第148話 トラブルメーカー

 ひと悶着はあったが、無事ドリスのスキルを覗き見る事に成功した勇者は


「ふむふむ・・・、返信能力とは面白いスキルですね。他にも色々と・・・」


「うう・・・」


 ドリスはプルプルと震えている。ドリスに勇者の判決が下った


「じゃあドリスさんには、アレクシスさんの所でお手伝いしてください」


 ドリスは勇者の判決を聞いて混乱した


「ええ!? あの、どうして・・・?」


「色々と雑務が出来る様なので」


「そりゃ人間社会に溶け込むために色々と覚えましたけれどもな! 変身能力はどうでもいいのか!?」


 勇者はドリスの質問につまらなそうに答えた


「だって、変身能力ってねぇ・・・・。相手に変身したところで姿が変わってスキルも真似る感じでしょう? 戦闘では勝敗を決するのは結局自分のレベル頼みなんですからネタとして楽しめても、実用性考えたら無駄スキルじゃないですか」


「無駄ッ!?」


 ドリスのプライドが傷ついた。勇者の容赦ない追撃


「変身する度にスキル変わってたらむしろ使い難いですし」


「うぐッ」


「相手に合わせて弱点を無くせるのも利点だと思いますけど・・・。逆に言うと長所だって無いので戦闘がだるいですし」


「ひどい!」


「戦いに勝つには相手より強くないといけないのに相手に合わせるなんてね、なんの縛りプレイなんですか」


 ドリスは精神に43ダメージ受けた


「そんな・・・、人間共を恐怖に陥れた能力がゴミ扱い・・・・」


「それじゃあドリスさんは厨房の方に・・・。ドリスさん?」


 勇者の声にドリスは反応しない。ドリスはひんし状態の様だ


「親分、よかったら俺達が連れて行きますぜ」


 ハイエナ達が現れた


「そうですか、じゃあお願いします」


「「御意!」」


 ハイエナ達は勇者の指示を受け、ドリスを立たせようとした


「ほら立て人間」


「ううッ・・・」


「少し死臭がしないか? アンデットだろコイツ」


「なんだお前も魔物かよ。人間呼ばわりしたのは悪かったからさっさと立てって」


「うう・・・」


 ドリスはひんしで動かない


「仕方ないな・・・・。樽の中に入れて転がすか」


「そうだな」


 ドリスは大きな樽の中に入れられ転がされてながらハイエナ達に運ばれて行った


「「えっほ!えっほ!」」


 ドリスはハイエナに連れられ去って行った。勇者はスキル調査を続行した


「それじゃあ次は・・・、ニコライさん」


「はい!ニコライです! よろしくお願いします!」


「はい、よろしくお願いします」


「ええ!正直王国の権力の犬に仕えるなど反吐が出ますが我慢します!」


 ニコライは元気よく悪態をついている。勇者は戸惑いながらも話を続けた


「えっと、ニコライさんは元反政府ゲリラでしたね」


「はい!今や王の権力は失墜し頼れるような物ではありません! 今こそこの国には権力が胡坐をかいた貴族共が仕切る貴族社会性ではなく、実力主義の共和国制が必要なのです!」


「まあ強ければ何でもいいですけど。スキルチェックお願いします」


「ええ!わたくしも貴族の権力に従うなどゴメンですが、この国の民が生かす為に手を貸しましょう! ・・・・・今のところはな!!」


 勇者はニコライのスキルをチェックした


「えっと、ニコライさんは製作系と偽装と・・・戦闘力が異様に高いので」


「はい!!」


「外に居る青チームのボランさんの所に行ってください」


「おお!あの戦闘要員と称し民間人を集めていた烏合の衆ですね!」


「はい、戦闘指揮が出来るのが魔物のボランさんくらいしか居ないので困ってたんですよ。アッシュさんも頼りになりそうですけど製作業で手が離せませんし・・・」


「ほう! つまりは私にあの羊共を鍛えて欲しいと! お任せください!戦闘要員どころかこの領地に住む住民全体の戦闘意識を改善しましょう」


「はい。皆さんのレベルが上がってくれると凄く助かります」


「領民達がそれぞれ自衛手段を持ち、力強い民衆こそがユート様の理想と!?」


「はい。そうなってくれれば心強いですね。出来る事も多くなりますし」


「それはまさに貴族社会からの脱却! ユート様も共和国制にご興味が!?」


「いいえ、ありませんけど・・・・」


「こうしてはいられない! 早速むかいましょう! 起ち上れ人民よぉおおお!」


 ニコライは勇者の話も聞かずに去って行った


「話を聞かない人だなぁ・・・。次の人は・・・・」


 勇者は他の移民のスキルをチェックし、それぞれ仕事を振り分けていった

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