第73話 真理、森へ出発する
武器屋を離れた真理は道具屋へ行き、装備を整えていた
「各種薬草の苗と、クワとシャベル…干し肉、ドライフルーツ、穀物類など携行食糧をバランス良く…えーと、消毒用の酒はどうする、マリーの嬢ちゃん?」
「換金した金額に納まるなら入れておいて」
「はいよ、飲み水を入れた水筒と間違えるなよ…っこいせっと!リュックに詰め終わったぞ!箱に入れた苗は早めに日に当ててやれ、釣りはこんだけだ。こりゃ夜逃げの準備かい?」
真理は荷物が詰まったリュックと10ゴールドを受け取りながら店主に応えた
「しばらく街を離れるだけよ、丁度いい場所を見つけたからそこに工房建ててみるつもり」
「森に?魔物だらけだぞ」
「その辺は大丈夫よ」
「ワン!」
ポチィーは返事をするように元気良く鳴いた
「あの勇者様かい?本当に頼りになるのかアレ・・・」
「それなりにね。薬草が育ったら買い取ってくれる?」
「もちろん。薬草は不足しがちだからな、特に東に毒の沼地がある関係で、毒消しに使えるヤツは良く売れてる」
「薬に加工した状態で納品した場合は?」
「正直、出来によるな…嬢ちゃんの腕前も良く分からないからなんとも」
「ふーん、わかった。じゃあ行ってくるわね」
「気を付けてな」
「ワン!」
真理とポチィーは道具屋を後にした
「あ~、面倒な事になったなぁ…」
脱獄騒ぎが起き、腕を組みどうするか悩んでいるゴードンの目に…
「ガラララララッ!」
「んん!?」
馬車が走りながら北門に突っ込んでくるのが見えた!
「よっこいしょ」
真理は馬車から顔を出し、通行手形を手に持ちながら手を振り、そのまま北門を抜けようとした
「ゴードン、ちょっと行ってくるわよぉ。はいこれ通行手形~」
「え、ちょっと待ってください!なんですかその馬車!」
「ヒヒィ~ン!」
馬車はゴードンに止められたてしまった
「アマンダのよ、何か問題?」
「馬車などの大型の乗り物を通すには別の書類が必要でして」
「えー!じゃこっから歩きぃ?ちょっと目を瞑りなさいよ」
ゴードンは顔をよせ、小声で真理に言った
「無理ですよ、脱獄騒ぎと森でモンスター同士の戦闘があって、見張り櫓に別の部隊の人間が来てるんです。今は庇ってやれませんよ」
真理は馬車から降りてゴードンから話を聞いた
「戦闘?もしかして農村跡地で?」
「正確にはその近くの森ですね、大型モンスターを含む群れ同士が格闘したような土煙がしばらく上がってたそうです…あと、奇妙な話なんですが」
「なに」
「その戦闘が起きる少し前に、農村跡地に向かって丸太の様な物体が複数飛んで行ったと・・・」
「丸太ぁ?」
「それでですね、その丸太の最後の一本の上に人が乗ってったそうなんですが・・・・もしかして心当たりあります?」
真理は何かを悟ったような目で言った
「あるわ。元気そうで安心した、正気かどうかはともかく」
「やっぱりあの人かぁ~ッッ」
ゴードンは胃痛により1ダメージ受けた
「勇者さんは一体何やってるんです!?」
「近くから素材集めてるだけだと思うわよ、詳しい話は上に聞いてちょうだい。じゃあ行ってくるわね」
「はい、お気をつけて・・・あ、脱走兵が森に逃げましたんで、見かけたら・・・」
「捕まえてくればいいのね。ふふふ・・・」
真理は不敵な笑みを浮かべた。ゴードンは取り乱した
「お手柔らかに!お手柔らかにお願いします!脱走兵だって更生すれば貴重な戦力ですから妙な真似は!」
「分かってるわよ、じゃあね」
「ワン!」
「にゃー」
真理とパチィー、アマンダの使い魔の猫は森に旅立って行った。その背中を見ながらゴードンは脱走した兵士の身の安全を心配しつつぼやいた
「自業自得だからな跳ねっ帰り共・・・・はぁ」
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