第12話 勇者、道具屋へ行く
雑魚相手の戦闘を終え、北門に戻った勇者は手を振り門番にあいさつした
「ゴードンさーん、ただいま帰りましたー」
「お、勇者さん、本当に直ぐに戻ってきて・・・・って、うぉい!傷だらけじゃないですかい!」
勇者は顔は笑顔だが足取りがフラフラしている
「いやぁー、アメーバ達を追いかけてたら止まらなくなっちゃって。回復したいので一番近くの宿屋を教えてくだ・・・ゲフッ」
勇者は吐血した!
「ウチの兵舎を使え!おーい衛生兵!衛生兵!」
勇者は衛生兵の治療を受けた
「体力が回復するまでしばらく時間がかかるので、今日はもう戦闘はしない様に、いいですね」
「いいえ」
「安静にしてください!いいですね!」
「はい。もっとレベル上げたかったのになぁ・・・宿屋で明日まで寝て回復って実際やると面倒ですね」
勇者の様子を見てゴードンは頭を抱えている
「外に出る前より確かに頼もしくなっている……、一体あの短時間の間にどんな惨劇があったてんだ……」
「そういえばゴードンさん。アメーバ達を倒したらこんなものが出てきましたが」
勇者はモンスターの死骸から拾ったガラクタを出した
「魔物に食われた人たちの遺品ですか。よければこちらで買い取らせていただきますよ、あまり多く払えませんがね」
「はい」
勇者は40ゴールド手に入れた
「すみません、装備を整えたいので道具やの場所を教えてくれませんか、薬草くらいは持ちたいので」
「それならこの近くにありますよ。もともとは旅人相手に商売してた店だったんですが、寂びれてウチの隊ぐらいしか今は利用してませんがね。案内しますよ、俺の顔で少し安くできると思いますんで」
「じゃあ、お願いしますゴードンさん」
勇者は道具屋に向かった
「いらっしゃい」
「よお、親父さん。客連れて来たぜ」
「新兵さんかい?」
「いや、兵士じゃねえよ。お国が召喚した勇者様だそうだ」
「へえ、噂にはなっていたがねぇ」
「どうも、勇者ゆうとです」
「んで、こいつにちょこっとサービスしてくれねえか。これから上客になると思うぜ。見ての通り俺たち以上に生傷が絶えないだろうからな」
「ん?なんですか」
勇者は傷だらけでキョトンとしている
「ハハハ、確かにな。在庫を腐らせてもしょうがない、安くしといてやるよ」
「ありがとな親父さん。じゃあ勇者さん俺は仕事に戻りますんでゆっくり買い物しててください。寝泊りはウチの兵舎を使ってくださいな、勇者さんをかつぎこんだ部屋なら好きに使っていいんで」
「色々と有難うございますゴードンさん」
ゴードンは勇者と別れた。勇者は店主に話しかける
「では、さっそく薬草を買いたいんですが一ついくらです?」
「薬草?自分で傷薬作れるのかい?」
「薬草って素材なんですか?」
「直ぐ使える様に加工しておかないと使い辛いだろう。アンタ今までどうやって傷の治療してたんだ?」
「薬草を食べました」
「食べた!?噛んですり潰して傷に塗るとかじゃないく!?」
「ああ、そうやって使えばよかったんですね。確かに使い辛いな」
道具屋の主人は頭を抱えている
「ほれ、こいつが傷薬だよ」
木製の容器に入った傷薬を見せてくれたがドロドロとした黄色い軟膏だった、よく見れば箱の中の部分は陶器で外側は木製の二重構造になっている、衝撃で陶器が割れてしまわないようにした工夫なのだろう
「容器を入れて50ゴールド、容器をもってくれば30ゴールドで中を一杯にしてやる」
「じゃあ、これを下さい。一回で使い切るんじゃなくて傷に合わせて少しずつ使うんですよね?」
「当たり前だ、間違っても食うなよ。あと古くなって黒く変色したら捨てな、そこはケチるなよな」
勇者は傷薬を購入した
「わかりました。しかし・・・」
「なんだ?」
「慣れないうちは買い物にも苦労するもんなんですね」
「ワシもこんな客は初めてだよ……」
しかし勇者の買い物は次回も続く!はたして道具屋の主人の運命は!
「女神さま何いってるんです?」
天界で独り言を言っていた女神に天使が話しかけた
「いいえ、何でもないんですよ。ちょっと下界の珍獣を眺めてただけです」
「そうですか。お仕事お疲れ様です」
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