壱死・勇者は日常にて修練

360度を壁に囲まれた闘技場、壁には防御の結界が張られており観客席には被害が出ないようになっている

そして観客席には数十人の人影があり、闘技場の中央には2人の人影がある。


「これより勇者、照沢てるさわ 光輝こうき殿と黒川くろかわ 烏からす殿の模擬戦を開始します。」


審判が手を振り上げる。


「開始!」


「ホーリーランス!」


輝樹がそう大声で唱えると奴の前に三本の光の矢が出現し放たれる。誰に?俺に


「うわぁっ!」


ほぼ飛び込むような形で避ける・・・いや、飛び込んでいる。ジャンピング!

しかしその隙を見逃さずに、光の槍が第二射、第三射と放たれる

躱すので精いっぱいだ!


くそう!しかも光の魔法ってなんだよ!ズルじゃん!

そんな最強系のどう考えても王道RPGで主人公が使うような魔法じゃん!

俺は理不尽な世界の主人公と言う物に唾を吐きかけたくなる。ぺっぺっ、


人には適性がある魔法の種類があるらしい、今俺の戦っている理不尽主人公は光、火、水が適性属性らしい

火、水は基本属性で。光なんかは希少属性らしい。

勝てる気がしない


でも、ただやられてばっかはかっこ悪い・・・


喰らえ!


「ポイズンシュート!」


俺の掌に生成された紫色に濁った液体、それを放つ。

・・・っあ!炎の剣で簡単に焼き払われた。


ちなみに俺の魔法は一応、希少属性である毒魔法と自爆魔法

毒魔法とは魔力を様々な毒に変える魔法で、自爆魔法は呼んで字の如く


なぜ希少魔法の前に一応と付けたかと言いますと。毒魔法も自爆魔法も強力だがダメダメな魔法なのだ

毒魔法?別に自分が毒に強くなったり耐性ができる訳ではないから自分の毒で死んでしまったりする。

自爆魔法は呼んで字の如く。


しかし、魔法を放った掌が異様にヒリヒリすると思ったら自分のポイズンシュートでかぶれたみたいだ。


役立たずだな・・・


「ポイズンミスト!」


毒霧。炎の剣で焼き払われる。おいおい、炎の剣万能かよ・・・

わけて欲しいもんだぜ、ごほごほ・・・やっべ!少し毒霧吸っちゃった。

ごほごほ、もう無理・・・。


目の前が真っ暗になった。


―――――――――――――


はい自滅です。あの後急いで回復魔法使われなかったら死んでたそうです。

はい自滅です。先生が心配して泣きながら怒ってきました。

はい自滅です。クラスの男子達に馬鹿にされました。


でもね?俺にだって言い分はあるんですよ!チートにチートじゃない奴が勝てる筈ないじゃないですか!

まずねこの世界に勇者召喚だかされた日に加護だかって言うのを鑑定したんですけど

皆は持っているのに俺だけ持っていなかったんですよ!


俺を炎の剣で倒した(はい自滅です。)あいつなんか魔法や身体の性能倍加!みたいな加護だぜ?

勝てるかってんだ!バカ野郎!


そんなこんなで俺は今から安静にとの事なんで、みんなは訓練に行ったけどこのベットから出れないんですよ。


はぁ、憂鬱だ。貴族の陰口・・・クラスメイトからの苛め(男子)・・・メイドからの冷たい目線・・・

俺に優しさを!過剰で無くていいから優しさを!


コンコン、ん?部屋がノックされた?誰だ?俺に会いに来るような人なんて・・・ネット友達のぐちるっちさん?


「どうぞ・・・。」


「失礼しますわ。」


入ってきたのは俺達を召喚したこの王国の第1.2.3王女様方・・・。

俺何かしましたか?

何かしたのなら謝ります。流石に小指とかは無理だけど爪ぐらいなら・・・


「今日はコウキ様と模擬戦をしたらしいですわよね?」


「はい・・・」


「どうでしたか?光輝様は?」


「いやぁ、もう強いのなんのって・・・」


「「「やはり!」」」


おうおう、見事にハモったなこの人達。このパターンはあれだ。光輝様は凄いんだってパターンだ


「「「やはり!光輝様は素晴らしいですね!」」」


デスネ。


それから光輝様はこんなに凄いんだぞ話を三時間くらいされた。可愛い女の子たちの口から聞くほかの男の話はなんとつまらない事か・・・みんなも経験ある?


姫様方が出ていく際、メイド達とばっちり目が合った。「姫様と話せたからってつけあがんじゃねえぞ?ごくつぶしがっ!」って語り掛けてくる


異世界怖いよ・・・ぶるぶる


そしてまた数時間が経過した時、メイドが訪ねて来た。俺を見る目が死んでいるね!いいねその性格!

「夕食」と単語だけで会話を終わらせる辺り本当に俺は嫌われているらしい・・・

何故呼んだ?この世界に?


オレ、ヒガイシャ!オレ、ワルクナイ!


怖いよぉーぶるぶる。

あぁ、胃が痛い。ぎりぎりしめてくるぐいぐい。


大広間的な場所に着くともう皆、食卓に着いてらっしゃった。俺が最後・・・目線が痛い・・・。

俺が席に着くと王様がグラスを持ち上げていただきますと言う、その昔の勇者が広めたらしい


いびり大会が始まった。クラスメイト(男子)は俺の戦い方の何が悪いこれが悪いと言い

姫様たちは光輝様は凄いと・・・王様は優しい目で俺を見てくれる。王子は完全に俺を切った態度

周りに控えてるメイド達は冷たい虫を見る様な目線。


あれ?俺だけ4品くらい少なくね?・・・ちなみに貴族たちとかにはただ飯喰らいって呼ばれてるのを聞いた事がある。久しぶりに目から汗が出ましたよ。


そこで入ってはいけないフォローが入る。これが一番痛い。


「みんなしてからす君をいじめるのは止めようよ!」


立ち上がり大きな声で叫ぶ少女。我が学校のアイドル的存在、佐々木ささき 乃愛のあ。

おいおい、何時俺がいじめられてる!辛いって言った?心の中では言いまくってるけど!

まさか!俺の心の声が届いた!のあ恐ろしい子!


しかしのあさんよ・・・その方法は一番やっちゃいけねえよ。俺みたいなゴミ虫をほっとけないのは分かるけどさ・・・。このタイミングは無いよ。


案の定、嵐の中心に投げ込まれる俺。ん?嵐の中心は逆に安全なのか。

いきなり有刺鉄線の原っぱに投げこまれる俺。ここで俺の一言が高くつく・・・


「いいよ、のあさん。気にしてないから。」


無難じゃね?気にしてないという事でこれ以上は大丈夫!と言うのを暗に主張し

さん付けすることで距離を置く!完璧だ!


「・・・からす君が言うなら・・・」


良し引いた!


「そうだよ!乃愛!気にしすぎだよ!彼は気にしてないよ!今も言ってただろ?乃愛は気を張りすぎなんだよ!」


おっ!イケメン光輝君。のあっちの好感度稼ぎアンドいい人アピールかい?

その流れに乗ってほかの男子達も口々に言う。俺は悪くないと・・・遠まわしにね?


女子の数人は優しい、暖かい目で見てくる。そんな目で私を見ないで!

先生は少し悲しそうな表情で俺達のこのやり取りを見つめている。王様は?お?険しい表情してますな・・・。


王様は王様なりの何かがあるんでしょうね。俺みたいな凡人中の凡人には理解できませんよ。

まったく


はぁ、なんでこんな事になったんだっけ?俺は回想に入る。

この城、この世界に初めて来た時の事をあれは・・・


ん~と、尺的にこの話は次回にした方が良いであろう。


次回!異世界に召喚された俺達、苦悩する王、蠢く闇!


来週?もお楽しみに!では!またねぇ~。


**********

後書きです。メタ発現が好きです。ダメ人間です。おでんが好きです。好きすぎて今も浸かってます・・・

書くスピードは極めて不規則です、俺の気分が関係してるので。

おだてりゃ出ます(次話)

ではお手柔らかに、お願いします。

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