第136話 敵?味方?
・・・時は少し戻りババルが飛び出す少し前、勇者達が丁度屋敷に帰った頃
「親分お帰んなさ・・・って誰だテメエ!?」
「俺ダ、タダイマ」
「だから誰だよ!」
ハイエナ達に出迎えられる勇者達。だがハイエナ達はイアゾアを見て困惑している、勇者は説明した
「イアゾアさんですよ、ハイエナさん」
「いや誰ですイアゾアって!?」
「えっと、ほら、片言で喋っていたあのハイエナです」
「え…、ええ!?親分について行ったアイツですか! 道中で一体何が・・・」
イアゾアは胸を張った
「親分カラ、名前モラッタ。コレカラ、俺ヲ、イアゾア、ト、呼ベ」
「お、おう、よろしくな」
ハイエナ達はイアゾアを認識した
「ところで親分、そのイアゾアに名前つけたってのは分かったんですが、具体的にはどういった役職になるんですソイツ?」
「役職?」
「何かやらせたい事が有ったから名前つけたんでしょう?」
「う~ん職業決めか・・・どうしよ、ステータスがまだよくわからないからな・・・」
勇者が悩んでいるとイアゾアが勇者の肩をつついた
「ネ、親分、ナンカ、騒ガシイゾ」
「騒がしいってそれは戦闘中・・・、そうだ!このままじっとして経験値を有象無象に渡すわけには!」
「外ジャナイ、下」
「下?」
勇者はイアゾアに言われ耳をすますと・・・
「フハハハ! あれしきの拘束でこのババル様をどうにかできると思うなよ!」
・・・何処かで聞いた事がある声が地下で響いていた
「この声はババルさん? この忙しい時に脱獄イベントまで発生したのか」
「ドウスル、親分?」
「・・・・外に出しちゃいましょう、元からそのつもりでしたし。ちょっと背中に隠れさせてくださいイアゾアさん」
「ワカッタ」
勇者はイアゾアの背中にしがみつき隠れた。地下に繋がっている扉が開け放たれる
「ブハア! まだダンジョンの中か! あのハイエナア共、いらん事しやがって! ・・・ん?」
ババルが現れた! ババルはイアゾアと目が合った。イアゾアは出口を指差した
「出口、アッチ」
「見ない顔だな? 別のハイエナ群れのヤツか?」
「ソンナトコ、他の、魔物モ、外、イッパイ来テル。親…、勇者モ外」
「なにぃ! あのふざけた鍋野郎も外か!」
「ソウ」
「よし!あの野郎共をこの機会にブッ殺してやらあ!!」
ババルは外に出て行った。勇者はイアゾアの背中から降りた
「ふう、上手くノーダメージ、ノーアラートでやり過ごせましたね」
「コレデイイノ、親分?」
「はい。経験値は欲しいと言いましたが敵が多すぎますし、敵同士で潰し合ってもらいましょう」
勇者はスキル”幻想投影”を使った。ババルは幻影に捕らわれた
「ヤロウまたやりやがったな! どれが本物・・・ッ、どうだっていい!もう全員かたっぱしから食いついてやる!!」
ババルは魔物との戦闘を始めた。勇者は物陰に隠れながら見物した
「よし、上手くいったな。後は経験値を余分に取られないように
勇者は物陰から顔を出し、王国軍兵士達にこっちに来る様にゼスチャーした
「クイクイ・・・」
「あの魔物には構うな! 後退し本陣の防御を固めろ!」
「了解!」
王国軍兵士は屋敷の側まで撤退した
「あ、来てくれた」
司令官が屋敷に中に入って勇者に話し掛けた
「勇者様、あの魔物は確か捕虜にしていた者のはず、いつ仲間に引き入れたのですか」
「あれ? ババルさんを知っているんですか?」
「ええ、まあ、私共も独自に情報を集めていましたので」
司令官は少し気まずそうだ。イアゾアは怪しんでいる
「親分、初メニ来イ時、変ナ動キシテル、兵士居タ、スパイ、サレテル」
「え、僕のダンジョンに攻め込んだんですか!?」
司令官は焦りながらも訂正した
「攻め込んだなどとんでもない! ただ状況把握の為に調査をしていただけです」
「そこは否定しないんですね」
「こちらにはこちらの事情がありまして。私がお伝えできるのはここまでです」
ハイエナ達と王国軍兵士達の間に緊張が走った。その中、勇者は発言した
「あ~、侵入されるとかあるのか、トラップや警備を増やさないと、これだからオンラインプレイは面倒なんだ・・・」
「ドウスル?」
「それよりも今は経験値と資源です! ババルさんが弱らせてた敵を横取りしてしまいましょう。僕は屋根の上から指示しますのでハイエナさん達は隠れながら行ってください! あ、イアゾアさんは休んでてくださいね」
「「御意!」」
ハイエナ達は兵士達を押しのけて外に出て行った。それを見た王国軍司令官は命令を出す
「よし、我らも行くぞ!」
「「おう!」」
しかし勇者は止めた
「引っ込んでてください! 経験値は渡しませんよ!」
「え、あ、はい。今の指令は取り消す!防衛に徹しろ!」
「「了解」」
司令官は小さな声でぼやいた
「・・・勇者の信頼は得られずか。ま、当然だな、上手くやってくれる事を祈ろう」
勇者もぼやいていた
「ふう、NPCが引っ込んでくれてよかった・・・」
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