第24話
「姉様に何をした⁉」
「よせ! ヤン!」
止めに入ったけど、遅かった。
激昂して勇者に飛び掛かったヤンは、勇者のカウンターで切り捨てられた。鮮血をまき散らして、地に伏せる。
「ヤン!」
ぼくは慌てて駆け寄れ……ない。勇者は、全く油断せずに剣先をぼくに向けて睨む。倒れているヤンには目もくれない、脅威じゃないってわかってるんだ。突っ込んだら二の舞、簡単にやられる。
「ぎ……」
「っ……ミド! トモナミ!」
勇者はじりじりと、距離を詰める。油断も、気負いもない。ただ、一人でも多く道連れにするつもりだ。あのけがじゃもう助からない、ヤンの一撃から見て、反動の大きい強化魔法を使ってる。
特攻だ。もう、見た目は完全にゾンビ。
「ミド! トモナミ!」
ぼくにできるのは、逃げてミドたちに助けてもらうこと。とてもじゃないが敵わない。あの勇者に復讐するって誓っておいて情けないけど、今は無理だ。助けを呼べるのはそれだけだ、『妖魔軍』はほとんど残ってないし、『剛魔軍』には道理がない。
勇者は、パマとミレを襲った時のせいか、結構消耗してる。そうでなかったら、一気に飛び掛かってくるはずだ。距離を保っていれば、大丈夫。
「……」
「ミド! トモナミ!」
まだ寝てるのか? くそ、今のぼくは飛べない。『どくのいき』で―
「ぐ……」
「‼」
ヤン? 目を覚ましたのか?
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