第90話 前門の勇者、後門の王国軍

 新たに表れた大型の魔物を倒したのもつかの間、エドワルズは逃げる魔物の行く先に大群を発見し、皆に知らせた


「敵性勢力多数!農村跡地にむかっているぞ!」


「くっ、一端陣にもどりますぞ」


 前方に出ていた三人の貴族は陣の中に戻って態勢を立て直した。状況が変わり、王とベルモッドが相談を始める


「統制のとれていない烏合の衆・・・厄介な」


「ここまでに魔物が潜んでいようとは・・・これはマズくありませんこと?」


「このままでは勇者殿が・・・」


「撤退いたします?」


「馬鹿を言うな!急いで追撃せよ!」


「了解いたしましたわ。軍楽隊!奏でよ!」


「全軍早足!絶対陣形は崩すなよ!」


 軍楽隊の奏でる太鼓のリズムに合わせて足早に行進した


「ドンドンドンドンッ」


 その頃、農村跡地での勇者達は


「ふ~、良い湯だったわ。ちょっとトラブルもあったけど」


「あ、真理さんお風呂出たんですね。じゃあボランさん、僕はお風呂に入ってきます」


 勇者はボランに別れを告げた


「わんわん!」


「マリーィ!早くこの犬畜生を引っぺがしてくれぇぃ!」


「ポチィー、ハウス!」


「わん!わん!」


 ボランはポチィーから解放された


「ふぅ…助かった・・・」


「また明日もお願いね♡」


「やんのかよ明日も!」


「ガルルル・・・」


 ポチィーは唸り声を上げている


「マジで俺がくたばるまでやる気かちくしょ・・・ん?」


 だがその唸り声はボランに向けられたものではなかった、それにボランも気づいてポチィーの視線の先に目を向けた。真理は不審に思いボランに問いかける


「どうしたの?」


「臭うんだよ、クサイ血の気の多い連中の臭いがさ。松明の松脂の臭いで気づくのが遅れちまったぜ」


 真理は耳をすませる


「ん~?・・・確かに聞こえるわね、ドスドスと」


 しばらくするとハイエナの遠吠えが響いた


「わぉ~ん・・・・」


 遠吠えに応える様にボランは咆哮を上げた


「ガオォ~~~ン!」


「つぅ~ッ、急に大声出さないでよ!」


 真理はボランに抗議したが、ボランはそれを無視して状況を伝えた


「門番の奴らの戦力を超える状況らしい!前衛の奴らは撤退させて防御をここら一帯に集中させる!」


「分かったわ!ちょっとゆう・・・」


 真理は勇者を呼びに行ったが


「あ、真理さん、っと」


 勇者は服を脱いでる最中だった、勇者は鍋の蓋でとっさに下を隠した


「きゃ!なんか余計に変態チックになってないそれ?直ぐに服を着なさい、敵襲よ!」


「敵!?わかりました直ぐ行きますッ、あれ」


「ガンッ」


 勇者は転んで1のダメージをうけた


「何やってるのよ・・・あたしは屋根に上って迎撃するわ」


「はい、僕はサポート役としてボランさん達の所に向かいます」



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