第82話  すとろべりー・ばとる・ふぃーるど

 勇者を探し、森に入ったハイエナ達


「親分どこですかー!ユート親分!」


「なあ、なんか甘い匂いがしないか?」


「ああ、それにちょっと焦げ臭い様な・・・」


「そんな事はどうだっていい!んな事より親分だ!ユートおやぶぅ~ん!」


「あ、付いてきたんですかハイエナさん達。こっちですよ~」


 勇者は歩いてきたハイエナ達に気付いて手を振った。ハイエナ達も勇者に気付いて、勇者に駆け寄った


「親分!こちらにいらしたんですか!もうすぐ日が暮れます、アジトに帰りましょう」


「ああ、もうそんな時間ですか、明るくて気づきませんでしたよ」


「ん?そういえば妙に明かるいな・・・あ」


 勇者に声をかけたハイエナは目を見開いたまま固まってしまった。疑問に思った他のハイエナも勇者が見ている方向に見る


「おい、どうし・・・あ」


 そこには・・・


「パキパキパキ・・・」


「キシャーッ!ピギャー!」


 燃え盛る炎の中で奇声を発しながらうごめぐ植物系モンスターと


「ボトボト・・・」


 全身に真っ赤なジャムを塗りたくった異形のヒトガタが笑い声を上げていた


「フハハハ!この合成食材では味わえない生の食材の香り!そしてこの果肉の感触!そう!これこそが本物の料理!さあ、他の皆さんも美味しくなっていただきますよ♪」


 ハイエナ達はも奇声を上げた


「「な、何だこの地獄絵図はぁーーー!?!?」」


 勇者はそのヒトガタに声をかけた


「アレクシスさーん、今日はこれくらいにして帰りますよー!もうすぐ日が暮れるそうなので」


「お?もうそんな時間ですか、夜道は危険ですし・・・心残りですが今日はここまでといたしましょう」


「え!鍋野郎かキサマ!?どうしてこうなった!」


「いやぁ、アレクシスさんをレベル上げさせてたんですが、火炎瓶を使い始めまして・・・途中から火炎魔法も覚えてこんな事に」


「鍛えてたって・・・確かに頼もしくなってますが・・・」


 アレクシスはレベル8になっていた。アレクシスは火炎魔法ボウニンを覚えた


「ゴロン」


 アレクシスは巨大な鍋を持って勇者達の元まで軽やかなステップで来て誇らしげにこう言った


「どうですかこのジャム!食材が硬ければ煮込んで美味しい部分だけ抽出してしまえば良いと思い、試してみたのですが!」


 勇者は一口味見した


「うむっ、いい感じじゃないでしょうか。でもあれだけってこれだけしか取れないんですね」


「調理中にかなり飛び散ってしまいましたからね、落ち着いて調理できればもっと効率よく作れると思います」


「やっぱ、キッチンは必要ですか・・・ね!」


「ビュンビュン!」


 勇者は棍棒でカマイタチを放ち炎を切り裂いて消化した


「シュッ・・・」


「火の始末も終わりましたし、皆さん帰りましょう」


「はい、ユート様♪」


「「ぎょ、御意」」


 勇者は焼かれていないイチゴンを引きずって自分のダンジョンに帰って行った


「親分、そのイチゴどうするんです?」


「種がいっぱい付いてますし植えてみようかと」


「そんな危険な物を!?」


「育っても近づかなければ平気でしょう」


「は、はぁ…そうですね。このイチゴもコレクションか・・・」


 勇者は”見習い教官”の称号を手に入れた

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