第146話 ドナドナドリス

 勇者面接に見事受かってしまったドリスは・・・・


「では皆さ~ん、これから徒歩で領地まで向かいますので頑張ってついて来てくださーい!」


 ・・・・勇者の案内によりクプルム王国城下町から出発ようとしていた


「はあ…、どうして俺がこんな目に・・・」


 ドリスはうなだれている


「あ」


「あん?」


 ドリスはハイエナに発見された


「この臭い・・・、お前もまさか魔も…」


「わあっとい!!」


 ドリスの裸締め攻撃!ハイエナを強く閉め上げた


「どうしたんですか?」


 勇者はドリスを見ている


「いえいえ領主さま! ちょっとカワイイわんちゃんを撫でているだけですわだぜ! よしよしよし!」


ぐるじい苦しい・・・」


 ドリスはハイエナを更に締め上げながら脅迫した


「・・・おいクソ犬、余計な事を言ったら首をへし折ってやるからな」


「おれ、犬じゃ・・・」


「あ"ぁん!」


「わかったがら、緩めて・・・」


「・・・・よし」


 ドリスは裸締めを解いた、ハイエナは解放された。ハイエナはぼやきつつトボトボと去って行った


「親分なら気にしないと思うんだけどな・・・、神経質な奴め」


 ドリスは息を整えている


「ふう、何とか誤魔化せたな・・・。しかし徒歩での移動か、無事に目的地にたどり着けるかも試験の一環なのか?」


 ドリスは ”なら移動中にこっそりと抜ければいいじゃねえか” と考え不敵な笑みを浮かべていると、神父に肩を摑まれた


「大丈夫、何かあったら私が守りましょう。出来るだけ離れないようにしてください」


「おほほ…、ありがとうごぜぃます神父様・・・・」


 ドリスはそう神父に答えつつも内心 ”いらねぇよッ! むしろ邪魔だからどっか行け” と思っていたが我慢した。だが・・・


「おや、じゃあお言葉に甘えようかね」

  「頼みますよ神父様」


 ・・・ご近所の人達が神父の周り集まり、ドッペルは囲まれてしまった


「うご、これじゃ逃げ場が・・・・」


 神父は慈愛の表情を浮かべている


「それでは皆さん、旅の安全を神に祈りましょう」


「なんだと!?」


 ドッペルは動揺している。神父の祈り構え


「では皆さんご一緒に」


「「我らに神のご加護あれ」」


 神父とご近所さん達の祈りが発動した。ドリスに8ダメージ


「あぢい!」


「どうしたんだい?」


「な、なんでもねえよバ・・・、おばあ様」


 ドリスは ”くそう、ぜってぇ分かった上でいたぶってやがるなこいつ等。このままじゃなぶり殺される。だったら・・・” と考え


「準備出来ました? 行きますよー」


 ドリスは勇者を見て ”なぶり殺される前に、俺をこんな目にあわせた元凶の勇者だけでも殺ってやる!!” と意気込んだ


「しゅっぱーつ!」


 移民を連れた集団が移動し始め、ドリスは歩きながら勇者に近づくチャンスをうかがった


「絶対チャンスはあるはずだ・・・。畜生、加護で全身が痛てえ」


 ドリスは勇者を追いつつふと ”そう言えば勇者は鍋かぶってるって話はどうなったんだ? ヤツが城から出て来た時も、ヤツに追われた時もそんなの無かったよな。ただの噂か?” と思ったその時


「ユート様! お帰りですか」


 アレクシスが現れた


「あ、あれだ!」


 ドリスはアレクシスを見て ”あれが勇者か! そうえば面接したヤツは前に会った時よりもなんか顔色が悪いと思ったがヤツは影武者か、危うく騙されるところだったぜ。一応カマかけてくるか” と考え、ターゲットを勇者からアレクシスに変えた


「ハイハイ通りますよ! ちょっと退いてくだしゃんせですわ!」


 ドリスはどうにか神父とご近所さんの包囲網を突破しアレクシスに話し掛けた


「おう、またお会いしましたね」


「ほ? 何処かで会いましたか?」


「城の前と教会で」


「?? その様な場所にはしばらく立ち寄ってませんが人違いでは?」


「おや、そうですの。それにしても良い声をしてらっしゃいますじゃねえですわ、お顔を見せてくいただきます」


「いえ!これを外す訳には! どこにヤツの目があるか分かりませんし」


 アレクシスの様子を見てドリスは ”顔を見せろと言った瞬間キョロキョロしやがって、あからさまに怪しい” と判断、臭いを嗅いだ


「くんくん・・・」


「あの、なんでしょう?」


「気にするなですな」


 ドリスは ”この臓物まみれになった様な臭い、まるでついさっきまで動物を何頭も捌いた後みてぇだ。こいつが勇者だ” と判断してしまった


「・・・・・」


 ドリスは ”さて、…隙をみせろ” とアレクシスの様子をうかがっている


「ほっ」


 アレクシスがふと上を見上げ足を止めた


「今だ!」


 ドリスの短刀でアレクシスを攻撃!


「んむ!?」


 しかしドリスの攻撃は外れた


「こいつ宙を飛んで・・・・、ええ!?」


 アレクシスはイアゾアに持ち上げられ肩に乗せられていた


「乗セテヤル」


「これはどうも、イアゾアちゃん」


 ドリスはイアゾアを見て ”誰!? こんな奴この辺りに居たかぁ!?” と思いながら固まっている。そんなドリスにアレクシスは話しかけた


「ああ、このコは味方ですので心配無用ですよ。その短刀はしまって構いませんから」


「え、あ! アハハ・・・はい、ですわ」


 ドリスは短刀をしまい ”俺は捕まってるうちに何が有ったんだよ…” と頭を抱えた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る