第66話 ババルおかわり!

 農村跡地の直ぐそばの小道で、亀のモンスターと戦闘になっている鍋男


「ユート親分!ご無事ですか!」


「おお!また新たな食材まものが!」


 鍋男を勇者と勘違いしたハイエナ達が駆けつけ、ハンドルを回しながらクルクルと魔物を丸焼きにしている鍋男と目が合ってしまった


「げっ、誰だお前!?親分じゃねぇぞ」


「なんだ?敵か!?くそう、首が出せねぇから周りが見えねぇ!」


 丸焼きにされてる亀は混乱している、熱により3ダメージ受けた


「もう駆けつけて来たのかハイエナ共め!」


「あ、ババルこの野郎!回復しやがったな!」


 ババル率いる亀軍団とハイエナ警備隊が戦闘態勢をとった


「昨日の今日でまた攻めてきやがって、亀なら亀らしくノロノロしてろ!」


「お前らのボスがしばらく戦闘できなと分かった以上、このチャンスを逃がすわけないだろう!大人しく根絶やしにされるが良い」


「言ってろ!こっちは昨日飯食ったばかりで力が有り余ってるんだ!とっ捕まえて保存食にしてやる!」


 ハイエナの言葉に鍋男は調理をやめ、ハイエナ達に近づいた


「保存!?魔物の肉を保存する方法があるのですか!ぜひボクにレクチャーを!!」


「うわ!急に手を離すな!もう俺に用がないなら、さっさと俺に刺した串を抜きやがれ!熱いんだよ!」


 丸焼きを中止された亀の声は届かなかった・・・熱により2ダメージ。ハイエナ達は鍋男を警戒している


「近づくな!なんなんだよオマエ?・・・まさか亀共も人間をボスに!?」


 ババルはハイエナの言葉を全力で否定した


「違うわ!テメエんとこの人間の知り合いじゃないのか!?」


「おお!と言うことは勇者サマはアナタ達のもとに?」


「勇者ぁ?何の事だ?」


 しぶとそうなハイエナが口を開いた


「そう言えば親分が自分をそう呼んでた様な・・・鍋を被った勇者ですって」


 その言葉を聞いて鍋男は歓喜する


「お、おお!勇者サマのお知り合いとは。えー、大きな亀・・・ババロアよ!アナタにも用は無くなりました!」


「ババルだ!テメエいい加減にしろ!」


 鍋男はハイエナ系部隊のパーティに加わった


「よくわかりませんが、お困りご様子。ボクも助太刀いたしますよ♥」


「お前・・・ユート親分のお知り合いなんで?」


「直接顔を合わせた事は有りませんが、陰ながら勇者サマをサポートしてまいりました」


「へぇー・・・顔隠してちゃ、そりゃ直接顔を合わせられねぇよな」


 鍋男は身振り手振りで話し始めた


「そう!みすぼらしいスープですが食事をしっかりご用意♪部屋の掃除やベットメイキングは自ら志願!」


「お、従者だったのかその格好で」


 ハイエナ達の声は鍋男の耳には入っていない


「魔女の襲撃からはお守りできませんでしたが・・・・泥棒ネコと一緒に部屋にお泊りになった際は微力ながら陰ながら寝ずに見守りながらも、ちゃんと朝食はご用意!」


「え、ん?ネコ?それってマリーの姉御の事じゃ・・・」


「しっかり勇者サマに尽くしてきたのですよ!お犬さん!」


「犬じゃねぇよ!ハイエナだ、ネコ目ハイエナ科の・・・」


 ババルが痺れを切らした


「ごちゃごちゃウッセエんだよ!ゴォラア!」


 ババルのスキル”亀甲大車輪”!ハイエナ達に甲羅の回転による風圧と体当たりによる範囲攻撃


「ちっ!」


「えい!」


「とりゃ!」


 ハイエナ達は攻撃を躱した


「へっ!親分の投擲武器に比べればこんなもの」


「そんな大振りじゃ当たりっこないぜ!」


「さあ、こっちも反撃と行こうか。おい鍋男、お前も・・・」


 鍋男は亀甲大車輪に吹き飛ばされていた。鍋男は20ダメージ受けた、傷で思うように動けない


「ぐふう・・・ここまでか…」


 ハイエナ達は動揺している


「弱えぇじゃねえかコイツ!!」


「ガハハ!ざまあみろクソ人間」


 ババルは高笑いした


「まだ、倒れるわけには・・・勇者サマっ!」


「はい」


 鍋男はふらつきながらも立ち上がった所を、何者かに支えられた


「ん、アナタはっ!」


「この人が例の鍋装備の人ですか、僕よりしっかりした装備ですね。ホイリン」


 勇者の回復呪文により鍋男は20回復した


「おお!勇者サマ!ついに会えた、うう・・・」


「えっと、どこかで会いましたっけ?」


「親分、今ハ敵ニ、集中スル」


「そうですね、僕の代わりにお願いしますボランさん」


「おう!今度は逃がさねぇぞババル!」


 ハイエナ警備隊に勇者率いる援軍が合流した

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る