第133話 這い出る影
食事を終え、北門に戻った勇者達
「食事に付き合ってもらって、ありがとうございますゴードンさん」
「いえ、こちらこそ奢ってもらって、ありがとうございます勇者さん」
勇者は何か考えた後に言った
「これからもキャラクターの好感度稼ぎの為に、誰か誘って行こうかな。次もよろしくお願いしますねゴードンさん」
ゴードンは勇者の言葉に困惑している
「いや・・・、えっと…、仕事もありますし、これ以上付き合ったら本当に胃に穴が空きそうなんで、勘弁してください」
「ふむ・・・、続けて誘うのは無理か、じゃあ他の人にするかな。その前にナイフ買い直さないと」
ゴードンは空になったナイフの鞘をいじりながらぼやく勇者を見て質問した
「勇者さん、俺が渡したナイフはどうしたんです?」
「アレは、さっきゴードンさんとぶつかった時に・・・」
「無くしたんですかい?」
「いいえ、ゴードンさんとぶつかった隙に、盗賊さんが僕の金貨を
「使ったって・・・、刺したんですか!?」
勇者は何でも無いように言い放つ
「はい、少し失敗してダメージは与えられませんでしたが。そっち系のスキルも上げないと・・・」
「いやいや勇者さん! いくら物を取られそうになったからって、顔色変えずに刺しますか普通!」
勇者は静かに言い放った
「なんかスリを働こうとするキャラが寄ってくると、攻撃したくなるじゃないですか。しかもそう言った敵に限ってすばしっこいですし」
「そんな無表情でキレないでくださいよ、怖いから!」
「それに敵に組みつかれたら、ナイフなりビンなりをぶつけて引きはがしたりするでしょ?」
「そりゃ似たような訓練はしましたけど! 魔物だけでなく人間にも容赦なしですかい・・・・」
ゴードンは頭を抱えている。勇者は思いついたように言った
「それよりゴードンさん、あのナイフは支給品と言ってましたけど補充出来ます?」
「ええ、いいですよ。今手配して・・・」
「できれば3本欲しいんですが」
「3本?」
「あの盗賊さん以外にもこっちを見てきた人たちが居まして、それくらい必要かと。盗賊さんが居なくなった時に一緒に居なくなってましたが」
ゴードンは胃痛で3ダメージ受けつつ答えた
「・・・・分かりました、後で書類にサインをください」
「はい」
勇者は汎用ナイフを3つ手に入れた。そしてポチィと共に北門を出た勇者はアレクシスとイアゾアを見つける
「なんか、さっきから担架持った衛生兵の人に見られてる気がするし、戦士の人がピリピリしてるけど、何かあったのかな? あ、アレクシスさーん!イアゾアさーん!」
「ワン!ワン!」
「ほっ! ユート様、こっちですよ~」
勇者と目が合ったアレクシスは手を振り、一緒に行動していたイアゾアに話し掛けた
「イアゾアちゃん、ユート様が戻りましたよ」
「今イク・・・」
アレクシスは隣のイアゾアに話し掛ける様だったが、何故かやや後ろを向いて話しかけている。アレクシスに応えるイアゾアは前を向いたままだ
「テクテク・・・」
勇者達は彼らの元まで歩き、彼らも勇者の元まで歩み寄る
「イアゾアさん、なんかガタイがよくなって・・・?、なんか変だぞ」
「ワウ?」
「どうしました?ユート様?」
勇者はアレクシスの目の前まで近づいたが、イアゾアはまだこちらに歩いて来る
「ああ・・・そういうことか」
「グルルル・・・・」
勇者はイアゾアの影に入り、ポチィーはイアゾアを威嚇している
「オカエリ、オヤブン」
イアゾアはハイエナからオオハイエナに進化していた
「大きくなりましたねぇ・・・、イアゾアさん」
「飯食ッタ。身体ガ、追イツイタ」
「・・・・ううッ!」
勇者はイアゾアに片手を置いて寄りかかり泣いている
「ド、ドウシタノ? 親分??」
「はじめての進化イベントを見逃したぁああ!!!! うわあああぁぁぁぁ!!!」
「ユート様どちらに!?」
勇者は雄叫びを上げて走り去ってしまった!
「アウッ」
だが、そんな勇者をポチィーはズボンのすそを咥えて止めた
「ふ!?いっっち!」
勇者は転び、3ダメージを受けた。後から追いついたイアゾアにポチィーは尻尾を摘ままれ、勇者ごと持ち上げられる
「オヤブン、ダイジョブカ?」
イアゾアは勇者に話し掛けられ、勇者は・・・
「この世界には進化前に戻すアイテムとかないのかぁ!! B連打か!?B連打なのか!!」
「ツンツンツンツンツンツンツンツンツンッ」
取り乱した勇者は、イアゾアの鼻を人差し指の先で連打した
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