第39話 飛び込め―!

 自称ハイエナだと言うモンスターを倒した勇者達


「ワンワンワン」


「ちょっと待って!どこ行くの」


「ポチィーの後をついて行ってみましょう真理さん」


 戦いが終わった後ポチィーは走り出してしまった、ポチィーの後をついて行き・・・


「あれ、ここは・・・」


 森の中を進み農村跡地にたどり着いた勇者達


「もしかして、さっきの奴らここをアジトにしていたのかしら」


「しかし、魔物が見当たりませんね、どこに居るんでしょう」


 建物はほとんど破壊されていて、よく見れば瓦礫に混じって兵士の物であってであろう錆びついた装備も落ちている様な有様だった


「真理さん、僕ちょっと辺りを探索してきます」


「分かったわ、手分けして探しましょう」


 勇者は真理と別行動をとった


「ガルルル、クンクン…」


「どうしたのポチィー?」


 ポチィーは何かを嗅ぎついた様だ、真理はポチィーの後をついて行く


「ワンワン!」


 地下室への入口を見つけた、ポチィーは入口の扉に頻りに吠えている


「ここがあの犬モドキどものハウスね・・・」


 真理は入り口の扉が開くのを確認し、瓦礫の中から錆びた剣をとった


「なら、行動あるのみ…先手必勝!」


 真理は地下室に続く扉を開け、小さな壺の様な物を投げ込んで素早く扉を閉め、剣を扉の取っ手に差し込み入り口を塞いだ


「うわ!なんだこの煙は!?」


「鼻が曲がる…この臭いは毒か!!」


「ドンドンドン」


「後は待つだけね」


「ワン!」


 扉を叩く音が聞こえたので真理はポチィーと一緒に扉の上に座った


「くそう!扉が開かないぞ!」


「襲撃だー!みんな安全を確保しつつ警戒しろ!」


 投げ込んだ壺が割れ毒の煙が魔物のアジトに充満する。一方その頃、勇者は・・・


「やっぱり、廃墟と言えば井戸が怪しいよな・・・お?」


 ロープを伝って井戸の中へと入った勇者は壁に小さな扉があるのを見つけた


「隠しエリアを発見!さっそく中の探索を・・・」


「こっちだ!一先ずここから外へ出るぞ!」


 扉の向こうから叫び声と共にドカドカと何かが近づいてくる気配を感じ、勇者は危険を感じ少し上へ登り非難した


「騒がしいな、なんだろ?よいしょっと」


「バン!」


 急に窓が開き魔物がなだれ込んで来た。足元の魔物達と勇者は目が合った

 

「げ!人間」


「うわ!新スキル発動!」

 

「あ…逃がすな!追え!!」


 勇者はスキル”ハヤブサ”を使い移動速度を上げ、一目散に井戸の外へと逃げた


「どうしたのゆうと?」


「真理さん敵です!」


「待ちやがれ!」


 魔物達が登ってくる気配がする


「ちっ、ここは任せてください真理さん。えい!」


 勇者はカマイタチでロープを切った


「こしゃくな真似を、だが魔物がこの程度で登れなくなるとでも・・・ぐぶ!」


 勇者は井戸に飛び込み棍棒の下段突きを食らわせた


「えい!えい!この!!」


 勇者のヘビーアタックをのせた両手での下段突きが井戸に詰まった魔物達を襲う


「バシ!バシ!バシ!」


「ぐ!」


「ボ!」


「ひげえ」


 攻撃し続ける勇者は魔物を倒す度に一段づつ落ちて行った、倒した魔物が塵になって舞い上がり、井戸が煙突の様な状態になった


「バシ!バシ!ジャボン!」


「あ、ブクブクブク・・・」


 勇者は井戸の水の中に落ちてしまった、勇者は魔物の群れに勝利した。真理は井戸に近づいて勇者に呼びかけた


「ゆうとー、なんか凄い事になってるけど大丈夫ー?」


「大丈夫です!ちょっと上るのは無理そうですが」


「ダメじゃない…」


「ワウワウ」


 ポチィーは扉に座りながら頷く様に首を縦に振った


「ダンジョンの入口を見つけたので、僕はそこから上へ行く道を探してみまーす!」


「あたし毒ガス撒いちゃったんだけど平気そう?」


「ゴホゴホ…確かに苦しいですね、でも回復しながら進むので問題ありません。MPを温存すれば大丈夫でしょう」


「そう?じゃあ拾った素材で毒消し作って待ってる・・・あ、ごめん!ゆうと鍋貸して!調合に使うからー!」


「はい」


 勇者は被っていた鍋を上へ投げた。井戸の入口から飛び出した鍋を真理は受け取った


「ありがとー!ガスの効果は5分くらいしたら消えるけど、一度かかった毒の効果は続くから早めに上ってきてね」


「はーい」


 勇者のはじめてのダンジョン探索がはじまった

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