかった。


 王子自体が混乱している様子が解る。


 ああ、王子様がお困りでいらっしゃる、早く私が名乗り出なければ。


 彼女はそう思ったが、順番を飛ばす、割り込むなど論外だった。試みた貴族の娘が叱責を受け、靴も履かせてもらえず排除されたからだ。


 「お前のような者が彼女であるはずが無い!!」


 王子はそう言って、貴族の娘を広場から退出させた。

 言い募ろうとした貴族の娘は、近衛に阻まれた。これ以上は家名に関わると判断した両親が彼女を連れ出した。


 ああ、王子様。なんて立派な御方なの。


 シンデレラは、王子が自分の容姿だけを評価している訳では無いと知って、恋の炎を燃え上がらせた。

 身体の疲れなど吹き飛ぶ心地だった、と同時に、ここに集めれれた女性達の報われる事ない苦痛に申し訳ない気持ちになった。

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