第78話 猫追い祭り
真理達より一足早く農村跡地にたどり着いた猫だったが
「にゃー!」
「待ちやがれ怪しい奴め!」
今ハイエナ達に追われていた
「よいしょ、丸太はここに詰めてっと」
「おい、落ちてた人間共の武具はどうする?錆びちまってるけど」
「まとめて地下に置いとこうぜ。例えガラクタでも地上に置いといて、敵に拾われたらやっかいだ。まだ使えるのが残ってるかもしれんし、後で親分に見てもらおう」
「はいよ・・・ガタガタと騒がしいな」
作業をしていたハイエナ達は騒ぎに気づいて顔を出した
「あ、そいつを捕まえてくれ!」
「え?」
「にゃ!」
猫は顔を出したハイエナ達に驚いて、二本足で立ちあがり止まろうとしてしまった
「今だ!」
ボランの猫への突進!
「みっ!」
猫はそのままジャンプして、目の前の作業をしていたハイエナの頭を踏み台にして飛び越えた
「あ!?」
「えっ、ちょ!ボラン!!」
「ドガァァン!」
ボランは資材置き場に突っ込んでしまった
「このぉ~ぅう!」
ボランは怒りに震えている
「おいキサマ!借りるぞ!!」
「ボランちょっと!?」
ボランはハイエナが持っていた剣の束をわし掴みにし、その束の中から一本指の間に挟むように持った
「死ねぇ!!」
ボランの剣を投擲した
「ビュババババ!」
「みぃ~!!!」
猫は投擲を躱した
「この!この!」
ボランは一本づつ投擲を続けた。力任せに投げられた剣は一部は地面に刺さったが、その多くは地面に刺さらず跳ねっ返り跳ねていた、猫はその跳ねる剣の間を縫うように避けながら逃げている
「ビュン!ビュン!ビュン!」
「にゃあ!にゃあぁぁ!」
猫は ”もうだめだ!誰か助けて!” と思いながら叫び声を上げる
「もらったぁ!」
容量を掴んだボランは猫に狙いを定めて投げた
「ビュババババ!」
「みぃ~!?」
剣が猫に当たるると思われたその時
「よいしょっと」
猫は ”ああ、もうダメか…またゴーレムを作るのはめんどくさいのぉ” と思ったが、何者かが飛び跳ねている剣の一つを掴み、猫を狙って飛んでくる剣を弾いて猫を抱きかかえた
「ガギン!」
「みっ?何が起こったニャ?」
「こんにちはアマンダさん。来てたんですね」
勇者が現れた
「みぃ~!ユウシャ!無事なのかニャン?」
「え?ああ、真理さんに聞いたんですね。しばらく寝てましたがもう大丈夫です、女神さまに治してもらいましたから」
「そうか、にょかった心配させおって」
「おや?その猫はアマンダ様なのですかユート様」
アレクシスが現れた
「にゃにもにょにゃ!?」
「アマンダさんが、何者だって聞いてますよ」
「・・・…ひゅぅぅん」
勇者に上に弾かれた剣は重力に引かれて落ちてきたが、誰も気づいていない。アレクシスはアマンダに自己紹介した
「おお!使い魔の言ってる事が分かると言う噂は本当でしたか。初めましてアマンダ様、ボクは元王国軍 北門警備部隊、調理班コック長のアレクシスと申します。いごお見知りおきを・・・」
いつも道理、オーバーアクションで深く礼をするアレクシスの被っている長鍋に
「ズガン!」
落ちて来た剣が勢いよく刺さり地面まで突き刺さった、アレクシスは脱力し剣が刺さったままズルズルとゆっくり地面に倒れた
「ズルルルル・・・…ぱたん・・・・」
「ニャアアァアァ!?死んだぁああ!」
「アレクシスさん!?」
「ほ?よいっと」
アレクシスは立ち上がった
「生きてる!?」
「申し訳ありませんユート様!急に頭部に衝撃が走り、少し昏倒していたようです。・・・何があったんですか?」
「頭に剣が刺さってますよ!」
アレクシスは頭を触り、長鍋に刺さった剣を確認した
「ん?お、これはこれは!気が付きませんで。大丈夫です、ボクには当たってませんから、ほら」
アレクシスは長鍋を脱いだ
「ご心配おかけしました」
アレクシスは頭から滴り落ちる血で汚れた顔でほほ笑んだ
「切れてる!血が出てますよ。ホイリン」
勇者はアレクシスに回復魔法をかけた
「おお!ありがとうございますユート様ぁ!」
アレクシスはクルッと回転し勇者にお礼を言った
「どういたしまして・・・でも鍋に穴が開いちゃいましたね」
「大丈夫です、予備がありますから」
アレクシスは新しい鍋を装備した
「親分!大丈夫ですか!?」
猫を追っていたハイエナ達が勇者の周りに集まって来た
「ええ、大丈夫ですよ」
ボランが勇者に駆け寄る
「お、ソイツを捕まえたか!よこせ!今始末してやる」
「いいえ、アマンダさんは味方なので攻撃しないでください」
「オメエの知り合いだったのか?」
ボランの投擲スキルが上がった、レベルアップ!ボランはレベル14になった
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