第四話 施設にて
私は駅から続く道を、日の出と反対の方向に歩き出した。左には道路、右にはさっきまで乗っていた電車の線路がある。道路のさらに左にある湖はおそらく
250mほど歩いたところで、私は運よく交番を見つけた。私はそこにいた警察官に話しかけた。
「すみません」
すると、警察官は怪訝そうな表情で私に紙と鉛筆を渡した。私はその紙に、自分の名前、住所、携帯電話番号を書いて警察官に渡した。するとその警察官は、手のひらを見せて「待て」のジェスチャーをした後、奥の方に入ってしまった。
しばらくして、別の警官が出てきた。その警官は私に話しかけた。
『私についてきてください』
私はこの人についていくことに決めた。彼は1台の車を指差し、そこに乗るよう私に指示した。私は車に乗り込んだ。
車が発進してから、彼は言った。
『あなたはこの世界の人ではない。』
私は驚いた。
「どういうことですか?」
『実は、ここはあなたたちの世界とは異なる、異世界のような場所です。こちらの世界では、あなたたちの世界とつながる方法が研究されており、その研究による事故であなたはこちら側へ来てしまったのでしょう。』
「つまり今私は異世界にいるということですか?私は元の世界に帰れますか?」
『あなたには、いくつか検査を受けてもらいます。それが終わったら、ちゃんと元の世界に帰してあげます』
「その検査というのは、どれくらいかかるものなのでしょうか?」
『人によって違いますが、あなたの場合は2~3日で終わると思いますよ』
「安心しました。ありがとうございます。」
『いえいえこちらこそ』
それ以上の会話はなかった。車は田舎を進んでいく。右は林、左は水田でその奥にも林がある。この車はいったいどこへ向かおうとしているのか。そんなことを考えていると、前方に大きい施設が見えてくる。病院のようにも見える。
しばらくして、車はその病院に駐車した。車に乗っていた時間は30分ぐらいのように思われたが、実際はもっと短かっただろう。
『着きました。あなたの部屋まで案内します』
私達は車を降りて、施設内へと向かった。施設の内部は病院のようになっており、私達はいくつもの病室の横を通り過ぎて行った。
『ここから4階に上がります』
私達は階段をのぼり、4階に行った。そしてまたいくつかの病室を通り過ぎる。
『ここがあなたの部屋です』
彼は私に鍵を渡した。部屋の鍵だ。部屋番号は「402」と書かれているが、なぜか2だけ180°回転した形になっている。
私は鍵を使って部屋に入り、ベッドに入った。既に時刻は昼過ぎで、ベッドの横の時計は13時22分を指していた。
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