―――別れ、それぞれの冒険―――
第51話 天に届け、我が祈り
レベルの上げ過ぎによりバグってしまった勇者
「うーん・・・」
「お、目覚めましたね勇者よ」
勇者は女神の声で目を覚ました
「その声は女神さま?じゃあここは何時もの・・・って!?なんだここ!!」
勇者は目を開くと周りのモノに驚いて狼狽えた。女神は何事でももない様に今の説明した
「ああ、今ですね、精神を修復するために貴方の魂を分解してそこら辺に仮置きしてるんです。散らかってますけど気にしないでくださいね」
「魂を分解って・・・じゃあここにある物は全部・・・」
勇者が目覚めた場所は白い広間だった、というかこのシルエットはウスイホン即売会の会場のあの建物に似ている、多少違和感はあるが
「はい、貴方の心の一部です。ちなみに今あなたが見ている私は貴方と会話するための作り物です。本物の私は外でちゃんと修復作業をやっているのですよ」
「へぇー、女神さまのアバターみたいなものですか?」
「そうですね。さあ勇者よ、好きにここを回ってみてください、勇者自身が己をふり返った方が修復作業がはかどりますので」
勇者は状況が上手く理解できずにいたので女神に質問した
「さっきから修復作業って言ってますけど僕どうなっちゃったんです?」
「勇者よ、貴方は短期間で一気にレベルアップした為に精神と肉体が変化に耐えられずに暴走したのです」
「暴走!?」
「はい、流石に私も初めて見ましたよレベルアップで死にかけるなんて、意識が飛ぶのがあと少しでも遅れてたら危なかったですよ」
「そ、そんな恐ろしい状況に…で僕はここをウロウロしてればいいんですか?」
「ええ、それだけでも構いませんよ。さあどうぞ」
勇者は女神と一緒に白い広間を歩いた、広間には沢山の長い机が並んでいてその上に見覚えのある様々な物が置かれている
「ここに居る人達って僕の記憶・・・なのかな?」
そして長い机の向こうには人が売り子の様に立ってた。その中の一人の前で勇者は立ち止まった
「あ、ゴードンさんが居る、おはようございます」
勇者は何となくゴードンらしき物体に話しかけた
「よし!俺がちょっと稽古つけてやろうか勇者さん」
「しゃべった!?」
チュートリアルを受けますか?
>はい
いいえ
「なんかアイコンみたいのが出ましたよ、女神様!?」
勇者は隣に居る女神に話しかけた、女神は笑って返答した
「貴方のイメージがそのまま反映されてそう見えてるだけでしょう勇者よ。ついでですし、時間がかかりますので適当に遊んででください」
「遊んでてくださいって・・・完全にバグを確認するデバック部屋だなここ。あの時はゴードンさんの誘い断っちゃったんだよなあ、はいにしてみよう」
> はい
いいえ
「※ノー・メッセージ。そのデータはありません」
「うーむ、体験してない事は出来ないのか。他の人に話しかけてみよう」
勇者はティーセットの置かれている机の向こうに座っている人物に話しかけた
「わたくしと教会に行きますか?」
>はい
いいえ
「ジョージア王様か…錯乱されても嫌だし、いいえで」
はい
> いいえ
ジョージアの様な物体は絶句した
「いいえってなんです!?」
「なんですと言われても、勇者の本能としか・・・。そういえば今頃王様はどうしてるかな。王様ってずっと椅子に座ってるイメージしかないけど、実際は色々忙しいんだろうな」
―――――その頃、王は召喚の間に立ち寄っていた。女神像を拭いていた神官は召喚の間に入って来た王に気付いて手を止める
「これはこれは、ジョージ王様どうされましたかな?」
「勇者に少々危険な任務を任せていてな、彼らの安全を祈るにはここが最適かと思い来たのだ」
「お祈りですか、確かに勇者を遣わしてくださった女神様ならその願いに応えていただけるかもしれませんな」
「うむ、じゃまするぞ」
「ええ、どうぞごゆっくり」
王は女神像の前にひざまずき、祈りを捧げた・・・
「勇者殿、どうかご無事で」
―――――その頃、勇者の精神世界、他にも色々見て回っていた勇者は一言漏らす
「ジョージアさんに召喚されてから色々あったんだなぁ・・・」
勇者の声にジョージアの様な物体は反応した
「わたくしと教会に行きますか?」
>はい
いいえ
「あれ、さっきの呟きに反応しちゃったのか。じゃあ今度は…」
> はい
いいえ
「カーン・・・カーン・・・・」
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