その9 けっきょく南極大冒険

私が初めてテレビゲームの画面を見たのは小学校入学前の6歳の頃だったが、確か引越し前の友人宅のMSX版教育シリーズ1『けっきょく南極大冒険』であった。もっともMSXが何であるか知ったのは中学以降だった。


それ以降、このゲームがファミコンにあることすら知らずにいたが、奈良県に住む従兄弟が所持しており、名古屋から遊びに行った際に少しプレイした。なるほどこういうゲームだったか、と思った。最初の時はプレイすらしていなかったので……。子供ながらその思い出だけでお腹いっぱいというか、このソフト自体にはそこまで熱中したわけではない。


確かあとになって1回、ソフトを借りたように思う。遠距離の貸し借りは高リスクだが、当時はファンである近鉄バファローズの試合を観に毎年従兄弟(叔母)の家へ行っていたのであまり問題はなかった。藤井寺球場と奈良(生駒)では全然遠いが、名古屋から直接行くよりはましだったのだ。近鉄名古屋から近鉄電車の急行で伊勢中川で乗り換え、ときには田原本線や生駒線に乗り、あえて特急ではない電車に揺られて行くのが好きだった。


このファミコン版『けっきょく南極大冒険』はコナミから1985年4月22日に発売された。疑似3D視点でペンギンが穴や障害物(アザラシ)をジャンプで乗り越えつつ、実在する各国の南極基地を巡るというゲームであった。教育シリーズである所以はそこである。よく考えれば今で言う『Euro Truck Simulator』(2008/8/6 SCS Software)みたいなものだ(そうか?)。実在の都市を架空の道路で輸送するETS2は私の現在のお気に入りゲームのひとつである。


最近になって改めて知ったのだが、この主人公のペンギン、実は息の長いキャラクターで、ファミコン後期の作品『夢ペンギン物語』(1991/1/25 コナミ)で初めて名前が明かされ、以降メダルゲーム筐体やアプリで10年近く前まで登場していたようだ。バカ売れしたゲームもないのにそんなに長く使うようなキャラか? とも思うが、意外なことである。

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