第5話 勇者の序盤の主食だと思ってませんか?

 樽から切り裂きモモンガが現れた。勇者と王様パーティーは戦闘体制に入った


「勇者殿!早く武器を取って!」


「はい」


 勇者は60cm位の木の棒を持って魔物と対峙していた


「ちょっ…勇者殿!?そんな棒でどうする気なのだ!」


「だって僕、まだレベル1ですし」


「キャハハ、どこまでも舐めた態度の勇者様だぜ!」


 切り裂きモモンガの高速移動。勇者達は敵を見失った。王は動揺して動けない


「早いっ!余の目では追いつけないか」


「キャハハ、もうお手上げかい?ギャハハ!じゃあ好きに殺らせてもらうぜ!!」


 切り裂きモモンガは高速で飛んでいる。高速移動の風圧で勇者達の服は音を立てて乱れている


「えい」


 勇者の攻撃。切り裂きモモンガに4のダメージ


「ギャア!なんッ・・・だと!?」


「早くても動き自体はは単純か。まぁチュートリアルだしな」


 勇者は切り裂きモモンガは動揺している。王は何かを悟った様にしゃべり出した


「そうか!布の服!魔物が移動した後の風圧から次の行動を読んだのか!そして武器を攻撃力で勝る剣などではなく、室内でも振り回しやすく機動力のある棒を!」


「ギギッ樽を持った時の重さから相手が軽く機動力を生かして戦うタイプだと読んでた訳か」


 王と切り裂きモモンガは早とちりしている。勇者は困惑した


「感で何となく振ってれば当たっちゃうもんだと思うけど・・・」


「でもなぁ・・・弱くちゃ話にならないだろうが!ギギギ」


 切り裂きモモンガの攻撃。勇者は8のダメージを受けた


「ぐっ、やっぱ痛いな」


 勇者は出血している


「勇者殿!この魔物め!」


 王の攻撃。ミス、攻撃は当たらなかった


「ギギギ、さっき勇者がオレに当てた時に止めを刺せば良かったな!お喋りなんかしてないでよぉ」


「くっ!」


 切り裂きモモンガの攻撃。勇者は10ダメージを受けた


「がっ!?」


「勇者殿!」


 勇者は瀕死の重傷だ。切り裂きモモンガは不敵に笑っている


「ギヘヘ、そんな傷じゃあ、もうまともに動けねぇよなあ。そんじゃそこで見物してな、守るべき国の王が切り刻まれるざまおよ!」


 切り裂きモモンガの攻撃。王は3のダメージを受け服が破けてしまった


「きゃあ!」


「キャヘ、お前女だったのか」


 切り裂きモモンガは王を舐めまわす様に見ている


「ギヒッ、男のフリするために頑張ったみたいだが・・・そんな割れた腹筋じゃスジっぽくて食えたもんじゃねぇえな。あ、人間のオスも食わねえかハハハハ!」


「くっ!このゲスが!」


 王は魔物に剣先を向け構えた。切り裂きモモンガが高笑いしている。笑い声に混じり、どこからか牛が草をはむような音がする


「ムシャムシャ・・・最近は需要があるみたいだぞ、そんなヒロイン」


 血まみれの勇者が魔物の後ろに立っている。勇者の攻撃


「え?」


「グエ!」


 切り裂きモモンガは勇者の攻撃で前に吹き飛ばされ王の構えた剣に刺さった。切り裂きモモンガに会心の一撃、18のダメージ


「ギハッ、なんで動けるんだ・・・?」


「え?HPが1でも残ってれば普通に行動できるだろ?モグモグ」


 王と魔物は固まっている。勇者の攻撃


「ガツン!」


 切り裂きモモンガは3のダメージを受けた。切り裂きモモンガを倒した


「なんて・・・精神力・・・だ・・・」


 魔物はそう言い残し塵になって消えた。放心状態の王は我に返った


「・・・・、勇者殿!?大丈夫ですか!」


「へーき、へーき。薬草だって使ったし。ムシャムシャ、ゴクン」


「あの、勇者殿?薬草って今飲み込んだ・・・」


「そうだけど?」


「薬草って傷口に使うもので食べるものじゃ・・・」


「え・・・じゃあ僕のHPは・・・」


「強壮作用があるので無意味な訳じゃないですが、出血は止まらないかと・・・勇者殿!」


 勇者は倒れた。王は勇者に駆け寄った、王冠が落ちまとめていた王の髪がほどけ、長い髪がなびいている


「ホント・・・もっと体力が有ればな。ガク」


 勇者は気絶した


「勇者殿おぉぉぉ!!!」


 その頃、天界の女神は


「おお勇者よ、序盤で倒れてしまうとは情けない。まあ死ななきゃどうにかなりますからその調子で頑張ってくださいね」


 勇者はレベル2になった


「ついでにこれは私からのサービスです。本当なら100本ぐらい食べた後に与えるつもりでしたが、ステータスに影響は無いんでいいでしょ」


 勇者は”菜食主義者”の称号を手に入れた

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