第92話 親分のボスですよ、その人
農村跡地を守っていた柵は壊れた。敵からの圧力が弱まり不審に思った王達は
「敵の勢いが弱まった?」
「まずいですわ、農村跡地の防御が崩されたのではなくて?」
「なに!敵を追い込み過ぎたか」
「ガウェン卿と私で敵の包囲に穴を開けますわ。ジョージ王様よろしくて?」
ベルモッドの問いに、王は頷き指示を出した
「うむ、よかろう!エドワルズ卿とゴードン伯爵はここで指揮を、ルーファ卿は前方に出る我々の援護だ!シンシア、我々も行くぞ!」
「えぇ!?ジョージ…ァ王様何を言っているんです!」
「敵が前方に逃げたのは、後方の我々を脅威と感じ、前方の方がが安全だと見たからであろう、ならば我々が勇者側と合流し戦力を上げれば敵は農村跡地から撤退する」
「そうかもしれませんが、そうなると我が軍に危険が・・・」
シンシアの言葉を聞いて、エドワルズは王に発言した
「ご心配には及びません。ジョージ王様、ここは我々にお任せを」
「うむ!では行くぞ!」
「ああもう・・・メイド隊!王には掠り傷一つ追わせませんよ!」
「「はっ」」
「このガウェンが雑兵を穿つ!ベルモッド嬢は側面の敵を切り裂いてオレの開けた穴を広げてくれ、アレ持ってんだろ?」
「そのつもりでしてよ。さあ、皆さん私達の後に」
「うむ!皆、準備は良いな・・・突撃ぃ!!」
「おう!ハイャア!」
「ヒヒィン」
ガウェンが馬に鞭を入れ、二本の大きな杭が前に突き出た戦車を敵陣に走らせ、魔物達を薙ぎ倒しながら突き進んだ
「ガゴン!」
「がっ!」 「どか!」
「グシャ!」 「バキン!」
「ガハハハハハ!どうだ!魔獣の角を加工した杭の味は!」
ベルモッドがその戦車の後に続き、武器を鞘から抜いて両手を大きく広げた姿を見た魔物はベルモッドを見て嘲笑った
「何だアイツ、あのレイピア、刀身がついてないじゃな・・・」
そう思ったのもつかの間、暗闇にギラリとベルモッドの武器の刀身の側面が月明りを反射してギラリと光った
ベルモッドがニヤリと笑う。そして大きな音を立てながら側面の敵を見えない刃で細切れにして行った
「シャン、シャン、シャン!」
「みぎゃあ!」
「武器が見えなかったのですか?、ごめんあそばせ。しかし淑女が武器を見せびらかす姿はお見苦しいでしょう?」
ドンドン切り刻まれていく魔物の姿に王は驚き、シンシアに尋ねた
「シンシア!アレは何だ!?レイピアの柄しか持っていない様に見えるが」
「あれはウルミですジョージ王様、薄いリボンの様な刀身を重ねた剣とムチの間の様な武器です」
「シャン、シャン、シャ・・・・」
ベルモッドの振うウルミの雷鳴の様な音が響いていたが
「バチバチィ!」
やがて本物の雷撃が前方の魔物を襲い、王は姿勢を低くし身を守った
「くっ、マリーの電撃魔法っ」
一気に魔物が倒された事で塵が辺りに霧が立ち込めたかのように舞い上がる中、戦車は魔物を跳ね飛ばしながら突き進む。ガウェインが次の攻撃の気配を感じ警告する
「2撃目がくる!そのまま突っ込むぞ!」
「次は直撃しますわ!ジョージ王様に降りかかる電撃は私が受け止めます」
「任せたぞベルモッド!」
「ガンガン!バチバチ!」
ベルモッドがウルミを広げた、そしてウルミを回して電撃をからめる様に受け止め、刀身に帯電する電気を横に振って落とす。
「ふん!」
「グルンビュングルグル、ビリビリ・・・バチン!」
ベルモッドが振り落とした先に居た魔物にも電撃で18ダメージあたえた
「ぎゃあ!」
その魔物の中の一人、しぶとそうなハイエナは気絶した。そんな事ににも気づかずジョージ王一行は迷わず進んだ。シンシアは王の身を案じて声をかける
「ジョージ王様、お怪我は?」
「大丈夫だ・・・魔物共をけちらせぇい!勇者殿は何処かぁ~!?勇者殿ぉ!!」
「あれ?王様?何でここに」
王は勇者を発見した
「勇者殿!今行きますぞー!」
王は勇者の元まで馬を走らせた
「ちょっとジョージ王様ぁ!?危険です!離れないでください!」
シンシアの声も届いておらず、王は疾風のの如く馬を走らせた
「ダダダダダダダダ!」
「勇者殿ッ、とう!」
王は勇者が立っている屋根にむかって、馬を捨て跳躍した!王の威厳も忘れて
「ユートさまぁ~♡うむ?・・・むぎゃあ!!!」
王は巨大なに掴まれて地面に叩きつけられた!ジョージア王に15ダメージ。シンシアの悲痛な叫びが響いた
「じょぉーじうああぁぁぁぁ!!!」
そんな叫びを気にも留めず、ジョージ王を地面に叩きつけた張本人、ボランはドヤ顔で勇者に話しかけていた
「いきなり突撃してきて真っ先にウチの親分を狙うとは、油断ならない奴だ・・・。危なかったな!ユート親分さんよ」
「あの・・・ボランさん、その人味方です」
「え?」
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