第74話 途中から別の作品になってませんか?
北門を出て、森に中を歩く真理一行
「わんわん!」
「にゃー」
「・・・こうやって動物連れてると桃太郎にでもなった気分ね」
「にょにょにゃ、にょぅー?」
猫は不思議な鳴き声を発した。モモタロウとでも言いたかったのだろうか?
「あー…気にしないで、なんでもないわ。ん?」
何かに気付いた真理はしゃがみ、地面をよく観察した
「この足跡・・・人間ね、例の脱走兵かしら?・・・・そう遠くまでは行ってないみたいね」
「ニュウ…」
猫は”うーむ…”と、考える様なしぐさをしている
「一応様子だけでも見てみましょうかアマンダ」
「にゃ!」
猫は元気よく返事をした。一方その頃、足跡をつけた脱走兵たちは
「はぁはぁ…くそう!戦いたいから、わざわざ脱走までしたってのにッ、魔物から逃げ回るだけで限界とかッ!情けねえ!!」
「ちきしょう!コック長はどこ行ったんだ!?自分の荷物だけ持ってさっさと行っちまいやがって!」
「キャハハハ!待ちやがれ人間共!バラバラにしてやるぜ」
脱走兵達は切り裂きモモンガの群れに追われていた!
「くそ!回り込まれた!戦うしかねえ」
「ギャハハ!久しぶりの人間だ、じっくり楽しませてもらうぜ」
魔物達は不敵に笑っている
「俺の剣を使ってくれ!お前の方が上手いだろ」
「それはいいが・・・お前はどうすんだ?」
「兜で殴りつけてみる…スキルがある分、オマエよりかマシに戦えるさ」
「へ、言ってくれるね。有り難く使わせてもらいますよっと!」
「シャッ、チャキン」
脱走兵Aはロングソードを装備し、右胸の前でグリップを握り、切先が上を向く構えを取った(日本剣術の八双構えに似ている)
「来やがっれ」
脱走兵Bは武器として手にケトルハット・ヘルムを装備した
「シャア!」
切り裂きモモンガAが脱走兵Aに飛びかかった!
「ふっ!」
脱走兵Aは一瞬で敵の特徴を考慮し、モモンガAを切り落とそうとした
”相手は早い、切先が地面を向くような大振りはしない、切先が真後ろ、剣が水平になるほどの小さく振りかぶる!”
「シャキ!」
「ギィイ!?」
脱走兵Aは小さく剣を振りかぶって前へ踏み込み、斬り付けた。モモンガAに10ダメージ。斬り付けても脱走兵に油断は無い
”斬り付けも小さく、切先は自分の鳩尾辺りまで切り込んだ所で止め、引き抜く様に、この後相手がこの後横に飛ぶのなら刃を水平にして横に剣を薙ぎ払い、後ろに引くのならこの構えのまま踏み込み突きを入れる”
脱走兵Aが兵士になる前に、軽装の相手に有効だと武器の参考に教わった技だった
「シュパン」
「ギ/ャア!」
脱走兵Bが脱走兵Aに叫んだ
「後ろだ!!」
「隙ありぃ!」
モモンガAを斬り付けた後、脱走兵Aの思惑とは少し外れ、モモンガBが後ろから飛んできた、だがこの構えは自体は、それを考慮済みの技だった
”振り下ろした剣は斬り付けた勢いでまだ重い、また上に振りかぶる時間は無い、斬り下ろした勢いを殺さずに下にふり抜き、そのまま後ろに向かって斬り上げる”
「!」
「ビュン」
モモンガBは、完全に無防備だと思っていた脱走兵Aの隙の無い動きに反応しきれず、その脱走兵の足元から来るゴルフの様な勢いのある切り上げを受けてしまった
「ぐ/ぶ」
「シュパン」
モモンガBに15ダメージ受け、斬撃で後ろにのけぞる様に飛ばされた。知れを見据えながら脱走兵Aは先の攻撃と同じく、ふり抜いた姿勢をそのまま攻撃の構えにした
”切っ先は相手に向け、手が顔の右横のに来るように構える、このまま上から突いてもよし、捻る様な斬撃で叩き落とすのもよし・・・”
どう動くか思考していた脱走兵Aだったが、視界の端に脱走兵Bが映ると同時に、背後の魔物にまだ止めを刺していない事が頭をよぎった
「任す!」
そう脱走兵Bに言い渡すと、脱走兵Aは後ろを向いた、脱走兵Aの突き構えは自然と斬撃を振り下ろすのに最適な後ろに振りかぶった後の構えになっていた
「おりゃあぁ!」
脱走兵Bのヘビーアタック!モモンガBに12ダメージ、モモンガBを倒した
「カ!ポォォン」
「ぐびゃあ・・・」
脱走兵Aはロングソードを、まだダメージを受け動けなくなっているモモンガAに振り下ろした
「せい!」
「ぴゅっ」
モモンガAに15ダメージ!モモンガAは断末魔も上げる暇もなく塵になった
「ギギ、中々やるじゃねぇか」
切り裂きモモンガA・Bを倒したが戦いはまだ終わっていない。脱走兵二人は互いの動きを邪魔しない程度に背中を預ける様に立った
「さっきはすまない、取り逃しちまった」
「そんな兜じゃ間合いが小させえ、仕方ないさ。ちゃんとした武器を持ったオレに仕事が増えるのは自然だろ」
「じゃあ変わろうか?元々おれの剣だしよ」
「冗談!武器を持たない武器屋とか格好がつかねぇ」
「その理屈じゃ、逃げる時に武器取り忘れてる時点でアウトだろ」
「うっ、違いない・・・さて、どう切り抜ける?この数を」
「ギヘヘヘ・・・」
脱走兵二人は、目に入るだけでも7体以上は居る魔物と雑談をしながら睨み合っていた・・・のだが
「ふふふ・・・$%&#?、#@*++・・・フフフフ」
聞きなれない、謎の言語が森に響いた
「なんだ?異界語か?」
「低い声を作りながら、緩急をつけボソボソと呪文を唱えてる感じだな・・・なんじゃこりゃ」
その、男の本能に直接”ヤバイ”と直感させる謎の声に、脱走兵は混乱しつつ警戒している
「なんだ!?おい!何者だ!ギィ!!」
魔物達も混乱し警戒している
「ギシィ・・・」
茂みの中から得体の知れないモノが覗いていた┌(┌^o^)┐
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