前作に続いてのレビュー。
文章のテンポの良さは健在で、最後まで楽しく読める作品です。
ならず者が跳梁跋扈する帝都の裏社会で傭兵稼業に身をやつす主人公・リサ。杖術の達人にして、何やら謎の目的を持つ彼女が、連続誘拐事件の真相に迫っていく。前作の主人公に比べると「お行儀の良い」キャラであるリサですが、一本筋の通った意思の強さが魅力的です。
彼女を取り巻くキャラたちも、迫力たっぷりの暗黒街の大物、堅物の女騎士、そして極めつけは娼婦の元締めとして君臨する吸血鬼と、実に多彩。さらに特筆すべきは、舞台となる帝都の生活感あふれる描写がすこぶる巧みなことで、読者は自然に物語世界へと没入することができます。まさにファンタジー小説の醍醐味と言えましょう。
物語はちょうど新章に入ったところ。ますますこの先の展開から目を離せないこの小説、お薦めです。