第91話 魔物に止めを刺すのは切ない?そんな事じゃ勇者は務まりませんよ

 森から逃げる荒くれヒツジが息を切らせながら走る、他の魔物に追われながら


「ヒャッハー!どけつってんだろヒツジ共!」


「ひぃ~なぜこんな大群がぁ!?…ハッ!そうだ、こんな大勢の魔物が居んだから人間共も撤退して・・・」


 魔物の考えをあざ笑うかのように、後ろから軍楽隊の太鼓の音が響いていた


「ドンドンドンドン!」


「めぇ、めぇ…、太鼓鳴らして追ってきやがってクソがぁ!」


「ん?人間共の軍か!」


「略奪の前に楽しんでやるぜ」


 幾つかの群れが後ろの軍に気付いて反転し、軍を襲った


「敵勢力が反転!来るぞ」


「焦るなよ、訓練道理にやれ!」


「「オオー!」」


 軍と魔物が戦闘状態になった。その頃、勇者はボランに合流した


「敵はどこですかボランさん」


「おう、来たな。そろそろ柵に引っかかる頃合いだ」


 トカゲの様な魔物が荒くれヒツジを追い越し、柵を乗り越えて侵入しようとしていた


「ヒャヒャ!俺が一番乗り・・・」


「ウネウネ・・・」


 柵に巻き付いていた何かが、柵を乗り越えようとした魔物をを捕らえた


「パキパキ・・・」


「ぐわ!?何だコレはッッ!…ぐぶら!」


 吸血イバラは魔物を締め上げ19ダメージを与え、魔物を塵と変えた。その後も次々と柵に近づいた魔物がイバラに捕らえられた。その光景を感心しながら見る勇者にハイエナが指示を求めた


「あのイバラってあんなに強かったのか・・・」


「余ったババルのスープを肥料代わりにぶっかけたら育っちまいまして」


「へー、また作って、イチゴの肥料にしてみようかな」


「親分、そんな事より指示を」


「はい、引っかかっている魔物に投げ矢で攻撃してください」


「御意!そぉら!」


「ヒュン、ヒュン」


 ハイエナ達は取っ手の付いている板の上部の溝に矢を置き、矢を投げた。ハイエナ達の矢が攻めて来た魔物達を襲う、魔物達に12~18ダメージあたえた


「プス、プス」


「痛ッ、えぇい!鬱陶しい」


 魔物達がイバラと矢に苦戦している間に、兵士達が後ろから追いついた


「敵本隊を捕捉!蹴散らせぇい!」


「後ろから人間共も来やがったか!こん野郎」


「ぐぬぬ、こんな場所でサンドイッチになってたまるか。どりゃああ!」


 荒くれヒツジが柵を突破したして無我夢中で走った


 ”走れ…誰も追いつけないほど早く!もっと早く!”


「メェ~~~エエ!」


 荒くれヒツジの生存本能が奇跡を呼び、目にもとまらぬ早さで駆け抜けた!そして勇者達が居る場所を猛スピードで通り過ぎていった


「ビュゥゥゥゥン・・・…」


「え!?何ですか今の?」


「俺の目でも追いつけないだと!?」


 突然の事態に勇者達は固まった


「ヒツジっぽい見た目に見えましたけど・・・どうしますボランさん?」


「一匹じゃ何もできまい!後ろで守ってる奴に任せて前だ前!なにお前らボケてやがる!」


 ハイエナ達の手が一瞬止まった隙に、魔物達が柵を壊し入って来ようとしていた。その中にはボスと思われる大型種も何体か居る。その魔物達に気を取られちいる隙に荒くれヒツジは走る!


「うおお!やったぞ!でもこれ曲がれない!くそぅ」


 前方の屋敷にぶつかると覚悟してたその時、地下室に続くと思われる扉がある事にきづいた


「しめた!扉をぶち抜けば衝撃も和らぐだろう。このまま!」


「ギィ」


 そう考え扉に頭突きを入れようとしたところ、扉が開き中から人間が出て来た


「どけ!どけ!邪魔だぁ!!」


「シュッ!」


 前に居たはずの人間が視界から消え、荒くれヒツジの左腕に痛みが走った


 「痛で!」

「ガシュ!」


 そして荒くれヒツジは自分の鼓動が止んだのを感じた。それでも身体は前に進み、階段に落ちて行った


「ガコン!ガラガラガラ!」


 荒くれヒツジは全滅した


「シュゥ・・・」


 柵にはばまれていた魔物は 王国軍に押されている


「「ウオオォー!」」


「後ろは人間共に抑えられた!前方に撤退するぞオメエら!」


「バキバキッ!」


 魔物が柵を壊そうとバキバキと鳴らし、覚悟を決めた勇者だが、不意にステータスが更新された


 ”荒くれヒツジを初めて全滅させました♪称号、魔物保護反対”


「あれ?何で称号得たんだろう?」


 ”妹の為じゃなくてもお兄ちゃん頑張っちゃうぞ♪ぃやにお任せ♥黒いお化けなんて怖くない!”


「なんだこれ、今まで出なかったのに。女神様どんなデバックしたんだろ?・・・・・暇な時にイノシシに乗ってみようかな?」

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