第56話 真理、アマンダに会いに行く

 アマンダの使い魔について行き、アマンダの工房にたどり着いた真理


「アマンダ、居る!?」


「ここにおる。なんじゃ直に報告したい事とは」


 工房の奥からアマンダが現れた


「ワン!ワン!」


 ポチィーはアナンダの姿を見たとたん走り出して、アマンダに飛びついた


「うわ、何じゃこの犬は!」


「ちょっと色々あって。こら!大人しくしなさいポチィー!」


「クーン・・・」


 ポチィーは渋々と言った感じでアマンダから離れた、ポチィーが大人しくなった所で真理はアマンダに要件を伝えた


「ゆうとのヤツが戦闘の後におかしくなっちゃたのよ、何か解決する手段はないの?」


 アマンダは心当たりがあるのか、それを聞いて動揺した


「なんと!?戦闘後におかしく・・・バーサーカー症候群か、発症するのは稀だと聞いていたが」


「バーサーカー症候群?」


「戦闘や厳しい修行を続けて行っていたものが稀におちいる原因不明の病じゃ、重度の者は発狂と共に強い力を発揮し暴れまわり、更に力を高めた後に絶命する事からそう呼ばれとる」


「あー、多分それよ。どうにかならない?治療法は?」


「恐らくオーバーワークが原因だろうとしか分かっとらんから、しばらく安静にさせるしかないのぉ・・・で、その勇者は今どこじゃ?一緒に戻ってこなかったと聞いているが」


「農村跡地に寝かしつけておいたわ。ややこしいから農村跡地の報告からしていいかしら」


「ふむ?聞こう」


 真理は何があったのか大まかな内容をアマンダに話した


「それで魔物に勇者を預けてきたというのか!?」


 アマンダは真理に掴みかかって怒鳴った


「怒んないでよ。あの犬モドキのボスは信用出来ると思うわよ、試しにこの犬をけしかけても反撃してこなかったし、多少理不尽でも義理は果たすタイプね、アレは」


「どうしてそう言い切れる!」


 真理はアマンダにハッキリと答えた


「女のカン」


「ワンワン!」


 ポチィーは元気よく返事した


「何をのんきな・・・ええい!」


 アマンダは杖を持ち外に出て馬の使い魔に引かれた馬車を呼び出し、真理に向かって叫んだ


「これは直ぐに部隊を編成して勇者を保護しなくては、直ぐに城に向かうぞマリー!乗れ」


「分かったわ」


「ワン」


 真理とアマンダ、ポチィーを乗せ馬車は城へ向かった


「アナンダ様の馬車が来たぞ」


「急いでいるが、何かあったのか?」


 城の前までたどり着くと衛兵たちが馬車を止め何事かとアマンダに聞いてきた


「アマンダ様お急ぎのようですが、どの様なご用件でしょうか」


「緊急じゃ!直ぐに王に報告したい事が有る。通してくれ」


「少々お待ちを、直ぐに謁見できるようにシンシア様に・・・」


「どうかなさいましたか、アマンダ様」


 どこからか音もなく、メイド長シンシアが現れた


「シンシア、おったのか」


「アマンダ様の馬車がこちらに向かってくるのが見えましたので」


「流石じゃ!勇者の件で直ぐに相談したい事が有る、中で話そう」


「かしこまりました。どうぞ・・・」


 城に入ろうとしたその時


「…ボォオン!」


 謎の爆発が起きて一瞬にして辺りが大混乱になった。真理達は馬車から出て状況を確認しようとした


「なんじゃこの爆発音は!?」


「えっ何、敵の襲撃!?」


「ワン!?」


「何がおこったのです!状況を確認を!!」


 兵士たちが慌ただしく駆け巡る中、しばらくするとメイドがシンシアの元まで報告に来た


「シンシア様!召喚の間にてお祈りしていた王が爆発物による攻撃を受けました!」


「何ですって!?ジョージ…王様は無事なの」


「幸いお怪我もなかった様でしたので、お部屋にお戻りになってもらい警備を強化しました。現在賊がどこから侵入したのか調査中です」


 シンシアはそれを聞いて一瞬穏やかな表情になったが、直ぐに厳しい目つきになり指示を出した


「そう、無事なのね、よかった・・・必ず犯人を見つけ出し血祭りにあげなさい!」


「はっ!了解いたしました!」


「ビュン!」


 シンシアの指示を受けたメイドは凄い速さで走り去った


「アマンダ様、マリー様、すぐに王の下に向かいましょう!」


 シンシアの呼びかけに真理達は力強く答えた


「うむ!」


「了解よ」


「ワン!」


 シンシアはポチィーの返事を聞いた後、しばらく考え・・・


「・・・・、非常時ですのでその得体の知れない犬は預からせてもらいます。衛兵!」


「ワウ!?」


 ポチィーを衛兵に預けた

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