第30話 勇者の夢の武器は手強いようです
ブーメランを購入した勇者は試験場へと続く扉を開けた、扉の中に入ると薄暗く下に伸びた階段があり、それを降りていく。どうやら試験場は地下にあるようだ
「静かだな」
先に行って暴れてるであろう真理の声が聞こえない。親方と話していた時は扉越しでも声が聞こえたくらいだったのだが。試験場に着くと真理が背伸びをしていた。
「あら、ゆうとも武器を試しに来たの。良い物見つかった?」
「ええ、ブーメランがあったのでこれから試すところです」
「ブーメラン?そんな玩具使えるの?」
「親方さんも扱えるか疑問に思ってた様ですが、諦めるのは色々試してからにしようかと。あの人はどこ行ったんです?」
「あの樽の中で震えてるわ。じゃ、あたしは休憩所で魔力回復させてるから適当に頑張ってね。コラ出てきなさい」
真理はクリスタルがある場所まで行き、大きな樽を蹴飛ばすと中から棒の調整をした若い男が出て来た
「ふぇ。な、なんです!?」
出てきた男に勇者は話しかけた
「ブーメランを試したいので試験場の使い方を教えてください」
「は、はい。ただいま!」
男が壁のレバーを操作すると光る球体が現れた。複数の球体は上下左右とバラバラに動き出す
「あの幻影に向かって攻撃してください。今は白ですが与えたダメージによって黄色から赤まで色が変化します」
「よし、まずは普通に…投げる!」
「ブンッ、クルクル…」
注射の投げたブーメランが曲線的な軌道を利用し、複数の的を通り抜け勇者の手に戻って来た
「的がクリーム色にしかなりませんが」
「与えたダメージが小さ過ぎるみたいですね…初めて見ました」
「まあ、今でも投げられるかチェックしただけですし。これが本命のッ!」
勇者のスキル”ヘビーアタック”打撃力を乗せたブーメランが勢いよく飛んでいく
「ブルン!ブルルルル・・・」
「ビ、ビ、ビ」
今度は当たった的は辛うじて黄色と言える物になった、当たった時に効果音の様な物まで聞こえる。しっかりとダメージが入った事に勇者は喜んだが、男は冷や汗をかいている
「よし」
「あの…これマズいんじゃ…」
「まずいって何が…ぐっ」
勇者はブーメランを受け止めた、3のダメージを受けた
「痛ったー、強く投げれば帰ってくる時にもダメージがあるのか」
「見た感じですと、投げて勢いがついてる分、帰って来た時の方が威力があるのでは…実際は物に当たって帰ってきたリしませんけど」
「当たると返ってこないの!?」
「幻影やゴーストならすり抜けて飛んでいきますけど、物体に当たれば止まりますよ。投げるとも戻ってくる特殊な効果のハンマーがあると言う話は聞いたことありますが伝説的な物で…」
「つまり、これで複数の魔物を倒すには・・・・」
「複数の魔物を倒すってブーメランで?それだったらちゃんとした投擲武器を使って一匹づつ…」
「ダメージを与え!かつ、敵には直接当てずに投げればいいんだな!」
勇者はカッと目を見開き強い口調で言った。男は勇者が言っている意味が分からず困惑している
「え?ちょっと何言ってるんです?」
「僕は覚ったぞ!行け!必殺”カマイタチ”ブーメランッッ!」
「ブルアッ!ババババババ!」
スキル”カマイタチ”の影響を受けたブーメランは不規則に空気の刃を放ち周りの物を切り裂きながら飛んでいく…空気の刃の影響か速度も上がっていた。的の色も文句なしの赤色に変化
「ビャシュン、バシュン、バシュン」
「よし!予想を超えた威力とスピードがで・・・」
「コレどうやって受け止めるんです!?」
「あ・・・とう!」
「ブシュ」
勇者は腕では受け止められないと判断し身体を使って受け止めた!
「うぐっ」
「パンパンパンパン」
ブーメランは勇者の身体に当たった後もカマイタチの効力で爆竹の様な音を立て小さな空気の刃が小刻みに勇者を襲う!31ダメージを受け勇者は倒れた
「ぐは・・・」
「お客さぁぁぁぁん!!」
男が叫び声をあげ勇者に駆け寄るが
「ホイリン」
勇者は魔法で17回復し、ムクリと起き上がって一言つぶやく
「ふう…この攻撃範囲なら雑魚に囲まれても安心だな」
「何一つ安心できる要素がありませんけど!?」
勇者は狼狽えてる男の方を向いてこう言った
「どんなに傷ついても最後に死ななきゃいいんです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます