10
次に入って来た女の子は、快活そうな笑みを見せる、ベリーショートヘアの人だった。タイプでいえばいちかちゃんと同じく、緊張をあまりしないように窺える。
体育会系なのか、御子野瀬さんが着席するのをしっかりと見届けてから自分も腰を下ろした。年功序列を重んずる生き方をしたことがないので、彼女のような人間は目に新しい。
「さてと」言いながら、御子野瀬さんは彼だけの持つ書類にざっと目を通す。「三井みさとさんね」
「はい!」
彼のほうから先に生徒の名前を告げたのは三人目にして初だった。
小気味いいくらいのみさとちゃんの返事を聞いて、身を引き締める。試験試験、と自分に言い聞かせた。
ちらりと壁面に掛けられた時計を見上げたあと、
「それじゃあさくさく始めるとしようか」
御子野瀬さんが宣言する。
僕は「二村にぃな」の項目の下に、新たに「三井みさと」と書き加えておく。
「準備はいい?」
その様子を見てか声を掛けられたので、ひとつ頷いた。
「いつでも平気です」
「君も?」
「はい!」
「じゃ、やろうか」
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