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 七瀬ナナは強烈な爪痕を残して去った。なるほどいちかちゃんもそうではあったが、受動的ばかりがいいわけではない。そう思わせる程度に、彼女は自分にポリシーを持っていたし、それに頷かせる言葉もあった。

 あと三人はどんな色を持ち、どんな言葉で僕を攻略しようとするのか。それを思うと楽しみ半分不安半分であった。

 連続して行われる試験であるから、良くも悪くもひとつ前の人の名残は影響してくる。ここで変化球が来なければいいなと、相手を思って考える。

 みんな、素直には違いないと感じはするが、それが全てド直球かと言うとまた話は別で、ステレオタイプを極めたように極端な部分はあったし、それでいてしゃんと芯はある。何が良くて何が悪いと言うのを考えられるほど僕の頭は成熟しきってはいないが、そんなことはお構いなしに時間は過ぎ、選択を迫られる。大抵、生きていればそういう場面が訪れる。

「呼んでくるよ」

 そういう御子野瀬さんにひとつ頷き、出て行ったのを確認してから目をつむり息を吐いた。

 物を食べそれを消化し考える。それだけの繰り返しのはずが、人間関係というものはひどくややこしく、人生というものは迷路のようだ。出発時点で壁に手を触れておくなんて思いつく頭はなかった。自分がどの程度目的地へ向け進めているのかわからない。

 カラン、カラン。

 音が聞こえ、目を開けた。

 御子野瀬さんと入ってきたのは、和服少女だった。

 ん?

 制服は?

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