第6話 高校デビュー!!⑥
この場にいる全員が思った。
『3秒以内に座らなければ自分は無事で済まない』と―――
世紀末の覇者のような男の脅しは、俺たちを
その空気は耐えられないものがある。
「3、2―――」
と、奴が数え出すと同時に全員が自分の席に戻り始めた。俺を除いてな。
俺はこのときに気付いた「俺の席ってどこだっけ?」と、自分が柿崎との話に夢中になり、自分の席を確認していなかったことに……。
仕方ないもん! 友達と喋るの久しぶりで舞い上がったんだよ!!
「1」
ヤバい、タイムリミットがあと1秒になった。もう自分の席を探している余裕なんてないぞ。どうする? どうする?
俺が辺りを見回すと、近くに一つだけ空いている席があった。どうやら、俺以外の全員が自分の席に座り安堵していることから、この空席は学校を休んだ人の席か、俺の席ということになる。
俺はこの空席に自分でも驚くほどのスピードで着席した。
「0、はい。立っているヤツはいない……な。」
ふぅ~。どうやら間一髪、間に合ったようだ。
でも、これがもし、俺以外の人物の席ならばヤバいな……。しかし、バレなければどうってことない。
奴が語り出す。
「良い生徒が多くて、先生、助かるよ。3秒以内に席に座らなかったら、そいつに頭突きをくらわしたやるところだったぜ。じゃあここで自己紹介をば」
この場にいる全員が戦慄した。
あの風貌で教師なんて、ヤバすぎるだろ! てかそれ体罰じゃね?
コイツがおそらく担任の先生だろう。こんな凶暴だと先が思いやられるよ!
奴は黒板にカッカッと字を書き、こう続ける。
「俺の名前は
怖ぇーーよ! こんな怖い自己紹介するヤツ初めてだよ。何でこんなヤツが教師なの? 全裸男の件といい、コイツの件といい、この学校、おかしいんじゃね~の?
前の席の女子たちがヒソヒソと小声で話していた。
(ねえ、臥竜って、あの臥竜組の人と関係があるのかな?)
(いや、さすがにヤクザは教師になれないでしょ。)
(ははは。そうだよね。訊いた私が馬鹿だったよ)
………あり得る。コイツがヤクザの関係者って可能性は大いにある。コイツも変だし、全裸男のとき、誰も学校関係者が騒ぎに駆け付けなかった。
この情報を聞いて、より学校への不信感が募ったな。
突然、ガラガラと教室のドアが開いた。
「すいません。いろいろあって遅れてしまい……ま、し、た!」
そいつは遅れてきたようだが、臥竜先生を確認すると明らかに動揺していた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と、何度も頭を下げる彼に、無情なる一言が告げられる。
「悪いことをしたヤツには、お仕置きするしかないな!!」
逃げてぇーーーー!!! 早く、そいつから逃げろ!
どうやら状況が呑み込めていないのか、彼はキョトンとしていた。
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