第128話 勇者、装備をアップデート
カジノの後、再び道具屋に来た勇者達。道具屋の店主の言葉を聞いて、少し考え込んでいた
「食事かぁ・・・、そう言えばレストランとか行って無いな。ゴードンさんなら飯屋行こうって誘われた事あるし知ってるかな? 僕から誘ってみよ、・・・真理さんが居ない内に」
勇者の独り言を聞いて店主は言った
「何かと面倒かけてるみたいだから、ついでに奢って労ったらどうだ。特に最近忙しいみたいだからよ」
「はい、そうします。でもその前にオジサン、荷物が増えてきたので新しいポーチが欲しいんですけど」
「ポーチね、荷物を増やしつつ身軽さも欲しいってとこか」
「はい」
「ふむ…、低予算で済ませるなら、今使ってるベルトを使いつつ装備を追加するのがお勧めだな」
「おお!装備のアップグレード! それ楽しいんですよね」
「なに興奮してんだよ。んで、予算はどれくらいだ?」
「8000ゴールドです」
「8000!? そんな金持ってたのか!?」
「カジノで増やしたので」
「ホレ、見ロ、ニンゲン」
イアゾアは店主の前に金貨の入った袋を置いた。店主は中身を確認した
「おおう、確かにそれくらいはあるな…。これならかなり拡張できるが、全部使っていいわけじゃ無いんだろ?」
「そうですね・・・、2000ゴールドぐらいは残して欲しいです」
「それでも多いって・・・。まあ、取りあえず品物を出すから、その中から好きなもんを選んでくれ。分かってると思うが欲張りすぎても身動きできなくなるだけだぞ、慎重に選べ」
「はい、自分のレベルに合わせて選びます」
店主はいくつかの品物を棚から取り出し、カウンターに並べ、勇者に言った
「よし。用量増やすならこのバックパックはどうだ。腰の後ろにつけるタイプで、キャンパス地と革を組み合わせ、ある程度軽量化しつつも丈夫な作りになってる。座る時にも邪魔になり難いサイズだ。ただ手元が見えないから手探りで物を取る事になるから細かい物は入れるなよ」
「はい、それにします」
店主は勇者の言葉に困惑している
「慎重に選べって言ったのに、即決しやがったな…」
「アイテムは尻から出し入れするものですから。それならピッタリでしょう」
「妙な格言だな。足の前に装備を付けると動きを妨げるから、その戒めか? それじゃあ、バックパックを使う前提で話を進めるぞ。中に入れる荷物が増えるとベルトが食い込んで負担になるからな。サスペンダーで肩に負担を分散するか、パッドをベルトに通して負担を和らげる必要がある」
「見せてください」
「ほらよ、これがサスペンダーだ。これをベルトに固定して肩に背負う様にして使う」
「腰に巻いたベルトをリュックの様に背負うわけですね」
「ああ。それでこいつがパッドだ。ベルトを通して身体に当たる面積を広げ負担を軽減する。バックルの裏もカバーするから、転倒した際にバックルが当たって怪我するのも予防できる」
「じゃあパッドをお願いします。高い所から飛び降りた時、地味に痛かったんですよね。後で追加して両方使える様にも出来ますか?」
「もちろん出来るぞ。色んな組み合わせを試して、これだと思う組み合わせが出来たら防具屋に行け。オーダーメイドで1から身体に合うピッタリな物を作ってくれる」
「はい、後で覗いてみます。場所はどこでしょうか?」
「やっぱりこの辺りの地理を把握してないのか・・・。必要な店の位置くらい調べとけよ」
「自分で探索して見つけるのが楽しいんじゃないですか」
「そう言わず地図くらい持っとけ! ほれ、外からの旅人用の地図をやるから、何でもかんでもウチの店で済まそうとするなよ。タダでくれてやるから」
勇者は街の地図を手に入れた
「ありがとうございます。帰ってから見てみます」
「そうしてくれ・・・。こんなご時世だ、最新のモノじゃないから幾つかの店は潰れてるかもしれないから注意しろよ」
「はい、バックパックとパッドをください」
「おう、450ゴールドだ」
「安いですね」
「これ以上いいもんはウチにはねえの、旅人相手に安物の雑貨を売る店だぜウチは。不安なら買うのを止めて防具屋に行ってそろえろ」
「いいえ、ここの装備は信頼してますから。買います」
勇者は450ゴールド払った。勇者はその場で装備した
「そいつはどうも・・・。まいどあり」
勇者は買い物を終え帰ろうとすると、イアゾアが呼び止められた
「買イ物、終ワリ? 俺モ、買イタイ。親分、オ金、貸シテ」
「イアゾアさんも装備のを買うんですか? 僕がお金出しますよ」
「イイノ?」
「パーティーメンバーの装備や宿代の資金を出すのも勇者の役目ですから。でも何が欲しいんです?」
「コノ袋」
イアゾアが持ってる袋を見て道具屋の店主が疑問を言った
「雑務用の大袋だな。でもお前には大きすぎないか?」
「大丈夫、直グ、大キク、ナル」
「そんな子供服じゃあるまいし・・・。ちなみにどう使う気だ?」
店主は嫌な予感がしたので質問した
「物、入レル」
「まあ、そうだよな・・・」
店主がイアゾアの答えに安心したが、イアゾアは続けて言った
「重イ物イッパイ。ソレデ、敵ヲ殴ル」
「やっぱりキサマもソイツと同類か!」
道具屋の店主のツッコミが響いた。勇者の追撃
「おお! 良いですね、そのロマン武器! 買いましょう!」
「だから武器屋じゃねえ! ウチは道具屋だ!」
店主の精神に2ダメージ受けた。勇者は続けて言った
「いくらです?」
「120ゴールドだよ! もう勝手にしやがれ!」
勇者は120ゴールド払った。イアゾアは大袋を装備した
「じゃあ帰りますねオジサン、さっそく金貨をバックパックに入れてみよう」
勇者は金貨の入った袋をバックパックに入れ
「シュ…、ジャラ、シュ…、ジャラ」
何度か出し入れした
「うーん、この腰の後ろからアイテムを出し入れする感覚、いいですねぇ・・・」
勇者は興奮している。店主のツッコミ
「何を喜んでるのか知らないが、さっさと行け!」
勇者達は道具屋を後にした
「ワンコロ、お前も帰りな」
「ワン!」
ポチィーも道具屋を出て行った
「はぁ、まったく・・・」
店主は勇者との商談によりレベルが上がった。ジョナサンはレベル37になった
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