POPを作るときに気をつけること&テクニック

次は、書店員だった経験を活かした『POPを作るときに気をつけること&テクニック』について。

大塚さんが語り始めます。


POPとは、についてがでかでかとスクリーンに映し出されました。

(本当は、質問してから表示したかったもよう)


POPとはPoint Of Purchase つまり購入ポイントのこと。ほとんど「キャッチ」と同義です。

数百万冊の中から手に取ってもらうためにあるものですね。


そこで、『銀月のソルトレージュ』(富士見ファンタジア)で帯を担当したときを紹介しましょう。


第1巻・帯:日本一ラノベを売る男絶賛!

第2巻・帯:世界一ラノベを売る男絶賛!

第3巻・帯:宇宙一ラノベを売る男絶賛!


個人名ではなく「日本一ラノベを売る男」としているのは、個人名を出したところで、わかる人が少ないから。また、「ラノベを売る男=書店員」だと想像するのはたやすく、書店員は本を読んでいる人=本屋さん(ある種の専門家と感じられる存在)が面白いというなら……と思わせることができます。


つまり、「本屋さんが絶賛」という言葉で、面白さを保証している文句になるのです。


(ちなみに、世界一としたのはラノベが日本の文化であるので必然だろう、宇宙一も同じく……という感じで拡げてみた、とのこと)


同様に「〇〇第1位!」「〇〇万部突破!」「PV〇〇万回突破!」と帯に書いてあるのも、保証と言えます。

あまたある本の中から外れを引きたくない人は指針にしているからです。



では、書店を訪れる人は何を考えているのでしょうか?

みなさんは何を考えていますか。



実は『読者は書店では本を買わない理由を探しています』。



本を読みたいと思って書店に買いに来ているのですから、これはある意味正しいですよね。

書店員は、買わない理由を探している人に対して「買わなきゃ損だ!」と思わせなければならないのです。


「買わなくてもいいかな」と思っている人を、消極的理由「買ってもいいかな」と手に取ってもらうためにPOPを作るわけですね。



さて、このPOP。書き方が大きく2つあります。


1つ目は『端的に説明する』書き方。


これは例えば、「泣ける‼︎」とひと言書くものですね。

何が面白いのかを的確に伝えられるようにPOPを作って目を引くようにします。

そこから、表紙にある情報(タイトル・イラスト・帯など)を見てもらい、最終的に戻すか買うかをジャッジしてもらうパターンです。



2つ目は『饒舌に書く』書き方。


「〇〇が良かった。✖️✖️がかっこういい!」と書き連ねていく上級テクニック。ひたすら刺さりそうなキーワードを入れて(例:スチームパンク最高!)、特定の層を狙い撃つパターン。

1つ目のと比べると、POPにびっちりと文字が散らばっている印象になります。

気になる単語が1つでも当たれば、手に取ってもらいやすくなりますね。



ただ、手に取ってもらえたとしても、表紙にある情報とあらすじが不一致であるときは買ってもらえません。期待を裏切られた状態になるからです。



ここで、萩原さんもひと言。


『読者は書店では本を買わない理由を探している』だけでなく『読者は続きを買わない理由を探している』のです。


「続きを買わない」ことは、期待を裏切られたときに起こります。

読んでみて「思ったのと違った(がっかり)」であると、買ってもらえないわけです。


なので、いかに期待を与えて満足させることができるか、が大事になります(タイトル・あらすじは編集が担当するので、表紙にある情報を作っているのは編集者でもある。腕の見せどころですね)。

ベネフィット(お客さまが何を得られるかを示したもの)を的確に伝える必要があるのです。



余談。



萩原さん「webで選ぶのも書店で選ぶのも同じではないでしょうか。(自分の場合)長文POPは読みにくくて、色付きになっている部分しか読まないんですよね」


大塚さん「確かにPOPだと色付きにできるけど、webだとね……(饒舌に書くパターンはさらに難易度が上がるかもしれませんね)」



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