第6話
「あんなにちっちゃくて戦えるの?」
「あれは『ちび将軍』っていうモンスターでね。強いよ」
「そんなに?」
「格だけなら、『宝石デビル』の3姉妹さんよりも上だからね」
新たな展開だね。フジコさんによると向こうのモンスターは数は少ないけど、一体一体がすごく強いらしい。ほとんど烏合の僕らと違って練度も上だろうし、強さなら向こうに軍配があがるね。おまけにかけひき上手っぽかったし、3姉妹もやりにくいだろう。
ボクらは兵舎に集まって、今後について作戦を練っていた。
「うほほほ!」
「お、おい、アイジャがトモナミがどこかって―ぐえええ! 首絞めないでくれよお!」
「いま偵察に行ってもらってるよ」
何しろ3姉妹は教えてくれないからね。情報部の事と言い、嫌がらせのつもりなんだろうけど、ひどい話だよ。こればっかりはそこらへんのモンスターに言ってみてきてもらうわけにもいかないしトモナミに頼むしかない。
毎度毎度先陣切らされて突っ込まされて、今までは運が良かったけど、もし罠だったり強い勇者がいると危険だ。なのに、知らせてもらえないということは……まあ、そういうことだろうね。しかし嫌われてるな、そんなに何かしたつもりもないんだけどね。
だから誰かに、探索能力を持ってるモンスターに転心してもらいたかったんだけど、オネスはどうも能力が心もとないし、ミドとエスパも相性的に向いてないってフジコさんに言われて、本来それが副次機能のトモナミにやってもらってるんだ。文句はないんだけど、この状況は主力の一人を欠いてるし、一人じゃ限界もある、出来れば100人は欲しいんだけど……。贅沢いってもキリないか、う~ん仲間というよりかは部下が欲しいよお。でも絶対くれないよねあの子たち。
「ただいま」
「あ、お帰り」
「うほっほっほ!」
「お、お帰りっていってるよアイジャは」
「う、うん。大体わかる」
「怪我はない?」
「それなんだけどさ……」
「?」
歯切れが悪いな、どうしたんだろう? まさか偵察がバレた?
「失礼します」
入口の外、夜の闇から影が兵舎の中に入り込んで翼を携えた人を形作った。レイヴンシャドーだ。影の中で光る黄色い目が、僕たちを見つめていた。
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