第102話 ハイエナ達は今日も元気なようです

 女神に呼び出されていた勇者。疲れが残っていてまだ眠気はあったが目を覚ました勇者だったが・・・・辺りは暗かった


「うん?、女神様目覚める時間だって言ってたけど、まだ真っ暗じゃ・・・ああ、蓋があるんでしたね。どっこいしょっと」


「ドス」


 勇者はベットの蓋を開けた


「木の窓の隙間から光が入ってるけど・・・・薄暗い部屋だな。ガラス窓って高いのかな?よっとッ」


「ガチャガチャガチャ・・・・シャキン」


 勇者はベットから出て装備を整えた


「よし!じゃあ行くか」


 勇者は階段を下りて下の玉座の間に行ってみた、すると・・・真理とボランをはじめとするハイエナの仲間達が集まっていた


「お、来たな親分さんよ」


「ゆうと、おはよ~」


「親分おはようございます」


 勇者はみんなに挨拶した


「おはようございます。みんな集まってどうしたんですか?」


 勇者の質問に真理とボランが答えた


「あたしとボランが集めたの、軍に先手とられるのはしゃくでしょ?」


「おう、奴らはもう動き出してる。今のところ野営地に毛が生えたような規模だが、直ぐに手出しできなくなるぜ。破壊工作でも仕掛けるか・・・」


 ボランの提案を真理は却下した


「却下、まだテントぐらいしかないじゃない、直ぐに修復されるわ。やるとしたらもっと大きくなった後よ」


 勇者は真理の言葉に頭を抱えている


「破壊工作自体は否定しないんですね真理さん・・・」


「あらダメ?あたしを勝手に召喚してくれやがった連中に一泡吹かせてやりたいんだけど。そんな事より座ったら?今後の方針を決めましょ」


「はい」


 勇者は玉座に座った


「そう言えばジョージ王様達はどうしたんです?」


「帰ったわ、ずいぶんごねてたけどシンシアに取り押さえられてね」


「シンシアさんも大変だな。そうだボラ・・・」


「ガタン」


「報告!あ、親分起きたんですね。ちょうどいいや」


 勇者がボランに何か言おうとしたところ、屋敷に入って来たしぶとそうなハイエナが勇者に報告して来た


「親分、軍の連中が陣地の構築に紛れて偵察隊を森に放って何か調べてるみたいですが、どうしやしょう?」


 勇者、真理、ボランはハイエナの報告に首を傾げた


「偵察隊?さっそく攻略に乗り出したのかな?」


「陣地が整ってないのに?違うでしょ。何か探しものとか?」


「気になるな・・・あ、親分さんよ、さっき俺に何か言おうとしてなかったか?」


 ボランが勇者に聞いた


「はい。ババルさん達に水源の有りかを聞いてみてくれませんか」


 真理は聞きなれない名前を聞いて勇者に聞いた


「誰?」


「捕まえた亀のモンスターです」


 ボランは勇者の命令に答えて何か思い立った様だ


「水源か。おう、さっそく締め上げて聞き・・・・・そうが!水か!」


 真理もボランの水と言う言葉に反応した


「そうか、軍の奴ら水を探してるのね。昨日見せつけて来た前線基地の予定規模を考えると大量の水が必要でしょうし」


「そうか、水源を俺達が先に確保して主導権を握ろうって事か!さすがユートの親分さんよ!ガハハハァア」


 高笑いするボランに真理はツッコミを入れた


「偵察隊を先に出されてる時点で後手に回ってるんだけど?」


「なに!?そうか!このままだと主導権を完全にとられちまう・・・行くぞ野郎共!」


「「御意!」」


 ハイエナ達を連れて立ち去ろうとするボランを真理が呼び止める


「待ってボラン。やるならハイエナ全軍出撃させる様な規模でやっちゃって」


「ここの防御はどうすんだ!?」


「軍に丸投げしちゃいましょう♪あいつ等にとっても重要拠点なんだし、働いてもらいましょ」


「腹黒いなオメェ・・・いいのか?ユート」


「はい、いいですよ。いってらっしゃい。あ、仲間にできそうなモンスターは捕まえて来てくれると嬉しいです」


 勇者の答えにボランは気合を入れて叫んだ!ハイエナ達も熱気に包まれている


「よっしゃーぁ!でも雑用は残していくからな。腕っぷしがあるヤツにかったっぱしから招集かけろ!」


「へいよ!ボラン」


「ヒャッハー!亀共の縄張りにカチコミじゃぁ!!」


「散々ちょっかい出してきた事を後悔させてヤル!!」


 勇者の許しを得て、興奮したハイエナ達が蜘蛛の子を散らす様に去って行った。はしゃぐハイエナ達を見て真理は頭を抱えた


「まるで抗争を始めようとするヤクザね・・・」


 勇者は真理に同意しながらここに居ない仲間について聞いた


「ええ、荒くれ人口が多すぎますからね・・・もっと平和的な住人を増やさないとスラム町になっちゃうかも。そうだ真理さん、トーマスさん達はどうしたんですか?」


「外でアッシュとうなだれてるわ。そろそろ朝食の時間だし、外に出て様子を見に行きましょうか」


「そう言えばトーマスさん達は追放処分になったんでしたっけ?」


「追放と言っても城下街に入れなくなっただけみたいだけどね。実質お咎めなしみたいなものなんだから、そのうち元気になるでしょ」


「グ~・・・」


 勇者のお腹が鳴った


「朝食か、身体の回復の為にしっかりと食べないとなぁ・・・・朝食?」


 勇者は嫌な予感を感じながら真理と屋敷を出た

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