第五話 1日目
しばらくベッドで横になっていると、白い服を着た男性が二人現れた。一方が私に話しかけたが、言語が違ったので何と言っているかわからなかった。もう一方が日本語で言った。
『今からあなたを検査します。私たちについてきてください。』
どうやらこの人は通訳らしい。
私は彼らについていくことにした。階段を降り、検査室に入る。
『今から全身のMRI検査をします。この上に横たわって下さい。』
私は指示に従い、検査台の上で横になった。
『では、レントゲン撮影を開始します。少し時間がかかるのでそれまで動かないでください。』
そして装置が少しずつ動き出し、私をMRIにかけていった。この間にこの世界について整理していた。ただ、言語以外に元の世界との違いを見つけられなかった。
そんなことを考えていると、検査が終わった。
『MRI検査が終わりました。次はIQ検査を行うので、こちらに来てください』
IQ検査か。一言にIQ検査と言っても、いろいろな種類のものがある。一体、どんな検査をされるのだろうか。
『では、こちらが検査場になります。』
検査場の中には、中央にテーブルが1つと、椅子が2つあった。そのうちの1つの椅子にはすでに検査員が座っていた。
『こちらに座って、検査を始めて下さい。』
検査員がやり方を説明する。もちろん私は通訳を挟んで理解する。
どうやら、上にある9個の画像のなかに1か所空白があり、そこに入るべき画像を下にある9個の画像から選べということらしい。
検査が始まった。最初は簡単だったが、後半は訳が分からなかった。それぞれの画像が風景画で下にある9個の画像のうち5個が同じに見えたものもあった。
私が検査を終えて部屋を出ると、そこにはさっきの二人組がいた。
『では、本日の検査は終了です。あなたの部屋まで案内しますので、今日はゆっくりお休みください。』
そして私は402号室に戻る。ベッド横の時計は18時11分を指していた。テレビがあったのでつけてみたが、何と言っているかわからなかった。文字も、日本語の文字が奇妙な順番で並べられており、漢字から意味を推測する事さえできなかった。
この世界についてしばらく考えていたら、私は眠ってしまったようだ。
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