彼方は勇者ですか？「はい」

第48話 食べ過ぎはいけませんよ

　勇者とグリフォンの戦いで投げられたカマイタチを放つブーメラン、勇者に戻ってくる時にも容赦なくその刃を放っていた。勇者はリュックで空気の刃を凌いでいる

「痛たたた、やっちゃたな」

　そのカマイタチの被害は後ろで戦いを見ていたギャラリーまでに及んだ

「うわ」

「あぶねぇ！」

「ナニコレ？何コレ！？」

　ボスが皆の盾になるように前へ出る

「野郎共、俺の後ろに隠れてろ！」

「だから、使うなって言ったのに！ブローク」

　真理はハイエナ達と一緒にボスの後ろに隠れ防御魔法を唱えた

「シュパン！シュパン！」

　空気の刃がボスに当たった、ボスに0ダメージ

「つッ！痛く…ない？」

　真理はボスにブロークを唱えていた、ボスの防御力が上がってたが直ぐに効果は切れてしまった。真理がため息をつく

「ふぅ」

「俺を助けたのか？」

　ボスは真理の方を見て質問した、真理はそれに素っ気なく答えた

「丁度いい練習台だったから使ってみただけよ」

「そうかい」

「まだ・・・終わってない！」

　グリフォンは翼を切り刻まれて飛ぶ力を失った翼を勇者に向かって広げた

「食らえェイ！」

　グリフォンの声に勇者は反応した

「え？」

　グリフォンのスキル”ハネアラシ”翼から無数の鋭い羽が勇者に向かって飛んでいく

「シュババババ」

　ブーメランも勇者に当たる寸前だった。ボスと真理がそれを見て叫ぶ

「不味い！逃げ場が無え！」

「ゆうと！避けて！」

「えい」

　勇者は戻って来たブーメランを鍋の蓋で上へ弾き返した、弾かれたブーメランは縦に回転し空気の刃も横に広がった

「シュパン、シュパン、シュパン」

　横に広がった空気の刃は勇者の前に壁の様に広がり、飛んでくる羽を切り裂いた

「なんだと！？・・・クッ」

　グリフォンは傷ついた翼を無理やり動かした反動で9ダメージを受ける

「ドスン」

　さらに無理な着地でグリフォンは15ダメージを受けた

「クソ…う」

「これだけ大きいと着地の衝撃も凄いですね」

「シュパン…くるくる」

　勇者は効力を失って落ちてきたブーメランをキャッチした

「そいッ！」

　勇者はそのブーメランを再びグリフォンに投げる

「クルクルクルッ」

「グエェ！？」

　グリフォンはブーメランに反応して避けようとしたが足が言う事を聞かずブーメランが当たってしまった

「クエ・・・え？」

　だが投げられたのはスキルの無い普通に投げられたブーメランだった、グリフォンにダメージは無い

「アイテム引き寄せるのは無理でしょうけど、ちゃんと隙は作れるじゃないですか武器屋の親方さんッ」

　勇者はグリフォンがブーメランに気をとられてる隙に近づいた

「しまったっ、クエ！？」

　勇者はグリフォンの嘴にリュックを被せた

「えぇい！」

「バシン！バシン！」

　勇者はリュックの上から嘴を攻撃した、26ダメージ与えた

「グェイッ、なぜ胴体や頭を狙わない・・・」

「大型のモンスターは、まず部位を破壊して戦力を削いでから攻略するのが基本でしょう」

　勇者はグリフォンの質問にそう答えた。グリフォンが暴れて勇者を引っ搔こうとする

「そぉら！」

　勇者はグリフォンの攻撃を躱し、後ろに回った。勇者の棍棒によるカマイタチ攻撃

「シュパン！」

　グリフォンの尻尾に22ダメージ、尻尾は切り落とされた

「ぐわあ」

　真理が勇者に大声で叫んだ

「ちょっと！そんな意味が無さそうな場所攻撃してどうするのよ！」

　勇者はハッとした

「しまった！素材が多く剥げると思って貴重なＭＰをつい・・・」

　動揺する勇者にボスがフォローを入れた

「いや、それでいい！！ネコ科の肉食獣は走る時、尻尾でバランスをとるんだ。今の奴はライオンの身体をしているが、走ったら曲がれないイノシシも同然よ！」

「クソガガガガガガェェェイ！」

　ボスの言葉を聞いたグリフォンは怒り狂って勇者を連続で攻撃した

「うわ！ほい、えい」

　だが勇者が避けて当たらない、それを見たボスは確信した

「この戦い、なんか違和感があると思ったらそういう事か・・・」

「どういう事？」

　真理の質問にボスは腕を組みながら答えた

「あのグリフォン、自分の巨体を扱いきれてねぇんだよ、短期間で急に大きくなったせいで身体を動かす頭の方が追いついてねぇんだ」

　勇者もグリフォンの攻撃を躱している居るうちに気付いた

「なるほど…急激なレベルアップに精神が追いついてないんですね」

「クエエェ！」

「ブアァン！」

　グリフォンの大振りの横へ薙ぐひっかき攻撃をジャンプして避けた勇者は嘴を攻撃した

「レベルアップし過ぎですよ」

「ガツン」

　勇者の両手で握った武器で両側から挟む様にして放った打撃で嘴にひびが入る、グリフォンは30ダメージ受けた

「クエエ！」

　グリフォンがもがき苦しむ。それを見たハイエナ達が歓声を上げる

「すげえ！今度こそ決まりだな」

「でも、何で魔法で回復しないんだ？傷が治った方が動きやすいだろ？」

　ハイエナの話を聞いて真理が呟いた

「ＭＰがもう無いんだわ・・・」

　勇者はグリフォン前に立ち突進した

「うおおおおおおお！」

「オオォォォォォォォォ！」

　勇者の雄叫びに応える様にグリフォンも雄叫びを上げて突進する勇者に攻撃した

「ガシン！」

　　　　　　グリフォンの攻撃！勇者は蓋で受け流したが3ダメージ入った

「バシン！」

　　　　　　勇者の棍棒と棒を使った攻撃、グリフォンに25ダメージ

「バツン！」

　　　　　　グリフォンの攻撃を勇者が受け流しカウンター、攻撃は頭に当たり30ダメージあたえた

「クッ」

　グリフォンに隙が出来た、勇者は渾身の力を込め、二刀流で連続攻撃した

「これで止めだぁぁぁぁぁ！」

「バシバシバシバシバシ！バシン！！」

「グェアアアアァア！」

　グリフォンに68ダメージ与えた

「グ、グボアアアアアアアアアアアア！」

　グリフォンの肉が塵になり骨だけになっていく、骨になった後も叫び続け最後は骨も塵になって崩れた

「んっっ、ふーーーぅ」

　勇者は大きく深呼吸して、膝をついた

「バタン」

　勇者はグリフォンとの戦いに勝利した！