第11話 高校デビュー!!⑪
「どれにしようかな♪ あーこれもいいな。でも、これも捨てがたい……」
メニューを見ているだけで楽しくなるな。食堂ってこんなに楽しいとこなんだね。中学時代には味わえなかったこの気持ち、高校に来て良かったと初めて思った。もう頭突きの印象しかなかったから、さっきまで「高校=頭突き」みたいに思っていたけど、この素晴らしい食堂のお陰でそのイメージも消えつつある。しかし、本当にメニューが多くて迷ってしまうな。メニューの冊子は驚くことに100ページほどに
どれにしようか決めかねている俺を見て、柿崎が言う。
「あの……悪いけど早く決めてくれないかな? そろそろ限界なんだよね。」
少し、柿崎が怒り口調なのは気に食わないが、本当にツラそうな顔をしていたので、かわいそうだと思い、俺は注文のブザーを鳴らした。
少しして食堂の人が来て「ご注文は?」と訊いたので、俺は「カツ丼セットの豚汁で……。」と言い、柿崎に「注文を言え」とアイコンタクトを送った。
柿崎は、ふぅと息を吐き、注文を言った。
「ラーメンセットのBとペスカトーレ、マカロンケーキ、コーヒーゼリー、アイスティー、それから食後にチョコレートパフェを頼む」
早口で、ぱーっと言ったため、食堂の人も必死にメモを取っていた。
てか、柿崎、食い過ぎだろ。俺にとっての3食分ぐらいの量を一気に食べるつもりなのか?
ん? 待てよ……。こんなに食べるってことは、今の今まで、何も食べてなかったということかもしれない。俺が気絶してる間、昼食を我慢してくれたんだな。少し見直した。頭突きの裏切りのことも許してやろう。許すことの出来る人間が人気者の鉄則だとアニメなどで学んでいる。この物語の主人公たる俺が許さなければ、人気者になる道は遠ざかっていくだろう。フッ、仕方ない、ひとつ大人になってやるか。
俺は柿崎にお礼の言葉を言った。
「俺が気絶してる間、昼食を我慢してくれてたんだな。ありがとう。」
柿崎は首を
「へ? 昼飯は食べたけど。」
「は? あんなに注文してて、昼飯食べてるわけがないじゃないか。柿崎、そんな嘘はつかなくていいよ。」
「いや、嘘じゃないよ。だって、さっき注文したのは、おやつなんだからさ……。」
――――――はい? おやつ? 今、あいつ「おやつ」って言ったよね。おやつであんなに食べるかね。あいつは普通の人間じゃ、ないようだ。
ということは―――
「俺が気絶してる間にのうのうと昼食を食べて、しまいには、俺に『早くメニューを決めろ!』と
俺の問いに柿崎は
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