第23話

「姉様!」

「待ってヤン!」


 ぼくは、飛び出したヤンの後を追って、火を噴く兵舎に向かっていた。やっぱり、ミレとパマのところだ。こういう時はまず様子を観なきゃいけないのに……けどそんなこともいってられないか。


「っ!」


 2度目の爆音。いったいなんだろう? 生き残りのモンスターの報復? いや、そんなことできるわけ……。


「つああああ‼」


 それは、向こうから姿を現した。焔の中から転げ出る、若い男の人。よく見ると、片腕がない。血まみれで、傷だらけで、でもその代わりに目が爛々と輝いてる。

 一目でわかった、勇者だ。行方不明の1人が、夜襲をしかけてきたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る