第36話 勇者また道具屋へ行く

 北門の食堂の中、雑談しながら食事中の勇者達


「ゴードンさん行っちゃいましたね」


「あんなに急いでよほど食糧問題が深刻なのかしら?ゆうと、この後どう行動する予定?」


「北門の外へ冒険する予定ですがその前に・・・・」


 朝食を終えた勇者達は


「いらっしゃい・・・って貴様は!?」


「へー、ここが例の道具屋かぁ色々あるわね」


 旅の準備をするために道具屋に入った。真理は勇者の側を離れ店内の商品を見て回っている


「あのネコミミのネェちゃんは?」


「彼女も勇者です」


「増えたの!?ちょっと待て、確か一国が召喚できる勇者は1人までで、次召喚するには10年待たなきゃならなかったはずだが…」


「まあ彼女は特殊ですから。そんな事よりオジサン、傷薬を補充しに来ました、入れてください」


「お、おう30ゴールドだ」


「はい」


 勇者は空になった傷薬の箱と代金を道具屋の店主に渡して新しい薬を入れてもらった


「後この素材ですけど、買い取ってもらえますか?」


 勇者は素材の入った袋を渡した


「ん、見せてみな。結構な量があるな…鑑定するのに時間が掛かるぞ」


「売ったらすぐ換金ってわけにはいかないんですね」


「捨て値で良いって言うんなら直ぐに金を渡してやってもいいが、どうする?」


「森に行く前に袋を空にしたいだけなので時間をかけてもらって構いません、よろしくお願いします」


「じゃあ、お前さん達が帰るまでに鑑定しておくから後で金を取りに来な。他に必要な物は?」


 真理が何か大きなものを持ってカウンターに来た


「はいはーい、この大きいリュックが欲しいんだけど」


「はいよ、ちょっと高いぞ230ゴールドだ」


「バーバリアンクラブ一本100ゴールドだったのに200ゴールド以上するのこれ!?」


 真理は値段を聞いて戸惑っている。勇者は自分のポーチを触りながら言った


「ポーチもそうですけど、こういう袋物って高いですね」


 店主は袋に中身を出しながら勇者の質問に答えた


「こういうキャンパス地や柔らかい素材を使いつつ耐久力を確保するとなると良い素材を使わなきゃならないからな、荷物を運ぶための物が重くて荷物になるんじゃたまったもんじゃないだろ。もちろん魔術処理済みだ」


「僕のポーチの革も薄い割にはしっかりしてますね、意外と軽いですし。というか真理さんそのリュックどうする気なんです?」


「森へ行くって言うから薬草とかの素材を多めに集めておきたいのよ、実験材料に。オジサンこのリュックってそんなに丈夫なの?」


「獣の爪で引っかかれるくらいだったら平気だぞ、防水で雨ぐらいなら大丈夫だが完全に水没すると中まで水が入るから注意しろよ」


 勇者は店主の説明に何かピンと来たようだ


「なるほど!低級モンスター相手なら背中を守る立派な防具になりますね!買いましょう」


「だから防具じゃねえ!ただのリュックだ!防具が欲しいんなら防具屋に行け!ここは道、具、屋、だ。ほれ、袋」


 店主は勇者に空になった袋を返した


「わかってますよハハハ、良い店だよなぁ、ここ。あ、真理さん用の傷薬も下さい」


 勇者は280ゴールド払った


「オメェの分かったは信用ならねぇ…たく、ほら傷薬」


「どうも。はい、真理さん」


 勇者にリュックと傷薬を渡した


「ありがとう。だけど次は薬はいいわ、素材が集まれば自分で作れるし」


「薬も作れるんですね、素材かぁ…鳥系の魔物の巣に行った事あるですけど行ってみみますか」


「いいわね」


「またいっぱいわいてるといいなぁ…今の装備とレベルなら試すのにちょうどいいでしょうし…」


 勇者達は不敵な笑みを浮かべながら店を出て行った・・・。店主は緊張が解けため息をもらす


「ふぅ、今回は何事もなくすんだな・・・」


「ギィィ…」


 そう思ったのも束の間、店の扉が開き新たな客が現れた


「いらっしゃい。お、前に来た新兵さんじゃないか」


「お久しぶりです。このメモに書いてあるものが欲しいのですが」


「ははは!まだ使いパシリかい?」


「いえいえ、食堂のコック長になりましたよ。底辺のトップに見事に上り詰めちゃいましたよ、ハハハ。今回はその仕事関係の注文です」


 店主はメモを受け取って内容を確認した


「ほー、珍しいな。どれどれ・・・おい、これ料理に使うんだよな?」


「はい、新しいレシピが手に入ったので」


「気は確かか?」


 コック長は光のない目でこう言った


「親父さん・・・まともな食材で作ったゲテモノと、ゲテモノな材料で作るまともそうな料理・・・・どっちらがいいと思います?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る