第43話 勇者達、ボスと戦う

 農村跡地の地下ダンジョンにあるボスの部屋にたどり着いた勇者達


「貴様らが勇者達か、へっ、森の混乱に乗じて弱った俺達を攻めに来るとは抜け目のない奴らよ」


 ボスの巨体がふてぶてしく勇者達を見下ろし言った


「弱っていたんですか。森の混乱って何のことです?」


「どうせ、森の魔物を無差別に狩る殺人鬼が出たからみんな逃げちゃった、とか言う話じゃないの」


「そこの女は事情を知ってる様だな」


「やっぱし・・・」


 真理はジト目で隣に居る殺意に満ちた勇者を見た。勇者は興奮している


「殺人鬼だって!?魔物が少なくなった今、貴重な経験値を得るチャンス!後で狩に行きましょう真理さん!」


「いやぁ、無理じゃない?。自殺でもしない限り…」


「自殺?霊体じゃないと対抗できないということは死霊系のモンスターか・・・ぐぬぬ、死霊対策をしておかないと」


「言われてみれば、あたし達って死んで蘇ってるんだから死霊系かもね・・・・」


 何やら考え込んでる勇者だったが、ボスが勇者達のふざけた態度にしびれを切らし魔物達をけしかけた


「おいこら、無視すんじゃねぇ。ヤツの目から逃れるため地下に逃げた我らだが、貴様ら人間ごときにやられる我らでは無いわ!野郎共こいつらをぶちのめしてやれ!」


「御意ボス!」


 勇者達は魔物に囲まれた


「あー、ボスと一緒に雑魚も出るタイプか。ボスって呼ばれるボスって地味に珍しい様な」


「実際ボスなんだしボスって呼ばれてもいいでしょ。じゃ、呪文を唱える隙のカバーはよろしくね、ゆうと」


「はい」


「うりゃあ!」


 魔物達の一部が間合いを詰めようと接近してきた


「ふん」


 勇者が棍棒で放ったカマイタチが魔物A・B・C・Dを切り裂く、20ダメージあたえた


「ライニール!」


「ぎゃあ!」


 真理の電撃の範囲攻撃が魔物達を襲った!全体に28ダメージ、魔物A・B・C・Dを倒した


「この女ぁ!」


 魔物達が真理に矢を放つ、勇者は真理を庇った


「ぐっ」


 勇者に28ダメージ、数本の矢が深々と刺さった


「あの男、何の躊躇もなく女の盾になりやがった」


「何か矢が刺さっちゃってるけど、大丈夫ゆうと?」


「回復すれば問題ないでしょう、ホイリン」


 勇者は回復呪文を唱えた、22回復し刺さっていた矢がぬるっと抜けた。その様子を見た真理は顔をしかめた


「うわ、キモッ」


「うん、矢が抜ける時すごく痛かったです」


 魔物達は動揺している


「コイツには矢は効かないのか!?」


「顔色一つ変わってねぇぞ!」


 部屋の入口に居た瀕死の魔物が力を振り絞り魔物達に警告した


「み、みんな・・・そいつは今は生きてるが元々はゾンビだ・・・気をつけ…ろ・・・」


 瀕死の魔物は気絶した


「元ゾンビの人間だと!?逆だろ普通!」


 動揺する部下達にボスが叫んだ


「狼狽えるな!どう見てもただの人間だろが!俺がぶっ潰して証明してやる!」


 ボスの剛腕から繰り出される怒涛の引っ掻き攻撃が勇者達を襲う


「ぐふ!」


 勇者に28ダメージ、勇者は倒れた。ボスは高笑いをしている


「グハハハ!ほれ見ろ!!やはりただの人間・・・」


「隙あり、とぉ!」


「ブン!」


「ライニール!」


 真理が銀の燭台をボスに投擲し電撃呪文を唱えた、ボスに33ダメージあたえた


「バチバチバチ」


「グボボボボ」


「ちっ、巨体が邪魔で雑魚まで電撃が行かなかったか・・・」


 ボスが身体に刺さった燭台を引き抜いて地面に叩きつけ、舌打ちする真理に怒りの声を上げる


「おいキサマ!!躊躇なく攻撃しやがって、仲間が倒れた事を何とも思ないのか!?」


「ボス…ボス…あれ」


「ん?なんだ・・・と」


 魔物の一人がボスの身体をポンポン叩いて勇者の方を指さした。そこを見ると


「ヌリヌリ・・・」


「やっぱこの傷薬効くなぁ。アイテム使ってMP温存しないと」


 勇者は傷薬を塗っていた、28回復した


「アイツ…ボスの攻撃をくらって重傷だったよな?」


「どうして、あんな普通に動けるんだ」


 魔物達がざわついている


「ふう、大分使っちゃったな傷薬。真理さん、このボスただ者じゃありませんね、文字どうりの化け物だ」


「それはこっちのセリフだ!!」


 勇者にボスはツッコミを入れたのを皮切りに魔物達の中から逃げ出す者が表れた


「やっぱタダ者じゃねぜコイツ!オレは逃げるぞ!」


「待てぇ!俺も行く!!」


「ドダダダダダダダダダダ・・・・…」


 一斉に走り出す魔物達をボスは大声で止めたが聞こうとしなかった


「待てキサマら!!」


「う…うぅ・・・何だこの音」


 扉の前で気絶していた魔物は目を覚まし起ち上がった


「…・・・・ドドドドド!」


「退け、退けぇ!」


「ひい!?」


 気絶から起きた魔物はボス部屋の端に走って、魔物達の群れから逃げた


「一ヵ所に集まるとは愚かね!ライニール!」


 真理が部屋の出口に集まった魔物達に電撃魔法を放った!27ダメージ与え魔物達の半数を倒した


「バチバチバチィ!」


「ぎあああああ!」


 勇者が真理に抗議した


「あ、真理さんズルい、僕だって経験値欲しいんですよ」


「へへーん、これが魔法の醍醐味よ!」


 ボスが怒りの咆哮を上げる


「貴様らもう許さねぇ!!」


「ガタガタガタ・・・」


 地面に揺れが起きた

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