第29話 この男ッなかなか勇者に屈しない!
勇者達は武器屋に来ていた。真理の木の棒の調整作業が終わり、若い男が仕上がった木の棒を真理に手渡す
「お待たせしました。基本的な整備をした後、お客さんに合わせて精油をブレンドし磨き上げました、油を吸って重くなっているでしょうが強度も魔力の流れやすさも上がってるはずですよ。どうぞ手に持って確かめてください」
真理は木の棒を受け取る
「ふーん…確かに使い易すそうだけど、アマンダの杖と比べると違和感が…」
「ブォン!」
突然棒に電流が走った。その現象に真理は驚き、若い男は怯えて伏せた
「うわっなにコレ!?」
「ひぃ!急に魔力流さないでくださいよ!危ないじゃないですか」
親方が若い男を怒鳴り散らす
「おい小僧!どんな調整をしやがった!」
「電撃特化の方だったので魔力を流すと雷撃属性の攻撃できるように…」
「初級の魔術師にそんな燃費が悪い調整すんじゃねえ、ガス欠になるだろう!それに特殊な調整をするときは客に相談しろって教えただろうが!」
「ひぃぃ!すみません親方!この方ドSぽかったのでこう、インスピレーションが」
「どんな理由だ!?」
真理はカチカチと懐中電灯で遊ぶ子供の様に棒に電流を流していた真理が嬉しそうに口を開く
「親方さん、そんな怒らないであげて、ちゃんと見立て道理よぉー。フフフフ…」
「ブン、ブッ、ブオン、パチン」
「そりゃ、嬢ちゃんが良いなら・・・」
「ねえ、お兄さんこのタイプの武器は初めてなんだけど色々教えてくれない?」
「は、はい!ではこちらの試験場に行きましょう。使用料がかかりますが」
「いくら?」
「10ゴールドになります」
「ゆうと、20ゴールドちょうだい」
「はい」
勇者は真理に20ゴールドを渡した。真理は若い男に全てわたしこう言って一緒に試験場に向かった
「残りはいい仕事をしてくれた礼よ、これからはアナタを指名するわ。さあ案内して」
「はい、有難うございます!さあこちらへ…」
二人は試験場の中へと入って行った。それを見た後親方が勇者に尋ねる
「良いのかいアンタ?」
「17ゴールドでただの木の棒をスタンロッドに出来たんだから安い物でしょう。僕からもお礼を言いたいくらいです」
「そうか?でも武器自体に雷撃属性が付いたわけじゃねえ、使ってるのはあくまであの嬢ちゃんの魔力だ。注意しろよ」
「彼女は僕よりも頭が回るはずなので大丈夫でしょう。それよりも親方さんこそ良いんですか…」
勇者は試験場の方をちらっと見ながら言った
「ウフフフフフフフふはははははは!」
「ぎゃあああああ!」
試験場の扉越しに叫び声が聞こえる
「彼を助けなくても?」
「いいんだ。おだてられ調子のってホイホイついて行ったんだ、自業自得だろうよ。自分の仕事が招いたんだ、最後まで責任取らせるさ」
「きびしいですね」
「それよりお前さんの武器だ。扱えそうな物を今選んで持ってくるからよ」
「あ、はい」
親方は台車を引きながら武器が立てかけてある場所へ行き、様々な棍棒系の武器を選んで台車に乗せていく。バットの様な物や(?)の形をした先端が丸く盛り上がっている物、トンファーなんて明らかにヨーロッパ系じゃない武器まであった。
勇者がその光景を見ながら”あの二対のしゃもじみたいな形のや長い靴ベラの様な物は一体何なんだろう、ゲームじゃ見ないな”と考えているとカタンと音がして、そちらを見る
「あれは!あの独特なくの字型は!!」
「ん?ああ、ブーメランね。行商人が資料持って来たんで試しに作ってみたんだ」
「それにします!」
「え?試してみたが扱いが難しいぞそれ。それに飛んでる小鳥や蝙蝠を狩る物で武器じゃ…」
「大丈夫です、子供の頃、散々練習しましたから!くの字のは売って無くて三又のヤツを使ってましたけど…」
「へー、お前さんの国じゃ馴染みの道具だったのか。三又のヤツもあるぞ。確かここに・・・」
「いえ!そのくの字のヤツが良いんです!それはある意味カリスマなんです、序盤の冒険の友ですから」
「よく分からんがこの形の物はある種のステータスだったんだな…しかし何に使うんだ?」
「もちろんモンスターと戦うのに使いますが」
親方がそれを聞いて大きくて重量がありそうな物を指して答えた
「いやいや、無理だろ。この大型のカイリーなら投げても戻ってこないがそれなりの威力が…」
「それじゃ、意味ないでしょう!曲線で飛ぶのを利用して複数の敵をまとめて攻撃できるのが魅力なんですから」
「そんなことできねぇよ、どう考えたって…」
「出来ないだって!?くそう!アイテムを引っかけてこちらに引き寄せたり、敵に隙を作るだけの物だったかッ!」
絶望に悶える勇者に親方が追い打ちをかけた
「物に引っかけて引き寄せる?なんじゃそりゃ」
「出来ないんですか?」
「できないと思うぞ」
勇者はしばらく沈黙した後、何かひらめいたようだ
「とりあえず、試験場で試してみるので一つください」
「まあやるだけやってみな。40ゴールド」
「はい」
勇者は40ゴールド払いブーメランを受け取った
「本物はけっこう大きいな、軽いけど。じゃあ行ってきまーす」
「ガチャン」
勇者は試験場の扉を開け中の入って行く、親方はそんな勇者を見ながらぼやいた
「何か思いついたみたいだが…大丈夫かね…」
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