8話 そうだ、銃を創ろう!!

「ファイの創ったマテリアルはなんだか異様だね。それに、うんやっぱりマナが集まっていない」

  

 一人浮かれていたらダイダラさんの一言で一気に冷めた。


 「え? え? マナ? 集まる? どうゆうこと?」


 「うん、あたしもマテリアル専門じゃないから詳しいことは解らないのだけれど、通常、物質にオドを錬り込み、そしてオドに反応して集まったマナを使うことでマテリアルとして魔力顕現が出来るんだよ。だけれど、ファイが創ったマテリアルはマナが全く反応していない」

 

 なんですと? じゃあやっぱり俺ってマナからもマテリアルからも別魔力が顕現できないの? 魔法、炎魔法だけなんですか? マジですかー……


 「それでもこの欠片にはファイの凄まじいオドが宿っている。どうしてなんだろうね?」

 

 えーダイダラさんが解らんことが俺に解る訳ないやん

 

 とりあえず、これでマテリアルを使った試作ケースレス弾制作構想は打ち切りエンドとあいなりますた。


 ちくしょーやってらんねー。今日はダイダラさんのおっぱいで不貞寝してやる。



 翌日、朝起きるとダイダラさんが俺が創ったマテリアルもどきが鍛冶屋受付の一番目立つ所(しかもクッションの上に)に鎮座されていた。なんでか理由を聞いたら、ファイの初めての製作物だから自慢できるに見えやすい所に置いたという。

 

 止めてっ! 使えもしないのに恥ずかしすぎるっ!!


 棚ボタなんだが新しい発見があった。いつも通り店番をしながら頭の上に小さな鬼火みたいなのを浮かせる魔力顕現訓練をしていると、嫌でも目に入ってくるマテリアルもどきが俺の魔力顕現に合わせてオーラ、いやモヤでいいや。が濃くなったら薄くなったりしていた。これはどおゆうことなんじゃい?


 気になって魔力の顕現の仕方を変えてみる。手に這わせてみたり、マテリアルもどきを火で囲んでみたりもした。特別変化がない。


 「ファイ? また訓練か?」

 

 ダイダラさんが白銀の槌を片手で回しながら工房から出てきた。


 「なんかマテリアルもどきが僕の魔力に反応するからいろいろ試してる途中…」


 マテリアルもどきを囲んでいる火をもっと強くしてみる。モヤの揺らめきがだんだん決まってきて狭ばった気がする。


 「ふむ。なら、そのマテリアルを創った時にイメージした魔力顕現を再現してみたらどうだ?」


 そういえば、マテリアルもどきを創った時のイメージはマテリアルが魔力顕現を纏うイメージだった。マテリアルに物理的に影響与えることしか考えてなかった。やっぱダイダラさん天才っ!


 「早速やってみるっ!」

 

 ダイダラさんも隣の椅子に座り観戦モードになった。ぶっちゃけ、纏うイメージは一番最初にやった魔力顕現だったのでこれだけは失敗するビジョンが浮かばない。


 うん、今までのはマテリアルもどきから出ているのはモヤだった。でも今のは違う。このマテリアルもどきが覆っているのはオーラだ。これ、初めてマテリアルもどきが出来た時に言ってたよな。


 「これはファイの魔力顕現がそのままマテリアルとなって封じ込まれているみたいだね。個人のオドがそのまま使うことができるマテリアルと言うのは聞いたことがないね。初めての事象だよファイ」


 「はえぇ~」

 

 魔力顕現を止めたのにマテリアルもどきはまだオーラみたいな炎を纏わり続けている。まるで魔力顕現した時の俺の右腕みたいだ。あれあれ? つうことはですよ? これ、遠隔で操作が出来んのかな?

 

 「かーさん、木片とかある?」


 「ん? あるぞ。またマテリアルを創るのか? 基本的に硬い素材の方が成功率が高いらしいのだけど」


 「木片でやってみたい」


 「わかった」


 ダイダラさんが持ってきてくれたのは木片は何かの加工時に出来た端材みたいだったが黒檀のように黒光りする高そうなモノだった。


 「これ、いいの?」


 「ああ、ここまで小さなモノだと使い様がないからな」


 「ありがとう」


 「ああ、頑張ってみな」


 木片に向かって燃えろとイメージしながらオドを注いでいく。もちろん本気で燃やす訳じゃないから俺自身の魔力顕現はしない。小さな木片にかなりの量のオドが吸い込まれていく。これ以上やったら壊れると何故か解ったのでオドを注ぐの止め、しばしダイダラさんと一緒に木片の様子を見る。木片はもともと黒光りしていたのが少し朱が雑に混ぜたような色を放っていた。


 ここで木片マテリアルもどきを解放しちゃうと俺の理論的にはイキナリ燃えだしちゃうハズなのでダイダラさんと二人で家のすぐそばにある河原に移動した。


 「じゃあ解放してみよう」

 

「なんでここまでくる必要あったんだ? ファイ?」


 「何かあっても大丈夫なようにね。それじゃあ解放するよ」


 ゴオォッ!


 解放した途端、俺がイメージしていたよりも遥かに大きな炎をまき散らした。なんでやっ! これデカすぎやろっ!! あぶなっ!!!


 だけど思い通りに出来たぞ。これなら“一定方向への爆発”だって再現出来るはず。それが出来ればまず試作(マテリアル)ケースレス弾ができるっ!


 「かーさん、思った通りだった。これなら新作弾丸が出来るよっ!」


 「弾丸? マテリアルが? よく分からないが手伝えることがあったら教えてくれ」

 

 河原で燃え上っているキャンプファイアーをしり目に気合を入れる。


 「ありがとーっ! じゃあ設計図描いてくるから早速こうゆうの作ってっ!」


 とりあえずダイダラさんには細長い鉄製筒、バレルを作ってもらおう。でもって俺が創った一定方向へ爆発するマテリアルもどき……もうアモでいいか。試作アモを創ってちゃんと飛ぶか検証しなきゃっ!

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