第94話 魔物バイキング

「ジョージ王様、駄犬の処罰は終わりました」


「うむ、ご苦労であったシンシア」


 シンシアはボランを攻撃した後何事もなかったかのように、平常心に戻っている


「うう・・・」


「今回復しますねボランさん、ホイリン」


 勇者はボランに回復魔法を唱えた、ボランは23回復した


「うぐ、クソッ・・・みじん切りにされるかと思ったぜ。クソ痛てえ」


 だがボランは立ち上げれない様だ


「あれ?回復したのに動けないんですか?」


「回復したからって直ぐに動けるか!オメェじゃなんだからよ。たく、全身痛くてしょうがねぇ」


 勇者は不思議そうにボランを見つめている


「うーん、HPがあれば何とかなるだけどなあ」


「なるか!ゾンビと一緒にすんな」


「ははは、ゾンビじゃありません勇者です。ちゃんと生きてますよー」


「嘘つけ!あんなボロボロになってまで動ける人間なんて居てたまるか!」


「まあ、言われてみれば魔物にとって勇者はゾンビしか見えませんよね。何度も復活しますし」


 勇者とボランが話していると、アッシュが魔物を切り伏せながら勇者に話しかけて来た


「勇者さん!敵の勢いが強くなってます!何か!打開策は!無いですか!」


「ガシュ!」

   「ぎ/えぇ」

     「シャァァン、バシュ!」

       「う/がぁ」

    「ブス」

   「お┃ふ」


 アッシュは魔物が振り下ろす棍棒を姿勢を低くして紙一重で躱しながら相手のスネを切先ギリギリで地面を這うように切り込み相手を地面に転ばせ、側に迫って来た別の魔物の攻撃をしゃがんだ姿勢のまま剣を頭上に斜めに構えて受け流したの同時に立ち上がり斬り付け、転ばせた魔物を踏みつけ突き刺した


「お見事」


 勇者がアッシュの戦い方に感心していると、屋根から真理の声が聞こえた


「ちょっと、あたし足元まで手が回らないから敵を近づけない様にして」


「了解しました隊長!勇者さん、サポートお願いします」


「はい。とは言うもののどうすれば・・・あ、そうだ。ちょっと待っててくださいね」


「勇者さんどこ行くんです!?」


 勇者はしばらく持ち場を離れ、巨大な鉢植えを抱えて戻ってきた


「お待たせしました」


「何ですかそれ?」


「試しに僕の代わりに戦わせてみようかと思いまして」


「クパァ」


 植木鉢から暴食イチゴンが現れた!その姿に真理は驚きの声を上げた


「え!それ土管から出てくるアレじゃないの!?」


「花じゃなくてイチゴですから問題ありません。でわアッシュさん行きますよ!ヒウィゴー」


「え?あ、はい。大丈夫かな・・・・」


 鉢植えを持ってる為に目立ってしまい、魔物の注目を集めてしまった


「ギャハハ、なんだアレ!」


「なんだぁ?オレ達にデザートを用意してくれてんのか!」


「真っ先にアイツ食っちまおうぜ!」


 魔物達が勇者に向かって来る。アッシュは頭を抱えた


「やっぱし・・・。ここは通さないぜ!」


「ぎ/い」

   「あ/ば」

     「あ/ふぅ」


 アッシュが魔物達を流れるような動きで斬り付けた


「今だ!」


「あ!ダメですよ勇者さん前に出ちゃ!」


「クパァァァ、ッン!」


 魔物が弱ったのを見計らって勇者はイチゴンに魔物を食べさせた


「ガシュ、ムシャ、ボリ」


「うわぁ、むごい・・・」


 アッシュは絶句している


「貴様よくもふざけた攻撃で仲間を!」


 次々と襲ってくる魔物の攻撃を勇者は飛行スキルで身体を軽くし、バク転や宙返りをして躱した


「えい!やぁっ!やっふぅー」


「パクパク、ガブ」


 攻撃を躱され隙が出来たところをイチゴンが次々と食べていく


「なんて身軽な動き、さすが勇者殿!・・・おや?」


「もう、あの人だけで良いじゃないかな・・・ん?!勇者さん!なんかおかしいですよ!」


 王とアッシュが勇者の戦いの様子を見ていると、二人はイチゴンの異変が起きてる事に気付いた


「え?何が・・・・おや?イチゴのようすが・・・・」


「グルルル・・・」


 暴食イチゴンは小刻みに震えている


「勇者殿!早くそのイチゴを手放すのだ!」


「なんかよく分からんが危ないですよ!」


 王とアッシュは警告したが勇者は聞こうとせず


「あれ?これはまさか…。BBBBBbbbビービィビイ」


 勇者は謎の呪文を唱えた


「何ですかソレ!負け分かんない事してないで早くソイツを・・・」


「いや、待つのだ。見よ、あの魔物のようを」


「グルゥ・・・」


 暴食イチゴンは大人しくなった


「ふぅ、無事にキャンセルできたみたいだな」


「ポン!」


 暴食イチゴンのお尻?から小型のイチゴンが生まれた


「「え!?」」


 勇者達は驚き混乱したが、その間に小型のイチゴンが次々と生まれキャーキャーと奇声を発している


「ポン、ポン、ポン、ポン!」


「「キャー、キシャー」」


 暴食イチゴンは子連れイチゴンへと進化した


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