第76話 新しい仲間達

 脱走兵、アッシュとトーマスをモンスターの群れから助け出した?真理達。アッシュは恐る恐るお礼を言った


「あ、あの、助けてもらって有難うございます。アマンダ様」


「にゃ」


 猫は頷いた


「もがががぁ!」


 猫の操るゴーレムに踏まれている真理は暴れている。アッシュとトーマスは動揺した


「うわ!この巨体に踏まれて生きてる!?」


「流石、不完全とは言え勇者だな・・・コイツを離してやっては?」


「にゃにゃ…」


 猫は首を横に振った、トーマスとアッシュは話を続ける


「えーと、俺達はこれからどうなるんでしょう?」


「出来れば見逃してもらいたいんですけどねぇ。もう後方勤務はゴメンなんで」


 アッシュは少し殺気のある声で話した、それを聞いてトーマスは少し慌ててアッシュに話しかける


「お、おいアッシュ」


「こっちは生業捨ててまで兵士になったんだ。いつまでも”あの”勇者に任せて後ろで引っ込んでられるか。オレを連れ戻すってんなら、悪いですがそれなりに抵抗させてもらいますよ」


「ミィ~…?」


 アッシュは戦闘を想定して間合いを取った、猫は少し困ったように腕を組んでいる


「もがもがもがぁ!・・・・もが…」


「パタン」


 ゴーレムの下敷きになっていた真理が少し暴れた後、パタンと力尽きたかのように脱力した


「にゅ?」


 猫は ”もう観念したか?” と思い力を抜こうとしたその時


「ガシッ」


 真理は地面を掴むようにしっかりと手を付いた


「ふん!」


 真理は経験値を消費し筋力のステータスを上げた!そのままゴーレムを押しのける!


「にゃみぃ!?」


 バランスを崩したゴーレムから猫が驚きながら落ちた


「今だストライク!!!」


 真理は起き上がったと同時に猫を視認し、全力で猫を棒で打ち飛ばした


「カーーーン!」


「みにゃぁぁぁぁ・・・……」


 アマンダの使い魔の使い魔の猫は空の彼方に飛んで行った。術者の居なくなったゴーレムは崩れ、元の土くれと化す


「ボロボロ…」


「ぜぇ…ぜぇ…。あーもう!とって置いた経験値を使わせるんじゃないわよ!たく!」


 息を切らせながらパンパンと身体に着いた土を払う真理を見ながらアッシュとトーマスは驚愕している


「魔術師の筋力じゃねぇ!なんだ!?これがマリーの勇者としての能力なのか!?」


「使い魔とは言えアマンダ様をふっ飛ばしていいんですか!?」


「あの耐久力なら問題ないでしょ、文字どうり猫の革を被ったサンドバックなんだから。それに方角もあってるはずよぉ。そ・れ・よ・り、ちょっとアンタ達ぃ?」


「「は、はい!」」


 真理に睨まれた二人は戦意を失った


「自己紹介してくれるぅ?」


 真理は笑顔で脱走兵達に話しかけた


「へ、へい!アッシュ・ブラウン。元武器屋をやってました」


「お、俺はトーマス・ラザフォードです!北門で衛兵やってました!」


「脱走の理由は?」


「へい!国の情勢が悪化して、これじゃいかんと武器屋を辞め志願して兵士になった

んですが、後方勤務ばかりで戦場には出してもらえず、上官に異議を申し出たところ・・・ちょっとやり過ぎちゃいまして営倉入りに」


「そんで我慢できずに脱走したわけね。アンタは?」


「自分も後方勤務で不満が積もったのは一緒です。ロクな装備も持たせないで戦場に勇者を放り出す軍に疑問を持っていたのですが、傷つき帰って来た勇者が目の前で液化したと見間違える様な出血を見て・・・ちょっとキレちゃいまして。国民がああならない様に守るのが兵士の義務ですから、異世界から召喚した勇者だからってアレは無いと」


「ふんふん、それで?」


「営倉入りは逃れましたが、故郷の農村が解放されたと聞いて居ても立っても居られなくなり、アッシュと共に脱走を・・・」


 真理は二人の話を聞いて少し考えた後、二人に尋ねた


「ふーん、つまり二人ともやる気だけはあるのね」


「へい、もう後戻りも出来ません」


「はい!自分もです!」


 真理はパンと手を鳴らして判決を下した


「よーし!じゃあ、二人ともあたしの手下ね。ちょーど、あたしも手駒がほしかったのよ」


「手駒?マリー様の!?」


「なによ?不服ぅ?じゃあ独房に戻る?念願の前線勤務よぉ、農村跡地でね」


「い、いえ!謹んでお受けします!」


「はい、ご命令をなんなりと!」


「ふふふ~、じゃあ農村跡地に向かって出発よぉ」


「「了解!」」


「ワン!」


 アッシュとトーマスが仲間になった

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