14話 カグツチの力
『さてさて俺様がぶっ放す「アモ」ってやらを大量生産しなきゃなぁ? マイマスター? あん? どっか行くのかぁ? あ? ちょ、まって、置いてないでぇー ファイス様ぁ?』
ずっと手に持ってるのも重いからカグツチはダイダラさんの作業机に置いて、俺は一旦寝ることにした。ダイダラさんが現実逃避した時にはもういい時間だったし、もうかなり眠い。
でもって、ダイダラさんの凄い絶叫で目が覚めた。なんだなんだ?
「ファイ?、ファイ! あの喋る黒いのなんなんだ?」
『おはよーごぜぇますマイマスター? 昨日はお楽しみだったねっ!』
なんだこいつ。なぜそのネタ知ってる? そしてダイダラさん驚きすぎて洗濯物を部屋にぶちまけているんですが……。
「かーさん、こいつ、昨日かーちゃんが寝てから出来た魔銃。名前はカグツチ」
『よろぴく銀髪褐色美人……ってファイスぅ? かぁちゃん? この別嬪さんが? まじかー』
カグツチうるさい。そしてダイダラさんは未だに困惑中。なんか珍しくてにやにやしてしまう。
「銃? 銃…… はっ? バレルはどうなったんだい?」
「デェンウォーブルがそのまま銃になっちゃった」
『ファイスの思考を読んで俺様が変身したからなぁ。お・れ、これでも
「へぇ……ファイが造ろうとしていた銃ってのこうゆうのだったのかい……」
基本、カグツチは軽い性格みたいだ。あとウザい。ダイダラさんは銃そのものに興味を持ったのか、カグツチを持ち上げ弄くり回している。
『あっ、姐さん、いや、だめ、そこわぁん……、あーダメダメ、そこのまだファイスにも触らせたことないのにぃ~~? ってノリわりぃなぁ、マイマスタ?』
「お前に付き合ってたらつかれるだけだよカグツチ。かーさん、カグツチが出来たし、アモを造ってもいい?」
「あぁ、バレルはカグツチがいるからもう必要ないみたいだしね。アモの方も初めていいよ」
『あー姐さん? バレル造りは棒に鉄板を巻きつけて筒を造ってるんだろうが、ちょこっとの黒鉄の粉を混ぜた合金板を用意して同じ要領でやってみ? でもってバレルより口径の大きい真っすぐ穴を開けれるドリル造りゃー俺様ほどのバレルではねーがいいのができるぜ?』
「そうなのか? ファイ?」
『おいおい俺様を信用してくれねーのかぁ? ファイスの頭ん中、覗いた俺様を?』
「そうなの? カグツチ?」
『マイマスターぁ? お前もかよ。お前が知ってる知識で近い素材を教えたからな。出来栄えは姐さん次第よ。まぁ姐さんならいいのが造れるだろうよ?』
なんだかんだでこのカグツチは賢い。カグツチ自身、銃として考えて創られている。アモは薬莢が残らないのでリボルバーの設計には古い
河原で弾倉に入りそうな石ころを探す。
『あんだぁ? 石ころでアモ造んのか? 姐さんとこの鉄で造りゃーいいじゃねえか? マイマスター?』
「カグツチ用にアモは造ったことないからね。まずはちゃんと飛ぶか確かめないと資材の無駄になっちゃうよ」
『そうゆうもんかねぇ?』
「そうゆうもん」
『はぁー、ま、お任せしますよマイマスター』
カグツチの弾倉は結構大きく、コンテンダーの薬室をそのまま再現したみたいでかなり大きめな
『あ、マイマスター?』
「お前は喋らなきゃ生きていけないのか?」
『嫌だなぁファイス。俺とお前の仲じゃん? 伝え忘れてたけど弾倉に入るならどの大きさのアモもぶっ放せるよん? 逆に言えばどんな小さなアモも弾倉に入れりゃ撃てるぜ?』
「お前どうなってんだ?」
『いちよー魔銃ですしおすし? つかデェンウォーブルっつう生体金属だからな。弾に合わせてバレルも形変えるし? だからバレルがインゴットに穴開けたような形になってんだよ』
やばい、こいつ優秀。
「じゃあこれでも?」
俺が手に取ったのはかなり細長い石ころで弾倉の穴のどこにも当たらないし、長さも全然足りていない物だった。
『全然おっけー。さぁさ、早くぶっ放させてくれ』
俺は、石ころを手で包み、焔を纏わす。イメージはアモ5号クン。実はダイダラさんに研究中止を言い渡されてからもイメージでアモは造っていたのだっ! おかげでコツを忘れずに済んだ。
トリガーガードの突起部分を引いて弾倉をオープンさせて、その一番上にある部分に石ころを落とした。そして手首返すようにして弾倉を閉めた。ロックはカグツチが勝手にやってくれた。
『さぁどれを狙う? マイマスター?』
「飛ぶかどうかなんだから別に狙わないよ」
『かぁーーっ! ファイスよぉ、俺様が撃つんだぜ? 飛ばねーハズがねぇじゃんよぉー! 的寄こせまーとーっ!』
そういえばアモ1号も飛んだか分かんなかったよな。しかたがない。カグツチもうるさいしその辺にあった木板でも河原に立てかけて狙ってみるか。
「へっへっへ、マイマスター。俺様の力、篤と見よっ!』
カグツチの力で石ころアモが暴発したら嫌だし、ここは警官撃ちで狙ってみよう。まず、半身で立つ。そしてカグツチを持った右手は真っすぐ的の木板の方へと伸ばすっ! そして、左手はベルトの上……うん、ベルトないから腰に置いてっと。オープンサイトである
パン
思ったより軽い音。だがしかし、俺の右手は真上へと跳ね上がっていた。
『あひゃひゃファイスぅ? マイマスター? 見ろよ的が上半分吹き飛んでやがるっ! やっば、銃スゲぇ』
「……楽しそうだな、カグツチ…」
ぶっちゃけ、想像以上の反動だ。旅行でアメリカ行った時に撃った45口径でも制御出来たのに…… 手が千切れそうです。
『あぁ、バレル内に
あんですと?
『だーかーら、バレル内に
魔銃って規格外なんですか? 魔力顕現できると?
『いや、オドはファイスのだし、俺は
目の前に白い小さな布切れが……
『俺が触れた物を取り出すのと収納することぐれぇだ』
「おま、ダイダラさんのっ! それ、し、し」
『ああ、姐さんの下着だ。なんか派手に散らかしてたから回収しといたぜ。【インベントリ】』
ダイダラさんの下着がカグツチに回収されたっ!
『この術式は俺と契約しているファイスでも使えるぜ。ただし、俺より大きいのは入らねーけどな。アモを収納するぐらいなら無限だろうが』
ダイダラさんの下着……
『さて、姐さんに頼んで鉄製のアモ造ろーぜぇ? でもってドンドンぶっ放そうぜっ!』
ダイダラさんのパン……はっ! カグツチ、超優秀じゃね?
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