彼方は勇者ですか？「はい」

第38話 勇者達と一匹

　北門の先の森の中を地図を頼りに進む勇者達。この時勇者は珍しく荒れていた

「アメーバどころか鳥すら出ないぞ！どうなってるんだ！」

「鳥の魔物の巣はアンタが潰したからでしょ、アメーバは素材集めであたしが狩っちゃったからかしら」

「クソう！装備が新しくなったのに敵が居ないなんて・・・・エンカウント率悪すぎでしょう！」

「あたしに当たらないでよ。あ、薬草見っけ、ゆっくり素材集め出来るもいいわね」

「ぐぬぬ・・・知識がないからどれも雑草にしか見えない、さっき真理さんが捕ってたのなんか毒キノコにしか見えないし・・・・適当なモンスターは居ないのかぁ！」

「ガルルルル・・・」

　茂みから獣のうめき声が聞こえる

「居たぁ！」

　勇者は即座に反応しブーメランを投げた

「ブン！」

　ブーメランは茂みに居た動物には当たらず戻って来た

「キャイン！ワンワン」

「ただの野犬ね」

「いや、野犬だって危険な存在だし殺っちゃって良いじゃないでしょうか、っと」

　勇者は戻って来たブーメランをキャッチした

「クゥーン…」

　野犬は足を引きずって茂みから出て来た

「待ってこの子ケガしてるわ。ホイリン」

　真理は野犬に回復魔法をかけた

「ウ？ワン、ワン！」

　犬は真理に尻尾を振っている。真理は犬を撫でた

「おーよしよしよし」

「おや、人に慣れてますね。野犬じゃなかったのでしょ・・・」

「グルルゥ・・・ワン！」

　野犬と勇者の目が合った

「お？うわ！」

　野犬の噛みつく攻撃！勇者は押し倒され貪られている・・・勇者は12ダメージを受けた

「ガブ！ガブ！ガブ！」

「うおおお！野生だ！コイツ野生ですよ真理さぁぁん！」

「もう何やってるのよ・・・ほらポチィー、そんなモノ食べたら腹壊すわよー」

「ワンワン！」

　野犬は勇者から離れ真理に駆け寄った、完全に真理に懐いてる様だ

「う…ホイリン」

　勇者は12回復した

「真理さんに完全に懐いているようですね仲間にしますか」

「連れて行くの？この犬を？」

「僕と真理さんのサポートが有れば十分な戦闘力を発揮するでしょう、よろしくポチィー」

「あ、名前それにするのね」

　ポチィーが”真理の”仲間に加わった

「でもこの子なんで怪我したのかしら？」

「一匹で居るのも妙ですね、イヌ科の動物は基本的に群れで生活するはずですが・・・まだ近くに仲間が潜んでる可能性が！」

「アンタ犬にトラウマでもあるの？」

　勇者は必要以上に周囲を警戒していると、どこからか罵声が聞こえた

「クソ！あのワンコロどこ行きやがった！」

「やっと見つけた食糧を逃がしてたまるかよ！・・・お？人間」

　魔物が二体現れた！ポチィーは魔物を強く睨みつけた

「ガルルル・・・」

「オーオォ、ワンコロも居たのか、貴様の仲間はみんな食っちまったぜ！」

「大人しくしていれば腹ん中で合わせてやるよ」

「っ！ワンワン」

　魔物の話を聞いた勇者達は、冷めた目で魔物達の姿をじっと見つめた

「食べたって、どう見ても犬ですよね、この魔物」

「やだ、もしかして共食い・・・魔物だから関係ないとか…」

　魔物達は激怒した

「何が共食いだ！俺たちはこう見えても犬じゃねえハイエナだ！」

　勇者は”こう言う動物系モンスターって自分の事を○○動物だ！って普通に言うけど、その動物から見れば絶対違う生き物だよな・・・そもそも魔物達はどういう基準で自分達をその動物だと思ってるんだろ？”と考えていたが犬だと突っ込まずにはいられなかった

「似たようなモノじゃないですか」

「ネコ目ハイエナ科の別の生き物だ…ぐわ」

　ポチィーは喋っている魔物に不意打ちで腕に食らいついた！自称ハイエナＡに6ダメージ

「大丈夫か兄貴！」

「クソ犬が！舐めたマネしやがって！」

「しまった！犬に先を越された！よくも僕の獲物を！フン！」

　勇者のブーメラン+ヘビーアタック、ブーメランは魔物を外れ飛んで行った

「ギャハハハ、どこ狙ってやがる」

「ライニン！」

　油断している魔物に真理は魔法を唱えた、自称ハイエナＢに20ダメージ、痺れて動けない

「ぎゃばばばば！」

　自称ハイエナＡは噛まれながら怒りに震えている

「さっきから一方的に勝手しやがってもう許さん！」

「ブルルル・・・」

　自称ハイエナＡに戻って来たブーメランが直撃した、15ダメージを受けた

「痛てえ！」

「とどめぇ！！」

　勇者は自称ハイエナＡに攻撃！18ダメージ与えた。自称ハイエナＡと倒した

「ぐお・・・」

「この棍棒やっぱり使いやすい」

「嬉しそうねぇ、じゃあこっちも武器を試させてもらいますか！」

　自称ハイエナＢの口にに真理が棒をねじ込み電撃を発生させた、自称ハイエナＢに15ダメージ

「バチバチバチ！」

「あがががが」

「こっちの威力はイマイチね、使いかっては良さそうだけど」

　勇者はブーメランを拾い・・・

「そうの様です…ね！」

「パァン」

　鍋の蓋で隣に居た自称ハイエナＢの後頭部を裏拳の要領で殴った、9ダメージ自称ハイエナＢを倒した

「ぐばあ！」

「ふう、この程度の強さなら農村の制圧も楽そうですね」

「そうね、でも数で攻められたらわからないわよぉ。ついでにポチィーの仲間の敵討でもしましょうか」

「ワンワン！」

　勇者達は戦いに勝利した！勇者のレベルが10になった、スキル”ハヤブサ”を覚えた、使う事により移動速度を一時的に上げる。ポチィーの勇者に対する信頼が少し上がった