第14話 食事って大事
道具屋から戻って来た勇者、北門に到着した頃にはすっかり夜になっていた
「ゴードンさん兵舎を使わせてくださーい」
「お、帰ってきましたか勇者さん。親父さんに変なモノ買わされませんで……」
勇者は暗がりの中をテクテク歩いてゴードンのもとに近づいた、勇者の姿がランプの明かりで徐々に明らかになる、そう・・・
「テクテクテク」
鍋を頭にかぶり左手に鍋の蓋を盾のように持つ勇者の姿が
「変な格好をしている!?」
「いやー、良い買い物が出来ましたよ」
「良い買い物!?一体何を吹き込まれたんです?あの人そんな悪い人じゃなかったはずですよ。親父さんに何をしたんですか!?」
「普通に買い物しただけですよ?傷薬の使い方などの初歩的な事でも親切に教えてくれましたし、良い人だ」
「その初歩的な事をどう曲解したんですか!?」
表面的には元気な姿だが勇者の顔はどこか生気が抜けている
「ごめんなさいゴードンさん、兵舎で休ませてくれませんか。なんか今になって疲れが出てきてしまって」
「ああ、そう言えばお城でも死にかけるほどの傷を負ってたんですよね勇者さん。飯はちゃんと食べました?」
「あ、そう言えばお城で軽く昼食をとっただけで何も食べてませんね」
ゴードンは”あーぁ”と言った感じで勇者を見た
「強引な回復で空腹感がマヒしちゃったんでしょうね、言動が変なはずだ…たぶん自分で気づいてないだけで他にも色々おかしくなってますよ」
「そうなんですか」
「飯がまだなら休む前にあっちでスープをもらってください、味は食うたびに違うんで保証できませんが、食欲がなくても胃に入るんでたっぷり食ってください、身体をを回復させる助けになりますよ」
「なるほど食事にそんな効果が。わかりました食事は出来るだけとるようにします」
「効果って…まあとにかく食堂に入ったら食器持って並んでくださいな」
「はい」
「それで正気に戻ったらその鍋返品しましょう、事情を話せば親父さんも分かってくれ……」
「いいえ、それは嫌です」
ゴードンは困惑している
「え、はい」
勇者は食堂に入り兵士が並ぶ列に並んだ。勇者の順番が来る
「おまちど、お代わりが欲しかったらまた並んでねー」
「はい」
勇者は適当な席に座って食事をした
「いただきます」
勇者は下級兵のスープを食べた、あまったるい味がした、勇者の自然治癒力が気休め程度に上がった
「うーん、まだ足りないかな?もう一杯食べよう」
勇者は下級兵のスープを食べた、酸っぱい!非常に酸味が効いている!勇者の肉体疲労が吹っ飛んだ、自然治癒力が上がった
「うっぷ、本当に食べるたびに味が違う……。ここで食事し続けるのは辛いな、ちゃんとした飯屋を探そう」
勇者は満腹だ、もう食べられない。勇者は兵舎で休むことにした
「コーケコッコー!」
翌日、勇者は目覚め兵舎を出た、朝の空気が清々しい
「勇者さんおはようございます。身体の調子はどうですか、鍋は取れてないみたいですが…ハハハ」
ゴードンはもう笑うしかない
「おはようございますゴードンさん、ええもうすっかり良くなりましたよ」
勇者は十分な休みを取ったステータスが一時的に向上した
「それはよかった。ちょうど今朝食の用意が出来たみたいなんで一緒に食いにに行きませんか勇者さん」
「またあのスープですか、まあ手持ちのお金がまだ少ないですし、朝食はそこですませましょうか。気が進みませんけど・・・」
勇者は嫌そうだ
「お、じゃあ勇者さん、その鍋返品してお金返してもらいましょう。たまにはフツーの飯食いたいと思っていたところですし、手ごろな飯屋を探しましょうや」
勇者はキリッっとした態度で拒否した
「それはダメです」
「ハハハ、そうですか、そうですよね、アハハハ・・・・」
勇者とゴードンは一緒に食堂に行きスープをもらって席に着いた。勇者が食べるのを少しちゅうちょしているとゴードンが先に食事を始めた
「いただきまーす。おお、今回は塩味が効いて美味いな、モグモグ」
「じゃあ、お代わりでもしますか」
「いやいや勇者さん、少しでも美味いと思ったらその一杯で止めるのがここの暗黙のルールです。じゃないと後悔します」
「そうなんですか、じゃあ僕もいただきます」
「ハグッ」
勇者は下級兵のスープを食べた、辛い!苦い!美味い!なんだかよく分からないがとにかくよし!勇者は特殊ステータス”貧者の胃袋Lv1”を習得した!食事によるバットステータスの効果を少し抑える事ができる、この効果は永続する
「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!」
雄たけびを上げる勇者、ゴードンはそれを冷静に見ていた
「当たりを引きましたか、流石勇者さんだ、初めての時はビックリしますよねモグ」
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