第118話 暴食の蛇

 しぶといハイエナの攻撃により視力を失ったグリーンサーペント


「ガアァァァァ!」


 だが目を負傷してもなお、闘志を燃やしアッシュ達に襲い掛かった。グリーンサーペントの攻撃!


「ドオン!」


 太い尻尾がアッシュに振り下ろされた。アッシュは振り下ろされた尻尾に合わせ、棒を両手で持ち横に払いながら横のその攻撃を躱した


「ぐうッ」


 直撃は避けたがそれでも無理な動作で腕と足に負担がかかり、アッシュは5ダメージ受ける


「アッシュ! あ!」


 叫ぶトーマスにむかってグリーンサーペントは更に尻尾で薙ぎ払った


「ブゥン!」


 トーマスは棍棒で受け止めたが勢いで吹き飛ばされ木にぶつかるり12ダメージを負う


「があ!」


 傷ついたトーマスに向かってグリーンサーペントは口を開け牙をむく


「トーマスゥ! やろうッ!」


 アッシュは鍋の蓋をグリーンサーペントに投げた。ダメージを入れられなかったが注意がアッシュに向いた


「シュウ!」


 アッシュッは ”さあ来い! 頭をオレに近づいた瞬間傷口に棒をねじ込んでやる!” と思い持ち構えたが


「グググ・・・」


 グリーンサーペントは身を振るわせたまま動かない


「なんだ?」


 アッシュがその様子に混乱していると、グリーンサーペントの度が膨らみ首に絡まった縄が切れた


「まずい!」


 アッシュは嫌な予感を感じ、とっさに木の影まで走って隠れようとした。だが隠れ終える前にグリーンサーペントの攻撃がアッシュに向けられる


「グェラアアァァアア!」


 グリーンサーペントは今まで食べた獲物をアッシュに向かって吐き出した! グリーンサーペントの吐き出す攻撃!


「ばっちい!? くっ!」


 アッシュはどうにか木の陰に隠れのに間に合った。グリーンサーペントの吐き出す獲物の骨、鎧、武器が木に一斉にぶち当たる


「ガンガラゴンガラガンガッゴッガン!」


 アッシュは木の陰で木のきしむ音と胃液の不快な臭いに耐えながら、考えた


「くっ! 蛇は前に食べた獲物をストレスで吐き出す奴が居ると噂で聞いたが…攻撃に使うか普通! ん、トーマス?」


 木の陰からこっそりと様子をうかがうと、トーマスが音をたてない様にゆっくりと近づいていた


「・・・・・せぃッ」


 トーマスはグリーンサーペントを間合いにとらえると同時に攻撃しようとしたが


「ガアァア!」


 グリーンサーペントは首をトーマスに向け噛みつこうとした、しっかりと獲物を見定めたかのように


「うわ!」


 トーマスはとっさに飛び引いて攻撃を避けて離れた。その様子を見たアッシュは動揺する


「まだ見えているのか!? ・・・いや、あれは」


 トーマスも木の陰に居るアッシュと同じ考えにいたった


「ピット器官ってヤツか、熱を見る目は健在か」


 アッシュはトーマスに木を上る様に小さく声を出しながらゼスチャーした


「上、上ッ」


 トーマスはアッシュの意図を察したが首を振り拒否し、グリーンサーペントが吐き出した片手剣が地面に突き刺さっている場所を指さしてアッシュに上に行くように合図した


「お、ま、え、が、行け」


「オレェ!?」


 アッシュは動揺して、アッシュが反論する間もなくトーマスが大声を出してグリーンサーペントを挑発してしまった


「なに呆けてやがる蛇野郎! こっちにホットな獲物のが居るぞ!」


「ガアア!」


 グリーンサーペントがトーマスの方にむいて追いかけて行った。トーマスのスキル発動


「せい!」


 スキル”強壮” トーマスのスタミナが一時的に上がる


「ひいいいい! やっぱカッコつけるんじゃなかったか!?」


 トーマスがはグリーンサーペント全力で逃げた


「アイツ勝手におっぱじめやがって!」


 アッシュは急いで地面に刺さった片手剣を取りに行き、剣を掴んだが


「うっ!」


 片手剣に付着した胃酸で手に痛みが走る。激痛と言うほどでもないが不快にさせるには十分だった


「後で覚えてろよトーマスッ! せい!」


 アッシュは適当な背の高い木を見つけ、トーマスにわかる様に斬り付けて印をつけてから上った


「ガアア!」


「ふん!ふッ!よ!」


 トーマスは棍棒をスリングで背負いながらグリーンサーペント攻撃を躱すことに専念する


「距離が離れると正確にこちらの位置をつかめないみたいだな!ヘビ公!」


「ガアア・・・グガァ!」


 グリーンサーペントの吐き出す攻撃!


「まだ胃に入っていたのか!? ええい!」


 トーマスの棍棒によるスキル”カマイタチ” 迫りくるグリーンサーペントの無い放物を自分に当たらぬように、空気の刃で弾き飛ばし身を守る事に成功した。だが射程が短くグリーンサーペントまで空気の刃は届かなかった


「うわ、臭っせえ! お」


「ん・・・」


 気絶していたしぶといハイエナがうめき声を出しているのを見たトーマスは、起そうと石を拾い投げた


「起きろ!」


「ぬ…む・・・」


 だがしぶといハイエナは起きる様子は無い。グリーンサーペントは再びトーマスに向かう


「あっわわ! 起きろ! おい! おきろぉ!」


 トーマスは逃げながらも石を拾いしぶといハイエナに投げつ続ける


「カツン、カツン、コッ」


「むむ・・・むにゃ」


 だが何度小石が当たってもしぶといハイエナは起きる様子は無い


「こんでどうだぁ!!」


 トーマスは大きめの石を拾いしぶといハイエナに投げつけた


「ゴンッ」


「いて!なんだ!?」


 しぶといハイエナは跳び起きた


「シャアアッ!」


 グリーンサーペントはしぶといハイエナの声に反応してそちらに向かう。どうやら恨んでいた様だ


「わあああああ!まだ生きてたァ!?!?」


 しぶといハイエナの全力の逃亡


 グリーンサーペントはハイエナを追いかけたが追いつけず、しぶといハイエナの熱を見失う


「こっちだ!!!」


 木を登り切ったアッシュがトーマスに叫ぶ、それを聞いたトーマスが大声でハイエナを読んだ


「ハイエナ!お前もこっち来い!」


「え?なに!?」


 トーマスの声に立ち止まり声を出すしぶといハイエナにグリーンサーペントは再び襲い掛かった


「わあああああ!」


「あの印が書いてある気まで走れ!」


 しぶといハイエナはトーマスと合流し、印の有る木まで走った


「シャアアアガアア・・・・」


 2人は木の前に立ち、グリーンサーペントは熱源が二つになった事で立ち止まって二人を睨みつける。小さな声でしぶといハイエナはトーマスに聞いた


「こっからどうするんだ?」


「攻撃して来たら右に避けろ、俺は左に避ける」


「それから?」


「・・・天に任せる」


「おい!なんだよそれ!」


 思わず大きな声を出してしまったハイエナに向かってグリーンサーペントが襲い掛かろうと・・・


「せえい!」


 グリーンサーペントが攻撃しようと一瞬止まった隙にアッシュが飛び降りて眉間に片手剣、ソープファルシオンを突き刺した! 16ダメージあたえた


「ガアガ!?」


「パキンッ」


 しかし止めにはならず、グリーンサーペントが暴れて剣が折れてしまった


「ッ!」


 足を滑らせ落ちそうになったアッシュだったが、牙に突き刺さった鍋がつま先に当たり、少しの間足場になりどうにかしがみつく事が出来た。アッシュは折れた剣をグリーンサーペントの目に突き刺す。10ダメージ


「ガアア!?」


 するりと鍋が牙から抜け地面に落ちるころ、トーマスとハイエナがグリーンサーペントに攻撃!


「おりゃあ!!」


 トーマスのカマイタチ! 13ダメージあたえた


「追い回したお返しだコノヤロ!」


 しぶといハイエナの連続ひっかき! 17ダメージあたえた。たまらずグリーンサーペントは根の前の木に巻き付きながら登って逃げようとした


「逃がすかよ!」


 アッシュは来れた剣を引き抜き、落ちながらグリーンサーペントの身体に突き立てそのまま切り裂いた


「ズシャアアアアアァァァァ!」


「がああ!」


 グリーンサーペントに20ダメージ!グリーンサーペントはもがきながら塵になり、食べた装備をまき散らしながら倒れた


「やったぜ!」


「よくやったなアッシュ!」


「うわあん!俺生きてる!」


 アッシュはレベル14になった


 トーマスはレベル11になった


 しぶといハイエナはレベル9になった


「カリン・・・」


 毒蛇の紋章を手に入れた

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