第67話 勇者は、めいれいさせろを選択した

 鍋装備の人間が襲われていると聞き、勇者は援軍を引き連れて現場にむかいババル達と戦闘になった


「来たか、ハイエナのボス」


「うわ、本当に復活してる。これがババルさん本来の姿なんですか?」


「そうだ!恐れ入ったかひ弱な人間め!」


「グリフォンと比べるとイマイチぱっとしませんねぇ・・・」


「テクテク・・」


 勇者はババルの側に近づいた


「頭を潰されてもそんな事が言えるかな!」


 勇者にババルの攻撃が襲う!


「スカッ」


 しかし攻撃は勇者の身体をすり抜け当たらなかった


「これは!?」


「ふっ、残像だ!」


「いや、幻影でしょう親分」


「そこをあえて残像と言うのが様式美なんですよ」


「あっ!すいやせん!敵にわざわざ情報を与えるような事を言ってしまって!」


 ババルは舌打ちして辺りをキョロキョロと見渡した


「この野郎、また幻覚か!」


「戦えないと言っても力を使えないわけじゃありませんよ、ババルさん」


「このッ…!」


「僕への攻撃、一族で協力するという話は無しって事ですね?」


「たりめぇだ!」


「そうですか。じゃあ皆さん、回復はやりますから戦闘任せますよ」


 そう言って勇者の幻影は消えた


「「おう!」」


 ハイエナ達は臨戦態勢に入った!


「ババル様!あれがハイエナ共のボスですか!?」


「ああ、そうだ!油断するなよ!」


「ババル様・・・何かアイツ格好はアレですが黒幕みたいでカッコイイですね!ウチ等も何かやりましょう!」


「言ってる場合か!?さっさと奴らを攻撃しろ!」


「了解しやした!食らいやがれ!!」


 タートルソルジャーAのスキル亀甲車輪!ハイエナ達に体当たり攻撃!


「みんな丸太は持ったか?タイミング合わせろよ」


「がってんだ!」


 木こりハイエナ達は一本の丸太を持ち身構えている


「いくぞ!チャー、シュー、メン!」


「カキン!」


 木こりハイエナ達は亀甲車輪を打ち返した、打ち返された攻撃がババルを襲う


「シュルルルルッ」


「うぐ!」


 亀甲車輪がババルの顎に直撃した、18ダメージうけた


「この野郎!なにやってる!」


「申し訳ありませんババル様!」


 木こりハイエナ達は不敵に笑っている


「甲羅に頼り過ぎなんだよ」


「さあ、来てみやがれ!何度でも撃ち返してやる、ヘヘヘ」


 どこからか勇者の不貞腐れた声が響く


「いいなー、僕もミニゲームやりたいなぁ・・・」


「なにが、こ遊びだ!ふざけやがって!」


「おい!何が起こってるんだ!?オレも戦わせろ!」


 丸焼きにされかけた亀が身動きできずに暴れている


「ああ、望みどうりにしてやる!」


「ガシッ」


 ババルはその亀を掴んで


「ブン!」


 串が刺さったまま投げた


「うわあああ!」


「何度来ても一緒だ!それ、チャー、シュー、メン!」


「ストンッ」


 木こりハイエナが打ち返そうとしたが、串が丸太に刺さり跳ね返らなかった


「ありゃ」


「お、いけるか?そぉれ!」


 丸太に勢いよく当たった亀は丸太に足が届く辺りまで串が刺さったので、丸太を蹴って脱出を試みた


「スポン」


「やった!串が抜けたぞ!さまあみろ鍋人間!ぐっ!」


 脱出した亀の首に鎖が巻き付いた


「ジャリン…」


「うーん、アナタは美味しくなりそうもありませんね」


「てめぇ…っ!」


 鍋男は丸焼きのなりぞこないの亀を引き倒し、首筋に肉切り包丁を当てギロチンの様に踏みつけた


「ふん!」


 生焼け亀に13ダメージ、鍋男は生焼け亀を倒した、鍋男のレベルが6になった

 

「力がみなぎってきましたよ!」


「レベルアップですか?じゃあHPが増えた分、回復しておきますね。ホイリン」


 姿の見えない勇者の回復呪文で鍋男は5回復した


「お~、回復しても消えなかったアバラが折れたような感触が嘘のように消えましたよ!勇者サマ♪」


 鍋男は身振り手振りで踊る様に喜んでいる


「くっ!回復呪文が届いたって事はまだ近くに…どこだ!?」


 亀軍団は勇者を探している


「ボランさん、アイツを攻撃してください」


「おうよ、アイツだな」


「アイツってどいつ・・・あ」


 亀の集団の中の一人の頭上に矢印が浮かんでいた


「オラ!」


「うお!?しまっ・・・」


 矢印に気を取られて隙だらけだったタートルソルジャーBをボランが上から押さえつけ、そのまま体重で押しつぶした!


「バキン!」


 タートルソルジャーBに25ダメージをうけ塵になった、ボランはタートルソルジャーBを倒した


「まずは一匹…いや、二匹目か?」


「こ、このやろう!・・・あ!?」


 他の亀の頭上にも複数の矢印が現れた


「ポン、ポポポポン!」


「丸太を持ってる魔物ひとはあそこに向かって突撃してください」


「御意!うおおおお!」


「ひぃ!」


 矢印のついた亀達は自分が狙われていると言う威圧感に怯えている


「突撃ぃ!」


 木こりハイエナの怒涛の突進!亀軍団に18から22ダメージあたえた


「幻覚にこんな使い方が!?」


 ババルは動揺している


「何よそ見している、お前もターゲットだよ」


 ババルの頭の上にも矢印が浮かんでいた


「ボランさん攻撃お願いします」


「わぁってるよっと!!」


「ちぃ!!」


「「バシン!」」


 ババルとボランが殴り合う衝撃による音が森に響く

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