第75話 あなたは武器屋ですか?「へい、元ですが」

 ギャグ作品にも関わらず、真面目に戦闘をこなそうとしている脱走兵達を許さないかのように、謎の奇声をボソボソと呟く何かが戦いの空気を換えた


「フフフフ・・・軍から逃げ出した二人…その二人の運命をもてあそぶように魔物が襲う…傷つきながらも戦う二人は・・・・フフフフ、はかどりますわぁ」


「ニャー!」


 猫は”さっさとあの二人を助けろ!”とツッコムかの様に、妄想に耽る真理を引っ掻いた


「ガシッ」


「痛い!いだい!何すんのよ良いシュチュエーションなんだから邪魔しないでよ!」


「フゥーッ!」


 真理と猫のにらみ合いが始まった!


「おい!キサマ何者だ!!」


 切り裂きモモンガは真理に叫んだ


「うっさい!こっちに構わないで腐囲気を盛り上げなさいよ!・・・傷つき倒れる仲間を抱き上げ涙する様なシュチュエーション!血と涙は男達を飾る最高の化粧…更に雨でも降ってくれればもう最高!フフフフフ・・・・…痛たたた!何すんのよ!!」


「にゃぁぁ!」


 真理は魔物に謎の受け答えをした後、引っ掻いてくる猫と喧嘩を始めた


「あー・・・…取りあえず、オラたちの敵じゃ無いんだな?でもあの人間二人を血祭りに上げた後、次はお前だぞ、いいのかぁ?内蔵引きずり出すぞ?逃げるなら今だぞ、たぶん」


 切り裂きモモンガCは混乱し、残忍なのか親切なのかよく分からない態度になってしまっている。脱走兵達も怪訝な目で真理を見ている


「味方じゃないみたいだなアッシュ」


「つうかアレ・・・マリーだよな?アマンダ様が作ったって言う勇者の・・・」


「え、じゃあ…おれ達を助けないのは始末する為!?」


 混乱する脱走兵Bに脱走兵A”アッシュ”は苦笑いで答えた


「いやぁ…それはない!・・・と言いきれないのがなぁ、はは…。おろ?」


 アッシュは足元に座っている犬に気付いた


「くぅ~ん」


 ポチィーは悲しそうな目でアッシュ達を見つめていた


「なんだ、ワンコロ?」


「ワン!くんくん」


 ポチィーはワンと鳴いた後、地面の臭いを嗅ぎ、地面を薄く広く掘り始めた


「何だったんだ?」


「さあ?」


 切り裂きモモンガはアッシュ達に怒鳴り声を上げる


「おい人間!横槍を刺されたがオラ達の戦いは終わっちゃいない!覚悟しろ」


「そうでした」


「だな!」


 戦闘が再び始まった!


「今度はおれから行くぜ!食らえ」


 脱走兵Bのスキル”連続突き”手に持ったケトルハット・ヘルムの素早い連続攻撃がモモンガCを襲う!はずだった


「ライニール!」


「にゃっ」


 真理は猫に雷撃を放ったが、猫はそれをひらりと躱し、電撃が脱走兵BとモモンガCに直撃した


「ぎゃああああ!」

「あばばばばば!」


「トーマスぅ!!!」


 脱走兵B”トーマス”とモモンガCは戦闘不能になった


「ふ、ふふふ・・・アマンダァ…その猫なんか妙に重いと思ったら、砂で作ったわね、電撃対策ぅ?」


「みぃ~!」


 真理は我を忘れている


「どいつもこいつも、あたしの電撃を躱しやがって・・・忌々しい!これならどぉお?」


「にゃ!?」


 真理は杖と棒を両手に持ち構えた


「ダブル・ライニール!」


「ぎゃあああ!」


 真理の電撃で切り裂きモモンガD・E・F・Gが犠牲になった


「ワン!」


「ありがとなワンコロ、助かったぜ・・・」


 アッシュはポチィーの掘った地面に伏せて雷撃を躱した


「待ちなさい!」


「にゃあ!」


 猫は電撃の直撃を耐え、真理から逃げ回っていた


「み、み、みみ!」


 猫は逃げながらも地面に魔法陣を書き


「にゃあ!」


 魔法陣に魔力を注いだ


「バゴン!」


 地面から3メートル程のゴーレムが現れた!


「ちぃ!こしゃくな真似を!」


「にゃあぁ!」


 ゴーレムのパンチ!


「ふん!」


 真理は躱した


「バキバキ…」


 大木がパンチの直撃で倒れる・・・


「うわわ!こっちに倒れるぞ!」


「ワウン!?」


 アッシュとポチィーは倒れてくる大木から逃げた


「うわわ、やめ・・・」


「バァン!」


 大木が倒れ、魔物は全滅した


「ラガニン!」


 真理はゴーレムに杖を当て電撃を流した


「バチバチバチ!」

 

 だがダメージを与えられない


「くっ!?レベル差ってヤツね」


「にゅあぁ~…」


 猫はゴーレムの上で ”効かんなぁ?諦めたらどうだぁ、ん~?” と見下ろしながら不敵に笑っている


「コイツめ・・・ん!?」


 真理は謎の気配を感じ振り向いた


「トーマス!意識はあるか?しっかりしろ!」


「アッシュ…ちょいと効いたが生きてるぜ」


 そこには傷ついたトーマスを抱えるアッシュの姿が


「よし!そこでキ・・・スじゃなくて、人工呼吸よ!」


 真理の心の叫びが響いた


「いや、息してるんだからいらねえでしょ、人工呼吸!」


「ばか!人工呼吸と言う建前でするのがいいんじゃない」


「何を!?」


「にゃ」


 真理がアッシュと話している隙に、猫はゴーレムで真理を踏み潰した


「ぎゅふん!」


 脱走兵と魔物、真理とアマンダの二つの戦いは終わった

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