第13話 鍋にしよう、旬の具材は勇者ですか?

 勇者は門番のゴードンに案内された道具屋に来ていた


「なあ、まさかとは思うが。勇者さん荷物を入れる物とか持ってないのか」


「はい、さっき買った傷薬以外は持っているのは服と木の棒だけです。あ、財布とお金も荷物ですかね」


 勇者は店主に頭痛をあたえた


「中古のベルトとポーチがあるよ80ゴールドだ」


「そのポーチに入る邪魔にならない程度の大きさの袋か何かありませんか。拾いきれないアイテムもあったので」


「リュックじゃ邪魔か?」


「まだ余り遠くへ行けませんし筋力がまだ低いので身軽な方が都合がいいんです。それはレベルアップしたらと言う事で」


「ほう、無知だがバカじゃないって事かな。袋代はサービスだ80ゴールド」


 勇者はボロのポーチを購入した。


 ポーチを装備し荷物をより多く持てるようになった


 ポーチの中の袋を使えば機動力を犠牲にし、もっと多くのアイテムを持つ事ができる


「他には?」


「安物でも防具をもっと充実させたいですね」


「防具や武器は置いてねぇよ、アレは専門の職人が扱うもんだ、道具屋じゃ使い手に合わせて調整することも出来ないから置いたとしても誰も買わねえよ」


「ぐぬぬ・・・、つまりダンジョンで武器を拾っても武器屋の職人に見せなきゃまともに使えないのか。ん、オジサンあの鍋は?」


「旅先で使う調理器具だよ、魔術処理済みだから壊れても結界や魔法で直っちまう様になってんだ、その分普通の鍋より高いが」


「じゃあこの鍋と蓋を下さい、お幾らですか?」


「え、蓋もセットだよ50ゴールドだ…けど」


「セット!それはお得ですね。買います」


 勇者は鍋と鍋の蓋を購入した


「別に構わないが、お前さっき遠くに行かないって…荷物になるぞ」


「装備すれば荷物になりません」


 勇者は鍋を頭に装備した、守備力が5上がった


 勇者は盾”鍋の蓋”を装備した、守備力が3上がっ……


「ちょっと待てーぃ!!それは防具じゃねぇぞ!!」


 店主は叫んだ


「何言ってるんです、冒険の初期装備の定番じゃないですか」


「ちげぇよ!鍋は調理器具だつってんだろが」


「そうですね、それが何か?」


「話聞いてねぇダロォ!それにな、魔物は基本人を食うんだぞ?そんな連中の前に調理器具かぶって行く気か!?食ってくれって言ってる様なもんだ」


 勇者はハッっとした表情をした


「何と言う事だ・・・、つまりこの装備には・・・・、魔物を引き寄せる素敵効果付きだと!」


「・・・・」


 店主は絶句した後ツッコミを入れた


「ちげえよ!結果的にそんな感じになるかもしれねぇけどっ…!てか今、素敵効果つったのか?」


 勇者は何かうんうん頷いて店を出て行った


「うんうん、良い買い物をした!また来ますよオジサン!」


「バタン」


 扉が閉まった後しばらく静寂が生まれた・・・その後道具屋の主人は一言呟いた


「また来るのか・・・」

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