9話 そうだ、銃を創ろう!!!
「ふむ、これぐらいならすぐ出来るよ。ちょっと待っててね」
相変わらずダイダラさんがカッコよすぎるっ! そこにしびれるあこがれるぅ~っ!! とバカ言ってないで俺も銃専用マテリアルもどき、通称『アモ』の開発に取り掛からないと。
円錐状の先が尖った石を河原で探す。別にまだ試作だからそんなに形にこだわらないでお願いした筒に入りそうな石ころならなんでもいいのだが、記念すべき一号はどうしてもこだわりたい。
そんなことを考えながらふらふらしていると丁度いい感じに先が尖っていてなおかつ底は平べったくなっている石ころを見つけた。アモ第一号は君に決めたっ!
俺は一号クンに手をかざし、ロケットが飛翔するイメージでオドを与えた。すると一号クンの平べったくなっているお尻の部分が赤く発光し出した。木片の時はオドを与えすぎたようなので少し控え目で止めた。一号クンを創るのにそんなに時間がかかる訳じゃなくダイダラさんもまだのようなので色々試しで試作アモを創ってみる。
二号クンは一号クンよりも多めにオドを与え、三号クンは先っぽ部分に少し爆発するイメージを錬り込んで置きました。四号クンは石ころではなく細長い木の棒だったので矢をイメージして羽を付ける部分からも発射後から爆発することで遠隔で動かせるように細工してみました。五号クンは一号クンなみに弾丸っぽかったので試しに爆発が螺旋状に回転するイメージにしてみました。これが上手くいったらライフリングがいらなくなるかもね。
と色々遊んでいたらダイダラさんが真新しい鈍色の細長い筒を持って河原にやってきた。
「設計図通りに出来るだけ一定の厚さにした筒を作ってきたぞ。でもなんで底の部分をこんなに厚めに作ったんだ?」
「それは見てからのお楽しみ……」
受け取った筒は思ったよりも綺麗に出来ていた。見た目は旗を立てるのに使う土台だな。コレ
この筒、だいたい10インチぐらいを目安して設計図という名の絵を描いたのだが、どうやってこんな細い筒作ったんだろう? ダイダラさんがいつも使ってる槌とかの工具じゃこんな綺麗な筒なんて出来ないだろうし、かなりの技術力ですよね? 俺、なんで簡単に銃作れるって思ったんだろ? こんなん普通できねーよ。
「筒はあたしのオドを使って形成してから一気に鍛えた。なかなか面白かったよ」
「はぁ…かーさんすごいのねぇ…」
「あたしはドワーフでなおかつ土のオド持ちだからね。そこいらの鍛冶師よりは腕は上だと自負しているよ」
おう、ダイダラさん、ドワーフなんすか。知らなかったッス。つか明弘の頃、美人のドワーフなんて居ないとか妄言吐いてすいませんでしたっ!!! 異世界のドワーフさん、めっちゃ美人だったよっ!
「でこの筒をどうするんだ?」
「ああ、この筒の中にアモを入れてまっすぐに立てて使うんだ」
ちっとばかしほおけていたが大丈夫。まずアモ一号クンを上下間違えないように平べったくなっている方を筒の底に当たるようにセットする。それから筒が倒れないように河原にある石で軽く埋めてからダイダラさんの隣へと戻る。
「ふーん、あのマテリアルが弾丸になると言っていたのはさっき作った筒が銃だったとはな。えらく細い銃だね」
「うーん、あの部分は銃じゃなくてバレルって部分になるんだけど、まぁいいか。マテリアルを解放させるよ」
「分かった」
ふぁいやー。
うん。音がしない。あれ? 失敗した?
「ファイ? これでいいのか?」
「分かんない」
「どうするんだ?」
「どうしよう?」
「ふむ……」
あれおっかしいな? 不発ってことはないだろうし……
しゃーない、バレルの中見るしかねぇ。
結果、アモ一号クンさんは見当たりませんでした。あれ? 魔力顕現での炎って音でなかったっけ? つか飛んでったの? 全然気がつかんかったのだけれど?
「ファイ? マテリアルに何かあったのか?」
「マテリアル改めアモって名前にしたんだけど、無くなってる」
「ん? どうゆうことだ?」
「多分したかったことが成功したんだ思う……多分」
「???」
ダイダラさんは解っていなさそうな様子。ぶっちゃけ自分もよく分かっておりません。が一号クン様のオド量で成功したのなら二号クンは危なさそうだ。ここは渾身の五号クンを試してみよう。
「次のアモをセットしたからまた解放するね」
「? どうなったんだ?」
俺も説明出来ないので無視してふぁいやー。 ガンッ!!
今度は音が出て、バレルから微妙に煙が立ち上り、バレル自身も震えている。そう、これ。これの反応が見たかったのだよっ! あれか? 五号様は疑似的にライフリングを意識していたから上手くいったのか? じゃなんで一号クンは音しなかったんだろ? 解らん。
「せいこおおおおおおっ!!」
「なんだなんだファイっ! さっきの音はびっくりしたよっ!」
「成功した音だよ。アモが上手くバレルから飛び出したんだっ!」
「音が出ると成功なのか?」
またまたダイダラさんの質問を無視してバレルにアモを装填しに行く。五号様は上手くいった。ならやっぱり一号さんはオドが足りなかったのかも知れない。ならば二号クンならば思った通りの成果を出してくれると思う。
「今度も大きな音が出るのか?」
「多分ね。じゃあ解放するよー。ふぁいやー」
横目で見えたダイダラさんは急いで耳を塞いていた。かわいー。
どっかーーんっ!!!
なにっ? なんなの? 爆弾っ!? あーあー。うん耳が麻痺してる。何がどうなったっ!?
バレルを見たら解りました。いやバレルがあった周囲が黒く溶けて無くなっていました。これはどうゆうことなんでしょうか? ダイダラさんも目が点になっています。ダイダラさん、僕に何か喋りかけていますが何言ってるか聞こえません。多分聞こえていないのが今はいいような気がします。
【――、―――――-!】
黒ずんだ地面がダイダラさんの魔力顕現の砂によって覆い隠されていく。律が聞こえてないけど。ああ、銃開発はこれでストップかなぁ。しかしこれはヤバいなぁ。言い訳出来ん。
「―――ということであたしが完璧なバレルとやらを作れるまでアモ開発も一旦中止。いいね? ファイ?」
「へ?」
「だからバレル出来るまでアモ実験中止っ! ファイの抜け駆け禁止っ!」
「あ、はい」
なんと銃開発は続行OKみたいだぞ。しかもダイダラさんのヤル気スイッチ入ってるし……
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